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新規事業開発のコンサルティングの進め方

                   
新規事業・商品開発
公開日:2018.01.22更新日:2023年4月20日

新規事業への着手が不可欠である一方で、新規事業の推進が上手くいかないと悩む経営者も少なくないだろう。
そうした場合、コンサルタントを活用することもある。

ここでは新規事業を支援するコンサルタントが何をするのか、何を意識して取り組んでいるのかを説明する。

目次

新規事業開発におけるコンサルタントの役割

新規事業開発には「人材」「コスト」「時間」といった相当なリソースが必要である。
とくに人材は育成に時間がかかるほか、十分な人材を確保するためには相応の予算と働きやすい環境づくりが必須である。
このとき、コンサルタントなどの外部リソースを導入することで高い技術と知識を有する人材を円滑に導入でき、固定費不要で必要なタイミングを選んで人材を活用することが可能になる。
新規事業コンサルタントは多くの場合「コンサルティングファーム」に所属する。

コンサルティングファームには経営戦略の立案や改善を支援する「戦略系コンサルティングファーム」、幅広い業種の事業立案・戦略改善を支援する「総合系コンサルティングファーム」、IT業界を中心に事業開発を行う「ITコンサルティングファーム」などがある。
コンサルティングファームの社員は役割に応じて「アナリスト」「マネージャー」「コンサルタント」「マネージャー」の4つに分類される。
コンサルティングファームでは依頼を受けると、これらの4つの業種がその都度チームを形成し、経営戦略の課題に協力して取り組む。

新規事業開発でコンサルタントを導入するメリットとデメリット

新規事業を企画して推進していく上で、外部コンサルタントを導入するメリットとデメリットを以下に紹介する。
事業開発コンサルタントは当然コンサルタントであって、起業家ではない。
そのため彼らに任せることで事業が立ち上がるわけではない。

ただし多くの事業開発に関わっている経験でありがちな失敗を回避することができる。

期間契約の外部リソースを活用することのメリットとデメリット

新規事業の企画立案や計画策定は、作業そのものにゴールが無いため、闇雲に時間をかけて企画検討をしてしまうというケースが多い。
そこで期間契約やフェーズ区切りができるコンサルタントを導入することで、不確実なタスクに対してスケジュール管理やタスク管理を厳格にすることができる。
こうしたスケジュール管理やタスク管理をしっかり行うことができるのは大きなメリットの1つと言える。

もちろんデメリットもある。
不確実なタスクに対してスケジュール管理をしたりプロジェクトを行ったりすることを社内でやり切ることによって、組織能力が高まる利点もある。
そのため時間はかかるが社内のトライアンドエラーのレジリエンスを高める上では、コンサルタントの導入の全てがメリットとは言えないだろう。

社内メンバーだけで新規事業を立ち上げるとなると、大小さまざまな不確実なタスクを決めて推進していく必要があり、それなりのスキルを持ったメンバーを配置する必要があるが、こうした人材が社内にいる場合は、コンサルタントの登用を必須とせずに社内異動での検討も視野に入れると良いだろう。

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新たなノウハウを吸収することのメリットとデメリット

事業開発の経験が豊富なコンサルタントを導入することで、専門的な知識や知見を得られることも大きなメリットの1つと言える。

もちろん企業によっては、これまでにも新規事業を開発した経験があり、ある程度ノウハウを理解している場合もあるだろう。
しかし、年間数十件あるいは100件以上もの事業開発に携わるコンサルタントは、他業界の動向やアイデア発想、膨大な情報量があり、新規事業開発に限って言えば、有しているノウハウに大きな違いがある。
そのため自社メンバーだけで取り組む場合と比べて、明らかにスピード感を持って新規事業の検討を進めることができる。

デメリットもある。
コンサルタントは自社の企業風土や価値観に完全に合致したアイデアや情報を有しているわけでない。そのためコンサルタントが提供するノウハウ通り進めれば、自社にふさわしい事業が企画できて立ち上がるわけでは無い。

「自社にあった事業とは何か」を考え実行できるメンバーは社内にしかいないという前提でコンサルタントを使う必要がある。

別の角度からの新たな視点を得られるメリットとデメリット

コンサルタントは多くのプロジェクト経験から、新規事業の検討で自社でない新しい視点や切り口を提供する。
自社メンバーだけで検討することで起こりがちな閉塞感を改善できることは、導入する際にメリットになる。
「市場の兆しはどうやって見つけるのか?」「顧客ニーズの仮説検証の方法は?」このような疑問が次々と出てくる新規事業開発において、別な視点でサポートしてくれるコンサルタントがいることは強力なメリットと言えるだろう。

