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なぜ通らない?新規事業プレゼンが失敗する理由と、社内で通すための構成術を徹底解説

                   
プロセス
公開日:2018.07.31更新日:2025年6月16日

新規事業のプレゼンテーションを通すための知っておくべき4つの情報

なぜ新規事業のプレゼンは通らないのか?

新規事業のアイデアを実現するためには、社内プレゼンで関係者の理解と共感を得て、予算やリソースの承認を取り付ける必要があります。しかし現実には、いかに魅力的なアイデアであっても、伝え方を誤ると「刺さらない」「理解されない」「通らない」という結果になりがちです。

「なぜ、こんなに良いアイデアなのに通らないのか?」と感じたことがある方は少なくないでしょう。しかしその前に確認すべきなのは、「誰に、何を、どのように伝えるか」というプレゼンの設計そのものです。特に大企業では、評価者がアイデアの良し悪しだけでなく、戦略との整合性や実現可能性、リスクへの配慮など、複数の視点から判断を下します。

本記事では、大企業の新規事業担当者が社内でアイデアを“通す”ために必要なプレゼン構成のポイントを、実務に即した視点で徹底解説します。

 

【新規事業の立ち上げ・アイデアを出す方法に関する記事】
他記事でも新規事業の立ち上げ方法・アイデアの出し方について複数回にわたって解説しています。

合わせてご参考にしてください。

  1. 新規事業とは?立ち上げで重要なビジネスアイデアの探し方と6つの行動
  2. 新規事業のアイデアの考え方とは?簡単に出すための7つの方法
  3. 新規事業企画書はどう書く?必要な8つの項目を解説
  4. 新規事業のプレゼンテーションは何が大事?押さえておきたい項目とは
  5. 新規事業立ち上げのプロセスとは?22のステップを徹底解説

社内プレゼンの目的と「通す」ために必要な視点

新規事業の社内プレゼンの目的は、単にアイデアを説明することではありません。最終的には「相手に自分が望む行動を取ってもらうこと」がゴールです。つまり、プレゼンの本質は説明ではなく、意思決定を促すことにあります。

たとえば:

  • 直属のマネジャーには、上層部への上申を決意してもらう
  • 部長・事業部長には、経営層への起案を意思決定してもらう
  • 経営層には、Go/No-Goの最終判断を下してもらう

このように、誰がどの立場で何を判断するのかによって、プレゼンで伝えるべきポイントは大きく異なります。

また、社内プレゼンを通すためには、聞き手の期待や評価基準を正しく捉え、それに応えることが不可欠です。部門の戦略、業績目標、リソース制約、将来の成長性など、相手が何を重視しているかを把握し、それらに合致した価値やメリットを具体的に示すことで、関心と納得を得ることができます。

つまり、社内プレゼンを成功させる鍵は、「相手視点」で設計された伝え方にあるのです。

【関連記事】企画書とは?作成する目的や書く際のポイントを解説

相手の職位別「意思決定を動かす」情報設計

社内プレゼンは一度きりの勝負ではありません。多くの場合、マネジャー → 部長・事業部長 → 経営層と、複数のステークホルダーを段階的に説得する必要があります。それぞれの立場によって重視するポイントは異なるため、職位ごとに情報設計を最適化することが不可欠です。

マネジャー向け(企画の初期検証・伴走役)

マネジャーは、事業アイデアの初期段階で仮説の妥当性や情報の裏付けを重視します。比較的時間をかけてもらいやすいため、ロジックと情報の厚みが説得のカギになります。

押さえるべきポイント:

  • 顧客課題や市場ニーズの妥当性
  • ターゲット顧客像と成長ポテンシャル
  • 競合状況と差別化の視点
  • 初期投資額や収支の見通し
  • 事業化までの実行ステップと壁

部長・事業部長向け(戦略整合性・リソース判断)

部長クラスは、戦略的な整合性と全社・部門の資源配分視点で判断します。時間が限られるため、要点を簡潔に伝えながら「この事業は中期的な柱になり得る」と印象づける必要があります。

押さえるべきポイント:

  • 事業戦略との整合性と実現可能性
  • 投資インパクトと中長期の事業収支
  • 想定されるリスクと撤退基準
  • 社内リソース(人材・システム・予算等)の要求度

経営層向け(最終意思決定者)

経営層は限られた時間で意思決定の最終判断を下します。経営計画との一貫性や、財務的インパクトが明快に語られることが求められます。特に「数字で語る力」が問われる場面です。

押さえるべきポイント:

