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新規事業開発に必要なスキルと成功までのプロセスを紹介

                   
事業開発
公開日:2022.10.03更新日:2025年6月17日

新規事業開発とは

近年、技術革新のスピードが飛躍的に高まり、顧客ニーズも一層多様化・高度化しています。このような環境変化の中で、従来のビジネスモデルや商品・サービスだけでは、企業が中長期的に成長を続けることが難しくなっています。こうした背景から、新たな収益源の創出や競争優位性の確保を目的に、多くの企業が新規事業開発に注力するようになっています

新規事業とは、既存の事業領域やビジネスモデルにとらわれず、これまでにない市場や顧客に向けて新たな価値を提供する取り組みを指します。これは単なる新商品の開発にとどまらず、市場ニーズの探索、顧客インサイトの発見、ビジネスモデルの構築と検証、さらには組織体制や人材配置の再設計に至るまで、多角的かつ戦略的なプロセスが求められる活動です。

不確実性の高い領域で成果を出すためには、再現性のあるプロセス設計と、実践的なスキル・フレームワークの活用が不可欠です。次章以降では、現場で役立つ具体的なアプローチについて、実務の視点から詳しく解説していきます。

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新規事業を成功に導くために求められる4つのスキル

新規事業の立ち上げには、不確実性の高い環境下でも柔軟かつ粘り強く前進する力が不可欠です。アイデアを現実の事業として具現化し、組織内外の支持を得ながら推進していくためには、以下の4つのスキルが特に重要になります。

1. データ収集・分析力

未知の市場や顧客を相手にする新規事業では、直感や過去の経験だけに頼った判断はリスクを伴います。インタビューや観察といった一次情報、統計データや調査レポートなどの二次情報を的確に収集し、定量・定性の両面から分析する力が求められます。仮説の構築・検証を通じて、意思決定の精度を高めるための基礎となるスキルです。

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2. ロジカルシンキング

不確実性が高く、情報が断片的になりがちな状況では、複雑な状況を整理し、構造的に捉える思考力が問われます。事業仮説の立案や検証、課題の因果関係の整理、施策の優先順位づけなどにおいて、筋道を立てた論理的思考が欠かせません。仮説検証やロジックツリーといったフレームワークの活用により、思考の質とスピードが向上します。

3. プレゼンテーション力

新規事業は一人では進められません。社内の意思決定者、関係部署、外部パートナーや投資家など、多様なステークホルダーの共感と協力を得る必要があります。そのためには、構想を明確かつ魅力的に伝えるプレゼンテーション力が重要です。論理だけでなく情熱やビジョンを伝え、相手の理解と行動を引き出すことが求められます。

4. チームビルディング・統率力

新規事業は、複数部門の知見を結集する横断的なプロジェクトになることが多く、関係者との連携が不可欠です。その中で求められるのが、多様なメンバーと信頼関係を築き、共通の目的に向かって推進する「チームビルディング力」と「統率力」です。社内外の関係者を巻き込み、立場や役割の違いを越えてチームをまとめるには、柔軟なマネジメント目標への一体感の醸成が重要です。こうしたスキルは、新規事業の実行力を高め、構想を着実に前進させる原動力となります。

これら4つのスキルを意識的に磨き、実務の中で繰り返し活用することが、新規事業を着実に前進させ、成功へと導くための第一歩となります。

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新規事業開発の進め方 成功のための7ステップ

新規事業の立ち上げは、多くの企業にとって不確実性が高く、失敗リスクも伴うチャレンジです。そのため、プロセスを体系的に理解し、段階ごとに着実に進めることが成功のカギとなります。ここでは、新規事業開発を推進するうえでの基本的な「7つのステップ」を紹介します。

ステップ1:目的の明確化

まず、自社が新規事業に取り組む目的を明確にします(例:成長戦略の一環、既存事業の補完、新市場への参入など)。目的が曖昧なままでは、判断基準がぶれ、チームの意思統一が難しくなります。「なぜやるのか」を明文化し、社内で共通認識を形成することが出発点です。

ステップ2:社内体制の構築

次に、事業開発を実行できる社内体制を整備します。専任チームの編成、意思決定フローの明確化、リソースの確保など、組織としての土台を固めることが求められます。特に、経営層からの明確なコミットメントは、現場の推進力を大きく左右します。

ステップ3:市場・社内データの収集

戦略立案の前提として、外部環境(顧客ニーズ、競合動向、市場規模など)と内部環境(自社の強み・弱み、既存の資産など)を多面的に調査・分析します。十分なインプットを得ることで、構想の精度と現実性が高まります。

ステップ4:ターゲット設定

誰に、どのような価値を提供するのかを明確にする段階です。ペルソナの設定やカスタマージャーニーの設計を通じて、提供価値を具体化します。ターゲットと提供価値の解像度が、その後のビジネスモデル構築の土台になります。

ステップ5:アイデア創出

収集したインサイトをもとに、課題起点でアイデアを創出します。デザイン思考、ワークショップ、ブレインストーミングなどを活用し、多様な視点からソリューションを導き出すことがポイントです。発想の広さと実行可能性のバランスが求められます。

ステップ6:ビジネスモデルの具体化

創出したアイデアを、収益構造・提供方法・販売チャネル・オペレーション体制などの要素に分解し、ビジネスモデルとして構築します。リーンキャンバスやビジネスモデルキャンバスといったフレームワークを用いることで、構造の整理が容易になります。