新たに事業を考案する際は何度も議論の場が持たれるが、幾度とない話し合いを重ねるうちに、客観的に見直すことができなくなることがある。
実際、気付けば消費者のニーズから大きく外れていたというケースは少なくない。また、自社内で議論するとなると、上下関係や部署ごとの発言力といった力関係が少なからず影響し、個々が意見を出すのは難しくなる。

コンサルタントという中立な立場を置くことで、さまざまな社員からアイデアを引き出すことができるだけでなく、コンサルタントからも客観的な意見をもらうことができるだろう。

別の角度から気付きを得られるコンサルタントの導入にはデメリットもある。
多くの気づきが得られることは良いのだが、それは過度にコンサルタントに信頼してしまうことにつながる。
新規事業は自社メンバーが自分ごととして熱量を持って進めていくことで初めて会社の次の事業の柱となる。

コンサルタントの分析をそのまま採用するのではなく、「自社としてやるべきか」という問いに答えるのは自分達の最大の仕事であるという認識を持って、コンサルタントの導入が必要となる。

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新規事業の支援でコンサルタントがすること

新規事業とは、既存の得意な市場ではなく新しい市場でマネタイズをしようとする試みだ。
「言うは易く行うは難し」という言葉のように、実際にどんなビジネスを実らせ、どのように行なうかという時に、迷ってしまうケースは往々にある。

そこで、コンサルタントを雇う場合、まず新規事業の策定段階には、ステータスが大きく2種類あることを念頭に入れて欲しい。

  1. 新規事業の立案:「何をやるかが決まっていない」
  2. 新規事業の実行支援:「やると決めた事業をどうすれば実行できるのかがわからない」

そこで、このような大枠の中で、コンサルタントがどのような支援を進めていくかのか、これから一つずつ見ていこう。

1.新規事業の立案

新規事業支援においてコンサルタントが関与するポイントはさまざまだが、主な内容は実に幅広い。

  • 新規事業の探索
  • 戦略の立案
  • 事業計画づくり
  • 事業化

ただし基本的にはマーケット変化に基づく、新規事業の展開が基本となる。

1-1.現状把握支援

コンサルタントは、依頼企業が検討する新規事業のドメイン(領域)を理解するとともに、経営資源の分析を行う。
主にその企業の「強み」と「マーケットの機会」の組み合わせの中から、現状実施し得る新規事業のタネを模索する。
この時点では、新規事業に活用できる自社の強みを特定できないことも少なくないため、その新規事業に取り組む必然性がどの程度あるかを模索するレベルと言っていいだろう。

1-2.マーケット変化の把握支援

その企業が持つどの「強み」でどの有望市場、長市場で勝てるか、どのようなマーケット変化に対応できるのかについて分析・検討する。
マーケット変化を把握する上で気をつけることは、『過度に技術から入らないこと』だ。

例えば「AIで何ができるか」「特定解析技術で何ができるか」というアプローチを行うと「できること」探しになってしまい、事業を描きにくくなってしまう。

技術から入らない方法としては、コンペリングイベントと呼ばれる、『変化せざるを得ない差し迫った状況は何か』を探索した方が効率的に事業のタネを発見することができるだろう。

例えば、2020年の東京オリンピックの開催や、消費税10%というのは、非常に大きなコンペリングイベントであるが同時にほとんどの企業に当てはまる。

捉えるべきマーケット変化が絞り込めてくると、新規事業を展開する領域も具体的になってくる。そこでより詳細の市場調査を行う。

1-3.市場調査

市場調査は3つの視点で調査を行う。

  1. 顧客
  2. 類似事業(競合)
  3. パートナーシップ

現時点では顧客は想定顧客であるが、マーケットの変化に対してどう取り組むのか、何に投資していくのかが見えてくれば大きなヒントになる。

国内外の類似事業の調査も行う。X-tech系の事業は、海外スタートアップが先行している場合が多いため、海外調査を多めに行うと良いだろう。
この段階で競合との優位性を深掘りする必要はなく、類似事業がビジネスとして成り立っているのかどうかを重点的に見る。

最後に協業可能なパートナー探しも並行して行う。
近年では自社資源だけで事業を立ち上げるのではなく外部と協業していくケースが増えているため、早い段階で有力なパートナーと出会うことができれば、新規事業の確度は大きく高まる。