  • 中期経営計画やパーパスとの整合性
  • 企業価値(売上・利益・ブランド)への貢献可能性
  • 財務インパクト(IRR、ROI、キャッシュフロー等)の明示
  • 他事業との優先順位やポートフォリオ上の意義

それぞれの層に向けて、「何を判断してもらうか」を明確にし、その判断材料を設計することが、社内承認への最短ルートです。

伝わるプレゼン構成とは?5W2Hとストーリー化のコツ

社内プレゼンで重要なのは、「情報の網羅」と「論理の流れ」の両立です。いくら内容が正しくても、構成が整理されていなければ相手に届きません。ここでは、伝わるプレゼンを組み立てるための2つの基本構造を紹介します。

1. 5W2Hで情報を漏れなく整理する

まず、伝えるべき要素を5W2H(誰が・何を・なぜ・どのように)の視点で整理しましょう。これにより、企画の全体像が網羅的に伝わり、聞き手が判断しやすくなります。

  • Why(なぜ):なぜその事業をやるのか?背景や社会的・顧客的課題は何か?
  • What(何を):どのような製品・サービスを提供するのか?
  • Where(どこで):市場・販売チャネル・展開エリアは?
  • When(いつ):なぜ今やるべきなのか?タイミングの根拠は?
  • Who(誰が):顧客ターゲットは誰か?実行体制・リーダーは誰か?
  • How(どうやって):どのように実現するのか?方法・仕組み・パートナーは?
  • How much(いくら):初期投資、コスト構造、販売価格、収益見通しは?

2. ストーリー構成で「共感」と「納得」を引き出す

聞き手の腹落ち感を高めるためには、一貫したストーリー設計が欠かせません。以下の順序で展開することで、ロジックと感情の両面から相手を動かすことができます。

  1. 現状と課題の共有:なぜ現状では不十分なのか、どのようなギャップがあるのか
  2. 解決策としての新規事業:その事業がどう課題を解決するのか、ユニークな視点は何か
  3. 期待効果と根拠データ:市場規模、想定売上、競争優位性など、定量的な裏付け
  4. 実施計画と協力依頼:ステップ、体制、必要な支援(予算・人材など)
  5. 意思決定の喚起(クロージング):何を判断してほしいのかを明確に提示

構造化されたストーリーは、プレゼンの説得力を飛躍的に高め、聞き手の理解と意思決定を後押しします。

社内プレゼンを成功に導くには、「伝える内容」と「伝え方」の両輪が重要です。5W2Hで情報を整理し、ストーリーで相手の共感と納得を引き出すことで、アイデアが組織を動かす力へと変わっていきます。

人を動かすには?わかりやすさ+「クールさ」の両立

社内プレゼンにおいて、わかりやすい説明だけでは人の心は動きません。もう一段階、意思決定者を前向きにさせるためには、「クールさ」の要素が必要です。

ここで言う「クールさ」とは、以下の3つの要素が揃っている状態を指します。

  • 自分自身が成功を確信している熱量
  • その確信を裏付けるデータや論理的根拠
  • 過度な情熱に流されない、冷静で理性的な語り口

この3点が組み合わさることで、聞き手に「信頼感」と「期待感」を同時に与えることができます。

新規事業は、本質的に不確実性の高いチャレンジです。だからこそ、起案者自身が自信を持って未来を語り、論理で支える姿勢が、周囲を動かす最大のドライバーになります。

まとめ 新規事業プレゼンを通すための4つのポイント

新規事業の社内プレゼンで重要なのは、ただ説明することではなく、相手の意思決定や行動を引き出すことです。

そのためには、以下の4つのポイントを押さえておく必要があります。

  1. プレゼンの目的は「説明」ではなく「意思決定を促すこと」
    相手の立場や役割に応じて、判断してほしい内容を明確にする。
  2. 職位・関心に応じた情報設計とメリット提示
    マネジャー・部長・経営層、それぞれが重視するポイントを踏まえて構成する。
  3. 5W2H+ストーリー構成で論理性と網羅性を担保
    情報の抜け漏れを防ぎ、聞き手が納得できる流れを意識する。
  4. データと熱意のバランスが取れた「クール」な提案姿勢
    自信と根拠、そして冷静さを併せ持ったスタンスが、組織の心を動かす。

これらを意識することで、プレゼンは単なる説明の場から、事業を一歩前に進める突破口へと変わります。

新規事業プレゼンは「通すための技術」です。
相手の判断軸を見極め、構成を設計し、熱意を込めて届ける——その積み重ねが、組織の決断を引き出します。
一つひとつのプレゼンが、未来の事業を形にしていく第一歩となるのです。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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