ステップ7:市場での検証と改善

最後に、仮説にもとづいてMVP(Minimum Viable Product)を構築し、実際の市場で顧客の反応を検証します。フィードバックを反映して改善を繰り返すことで、事業の完成度を高めます。スピード感をもってPDCAを回す姿勢が重要です。

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実務で使える!新規事業開発に役立つフレームワーク

新規事業開発では、複雑な状況を整理し、意思決定の質とスピードを高めるために、フレームワークの活用が効果的です。以下は、実務で頻繁に用いられる代表的なフレームワークです。必要に応じて組み合わせながら活用することで、戦略立案の精度が向上します。

PEST分析

政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の観点からマクロ環境を俯瞰的に把握するためのフレームワークです。
活用シーン: 新市場参入前の環境分析や、外部要因による事業影響の洗い出しに有効。
事例: ヘルスケア業界に参入する際、規制強化(P)や高齢化社会(S)を踏まえた事業構想に活用。

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SWOT分析/クロスSWOT分析

自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)を整理し、戦略の方向性を導くフレームワークです。
活用シーン: 自社の立ち位置や強みを再確認し、注力分野やリスクを明確にする際に有効。
事例: 地方の中小製造業が、技術力(S)と地域ブランド(O)を活かした高付加価値商品の開発を検討。

アンゾフの成長マトリクス

「既存市場/新市場 × 既存製品/新製品」の4象限で成長戦略を整理するフレームワークです。
活用シーン: 成長戦略の方向性を決定するタイミングで活用。リスクと投資のバランスを考慮する指標としても有用。
事例: ECで既存商品を海外市場に展開する「市場開拓」戦略を立案。

3C分析

Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から市場を分析し、競争優位のポジションを見出すための基本的フレームワークです。
活用シーン: 競争が激しい市場において差別化の切り口を探る際に有効。
事例: SaaSプロダクトの市場参入時に、競合の価格帯・機能差と自社の独自技術を比較。

ビジネスモデル・キャンバス

顧客セグメント、提供価値、チャネル、収益の流れなど事業の9要素を1枚のシートで可視化するツールです
活用シーン: 事業アイデアを関係者と共有したり、事業モデルの見直しを図るときに効果的。
事例: スタートアップが資金調達用ピッチ資料の構成検討に活用。

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バリュー・プロポジション・キャンバス

顧客の課題・ニーズと自社の提供価値の関係性を整理し、「誰に・何を・なぜ提供するのか」を明確化するツールです。
活用シーン: 商品・サービスの立ち上げ前に、提供価値が顧客の課題に適合しているかを検証。
事例: フィットネスアプリ開発時、健康維持を目的とするミドル層の「手軽さ」へのニーズと、アプリの設計思想を照らし合わせて検証。

これらのフレームワークは、それぞれのフェーズや目的に応じて使い分けることで、新規事業の立ち上げをより論理的かつ効果的に進めることができます。自社の課題に合わせて柔軟に活用し、実務の中で定着させていきましょう。

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まとめ:スキル・プロセス・フレームワークを戦略的に活用しよう

新規事業開発を成功に導くためには、「人(スキル)」「やり方(プロセス)」「道具(フレームワーク)」という3つの要素を、戦略的かつ一貫性をもって連動させることが重要です。これらを個別に扱うのではなく、目的に応じて組み合わせ、現場で機能するかたちに落とし込むことで、再現性と実行力のある事業開発が可能になります。

特に不確実性の高い領域では、体系的な進め方だけでなく、柔軟な思考とスピード感のある意思決定が求められます。スキル・プロセス・フレームワークをバランスよく活用することで、組織としての学習効果や事業推進力が格段に高まります。

フィンチジャパンでは、企業の新規事業開発を、上流の戦略設計からスキル育成、実行フェーズの伴走支援まで一気通貫でご支援しています。

「社内にノウハウがない」「どこから手をつければいいかわからない」といった段階でも問題ありません。構想段階からご一緒できるパートナーとして、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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フィンチジャパンからのご提案:新規事業開発を「スキル・プロセス・フレームワーク」で成功に導くために

私たちフィンチジャパンは、2006年創業以来、400件を超える新規事業の立ち上げと事業成長を支援し、また150社以上の既存事業の再成長支援、DX/AI推進、経営戦略の立案・実行支援を行なってきております。

こんなお困りごとはありませんか?

  • 新規事業の立ち上げを任されたが、何から始めればよいのか迷っている
  • フレームワークや仮説検証の重要性は理解しているが、実際の現場で活用できていない
  • チームを組成したものの、進め方や役割分担に迷いがあり、動き出せない

私たちフィンチジャパンは、一例として以下の様なコンサルティング実績があります。新規事業の立ち上げを検討されている際はご相談ください。

  • ITサービスK社
    住宅サービスの事業開発を4年間伴走し、MVP検証から実装までを支援
  • 医薬品メーカーF社
    生活者視点の市場調査を起点に、リビング市場への新規参入戦略を策定(2年)
  • 化粧品メーカーL社
    健康志向市場に向けた予防サービスの構想・顧客検証・実装支援を1年で実施
  • 食品メーカーR社
    未参入のカテゴリに対して、企画から商品化までを約2年で推進
  • ITサービスK社
    新規事業における投資判断プロセスを整備し、ゲートマネジメントを構築(2年)

実行力のある事業計画を一緒に形にしていきましょう。私たちと共に、次の一歩を踏み出してみませんか?お気軽にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者

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株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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