すぐに使える新規事業のアイデアを簡単に出す7つの方法

「新規事業のアイデアが浮かばない!」と悩んでいる方も少なくないだろう。そういった状況で、劇的にアイデアを生み出すアイデア発想法も数多く存在する。
結論から述べよう。最もオススメする新規事業のアイデア発想法は、「メモ」を活用することだ。つまり、ゼロからアイデアはひねり出すものではなく、いくつかの情報を組み合わせて作るほうがアイデアの精度が高まる。
手を動かして情報を紙面に落として、そのメモを組み合わせるという発想法だ。
しかし、いきなり「メモを書け」と言われて新規事業のアイデアを作り出すことは難しい。その理由はメモをするポイントが明確でないからだ。アイデアをメモする際に大切なことは、どの情報に着目してメモを書くかということである。
今回の記事では、メモを書くポイントを踏まえて、新規事業のアイデアをメモから発想する方法を7つに分けて紹介しよう。
世界を変えたビジネスアイデアのメモがある
世界を変えたアイデアメモというと何を思い出すだろうか。
ツイッター創業者ジャック・ドーシーが書いたメモや、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスが紙ナプキンに書いたアイデアが有名だが、世界を変えた創業者の「メモ」には3つの点が盛り込まれている。
- スポンサー
- 特徴
- エンジン
まず誰に使ってもらい、次にどんな特徴があって、最後にそれらをどうやってグルグルと循環させるのか。その3つの点こそ事業アイデアの基本である。そこに競合より圧倒的に勝てることを掛け合わせて、はじめて成功できる事業アイデアとなる。
しかし、こうした新規事業のアイデアはいきなり思いつかない。
そこで「スポンサー、特徴、エンジン」をバラバラとメモに書き留めて、新しい組み合わせを頭の中で想像することが大切だ。
メモを書くポイントを踏まえて、新規事業のアイデアをメモする発想法を7つに分けて順に説明しよう。
- 自社のバリューチェーンからメモする
- 業界全体のバリューチェーンからメモする
- 顧客の不満・不安や、熱望・熱狂からメモする
- 同業他社の新規事業からメモする
- 成長企業の事業からメモする
- 海外の成功事例からメモする
- 買収や出資案件を メモする
これら新規事業を発想する方法は、海外のグローバル企業ではメジャーな考え方になっている。まずは身近に出来る発想法から、近年の主流となっているアイデアの出し方を網羅的に紹介しよう。
それでは、ひとつずつ見ていこう。
1.自社のバリューチェーンからメモする
自社の事業活動(バリューチェーン)の中で各部門がどのような機能を担い、会社の価値にどう貢献しているか、そして顧客にどう評価されているかを具体的にメモしてみる。
つまり、会社の経営資源の徹底的に棚卸を行ない、見逃しがちな良いところを洗い出してみるのだ。
書き出してみると、次のようなものが挙げられるだろう。
メモ例
- 信頼されている品質や期待に応えている技術
- 短納期で遅延のない物流
- 顧客から評価されているウェブサービスのインターフェース
- 小ロット対応や例外対応
会社の良いところと別のアイデアを組み合わせることができれば新規事業のアイデアとなるはずだ。
事例
例えば、富士フィルムが膜(フィルム)の技術を応用して、化粧品業界に参入した話は有名な話だ。おそらく参入当時、顧客の悩みを自分たちの強みとなる技術で解決できないか、何通りも新しい組み合わせを発想したはずだ。
2.業界全体のバリューチェーンからメモする
業界全体バリューチェーンから発想するポイントは、業界の川上から川下までの中で「いま起きていること」、あるいは「今後起こるかもしれないこと」を様々に拾い上げてみることだ。
業界で起きている様々なシチュエーションは、問題として顕在化していることもあれば、すでにどこかの企業が解決策を提供していることもある。逆に実は大した問題ではなく、世の中が過剰反応していることも少なくない。
大切なことは、「困っている」「欲しい」といった感情的な表現をメモするのではなく、事実をメモすることだ。
メモ例
- 人手不足で配達ミスが増加(物流業界)
- 外国人観光客が増え接客時に外国語で対応(小売業界)
- トンネルや橋などのインフラの老朽化(建設業界)
事例
例えば、 車共有サービスのUberの創業者トラビス・カラニックは、「世界で保有されている車の稼働率は5%も満たない」ことに着目して事業化したと言われている。こうした着目した事実が、時に新規事業のアイデアの柱になることも少なくないため、新規事業の発想法として幅広くシチュエーションをメモしておくことはとても大切だ。
3.顧客の不満・不安や、熱望・熱狂からメモする
利用している担当者や消費者のミクロな情報も、新規事業のアイデアを発想する上では欠かせない。必ずしもミクロな情報が業界の声とは限らないものの、たくさんのヒントを見つけられる。
そして、こうした声は人伝ではなく、出来るだけ生の声を聞くことを推奨する。
B2Bであれば、担当者と責任者に直接アポイントを取り率直な意見を聞き、要望から新規事業へつながることもある。
B2Cであれば、消費者に直接話を聞いたり、使っているところを観察したりすることで発見できたことをメモする。
自社や業界のバリューチェーンの場合は事実に軸足を置いたメモを書くのがポイントだが、顧客の場合は感情面についてもメモをする。
メモ例
- 何にこだわっているのか
- 何が嬉しかったのか
- 何に怒っているのか
こうした感情面と組み合わせてメモを残していくことで、例えば、「こんな使い方は提案できないか」「自社製品以外のメンテナンスもできないか」「こんな機能はつけられないか」といった気づきもあるかもしれない。また社内にお客様相談室がある場合には、顧客の声(Voice of Customer:VOC)を洗い出してみると良いだろう。
4.同業他社の新規事業からメモする
同業他社が新規事業に参入した場合、それを自社の新規事業として検討することも有効である。
具体的には、「同業の飲食業者が高齢者向け弁当の宅配サービスに参入したのを受けて、自社も検討してみよう」という考え方になる。
新規事業によっては、後発の方がリスクは低く顕在化した問題もクリアしやすい、つまり差別化が図りやすいといったメリットもある。品質や性能、価格、納期、サービスなどでライバル社と差別化できれば、勝算も見えてくるだろう。
メモ例
- A社が2018年1月に電力サービスを発表
- B社が2017年12月にドローンを使った農薬散布サービスを発表
- C社が2017年11月に仮想通貨を使った決済サービスを発表
5.成長企業の事業からメモする
自分が注目している魅力的な成長企業や成長業種に着目して、新規事業の内容をメモする。そしてその事業を自社の強みで捉えられないかと模索していくのも有効な方法として考えられる。
自分の興味関心から継続してその企業をウォッチしていると時系列で理解できるので、新規事業の発表を聞いたときに、何故その新規事業に取り組んだのか、その新規事業で何をしようとしているのか、どうやって儲けようとしているのかを考えやすくなる。
また、成長企業や成長業種には、多くの企業から提案が持ちかけられているため、より多くの最新情報が集まっていることが多い。そのため、成長企業や成長業種が行っている取り組みには、多くの発見がある。
6. 海外の成功事例からメモする
世界的企業が取り組んでいる新規事業をメモするのも有効だ。こうした企業は毎月の様に様々なサービスを発表しているので、何社か決めて継続的に見続けてもいいだろう。
メモする大企業の例
- ネット通販のAmazon
- 電気自動車のTesla
- ネット検索のGoogle
- SNSの Facebook
- 民泊のAirbnb
ヒント:急成長するスタートアップ
また、大企業側だけでなく、急成長しているスタートアップ企業が取り組んでいるサービスも新規事業メモの候補になり得る。スタートアップは自分たちが何者かを分かりやすくアピールするためにウェブページのメッセージを練り上げていることが多いので、Google翻訳を使いながら、ホームページを眺めるだけでもヒントになることが大いにある。
7.買収や出資案件をメモする
あらゆるモノとサービスがデジタルに進んでいる今、ネットビジネス以外にも様々なデジタルテクノロジーが出現している。新しい事業の種が世界で次々と誕生しており、こうした事業の種をもとに検討することもできる。
メモ例:デジタルテクノロジー
- ロボット
- 人工知能(AI)
- IoTを活用した情報サービス
- ドローンサービス
- AR
- VR
- ブロックチェーン
- 一味違うデジタル事業
事例
技術が先行する新事業は、毎日の様に世界のどこかでM&Aや業務提携が行われているので、ベンチャーキャピタルが投資しているテーマやスタートアップを追って行けば、新規事業のテーマに出会う確率はグッと上がるだろう。
例えば、ネットスケープナビゲーターを開発し、世界を代表する投資家の一人であるマーク・アンドリーセンは、「Software is eating the world.(ソフトウェアが世界を食い尽くす)」と語ったことで有名だが、彼は成長事業への投資について様々なヒントを公開している。
重要なのは、「うちの市場は国内だから」「海外は規制や習慣が違うから」という考え方でスクリーニングをするのではなく、とりあえず気になったらメモをしておくことだ。
最後に:メモから新規事業のアイデアを発想する
新規事業のアイデアをたくさんノートにメモしたら、それらをながめて新しい組み合わせを考えてみよう。例えば、このように組み合わせたりすることができる。
- 自社の強み×海外の成功事例
- 顧客の不満×成長企業の新規事業
様々な組み合わせを試してみるなかで、「誰のための事業なのか?」と考えて発想するとさらにアイデアの幅が広がりやすい。
どのような情報を利用して新規事業につなげるかを考えれば、アイデアは浮かびやすくなる。ポイントは、新しいアイデアをひねり出すというより、新しい組み合わせを考えてみるということだ。
オープンイノベーションという言葉がかなり浸透してきたが、「何」と「何」を組み合わせてみるか、という視点は、今後新規事業を考える上でますます重要になってくるだろう。
このウェブマガジンFINCHでは、新規事業のアイデアを企画に落とし込む際に使用できる、3人以上の新規事業検討チームで行えるアイデアの出し方や、取り組むべきアイデアを客観的かつ公正に評価する方法をまとめたダウンロード資料を無料配布している。
新規事業のアイデアを検討する際には、フレームワークとしてぜひ活用してほしい
- 新規事業の事業計画書サンプル
- 新規事業を成功させる22のステップ
- 新規事業・商品開発
コンサルティングの成功事例 - など

オススメの記事
-
仮説検証の実例:B2B型新規事業の「早期導入特典」による仮説検証方法
2020.04.10新規事業企画が思いつかない時に踏まえるべき2つの要素
2020.03.01新規事業の探し方:「考えること」より先に取るべき6つの行動
2020.02.27市場規模の算出方法:フェルミ推定の概算で得られる2つの視点
2020.02.18- 新規事業の事業計画書サンプル
- 新規事業を成功させる
22のステップ - 商品開発の成功事例
- 新規事業の事業拡大成功事例
無料資料をダウンロード>こんな記事が読みたい!FINCHへのリクエスト>経営や事業について相談したい!FINCHJAPANへ
無料相談>人気記事ランキング