1-4.商品開発

これまで集めて情報を踏まえて、商品やサービスを企画する。商品開発とは簡単にまとめると、次の3つの要素でできている

  1. 誰の
  2. どんな悩みを
  3. どうやって解決するか

具体的な商品のイメージを出すことで、新規事業のイメージがより鮮明になっていく。
小粒な商品企画や多少的外れな商品企画も出てくるだろうが、議論を重ねて1〜2個の商品やサービス企画に絞り込む。この後の調査やプレセールス活動で検証する。

1-5.事業計画づくり

絞り込んだ商品企画を元に事業計画を作る。最も重要なのは事業規模だ。

この時点で事業規模が持続的に大きくできる見込みがなければ、商品企画の見直しが必要になる。
反対に、徐々に大きくできる計画が立てられるならば、それは商品企画としてまずは及第点と言える。

また新規事業を展開する上で、必要な人員や資金についても大枠決めておく。
四半期毎やフェーズ毎に段階的に事業が成長していくイメージを数字で捉えておく。
ここで作られる事業計画は、常にブラッシュアップをしていく土台になる。

1-6.ビジョンづくり

これまで議論してきた内容を3つに仕分けする。

  1. Will:やりたいこと
  2. Can:できること
  3. Must:やらなければならないこと

そして、プロジェクトチームとしての「Will(やりたいこと)」を明文化する。
これから多くのチームメイトを集めるためにも、できるだけ大きな「Will(やりたいこと)」がいいだろう。

例えば大きな明文化というと、次のような文章がいいだろう。

  • 「これからの時代を〜にする」
  • 「〜を当たり前にする」
  • 「圧倒的に〜になる」

こう言った表現ができると共感性が高まる。

1-7.パートナーシップづくり

パートナーとの関係構築のタイミングはケースバイケースであるが、新規事業具体的に進めるためにも、事業実現のカギとなる事業会社やスタートアップを早い段階でパートナーシップを構築しておくのが有効である。

ただし企業文化が異なるパートナーと同じ目標に向かって共同事業を推進できるだけの関係構築には相応の時間がかかるため、「この会社」と決めたら積極的に関係構築すべきである。

1-8.投資判断

事業会社の中で新規事業を立ち上げる際には、経営による事業投資判断を得る必要がある。
経営は新規事業からすると投資家である。また、新会社設立なのか社内事業なのかによっても、投資判断のポイントは変わってくるため、投資判断の内容に合わせて綿密な準備を行う。

投資判断を説明するタイミングは様々であるので、1枚、3枚、10枚、30枚の4パターン位でいつでも説明できる様にしていく。

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2.新規事業の実行支援

新規事業として承認され、いよいよ事業開始となっても多くの難関が立ちはだかる。
当初の想定とはかなり違っていたということが起こることも少なくない。
また、新規事業を企画するフェーズと、実行するフェーズでは必要なスキルが変わってくる。

そのため新規事業はチームで推進することで成功確率は高くなる。

2-1.ミッションとメンバーの設定

事業化初期段階では、業務別にミッションを決めて各々の業務を立ち上げていく。

  • 営業担当
  • 開発担当
  • 管理担当

このタイミングでは役割別に組織化するのではなく、メンバーは自分が担当する領域と事業全体は最低でも半々くらいで関わっていた方が、今後、事業規模が大きくなっていった時のズレを小さくできる

コンサルタントがメンバーの選出に協力することもある。
選出の際には事業立ち上げの経験だけでなくスキルについても客観的に評価する。

2-2.商品・サービスの確定とローンチ

社内外からもらった様々な意見を踏まえつつ、提供する商品・サービスを確定させる。

その際、特定の顧客の意見を聞きすぎたり、社内の声を反映しすぎたりせず、できるだけ多くの顧客に当てはまる様な標準的な商品・サービスを決める。
この標準商品の決定には多くの困難があるが、メンバーによる徹底的な議論を行い、価格も含めて標準を確定させる。

2-3.顧客の獲得

「お金を払って導入しよう」と判断してくれる顧客を獲得する。

商品・サービスを確定させる前に、できるだけ多くの見込み顧客にはコンタクトして、その反応を見ておく。
初期顧客は、できるだけその商品・サービスのシンボルになる顧客を狙う。次の顧客を獲得する上で大きな弾みになる。
そして、初期顧客には「導入事例として企業名を開示して紹介できるか」を何度もお願いする。

2-4.コミュニケーション

徐々に顧客が獲得され始め、関与するメンバーが増えてくると、事業としては順調であってもチーム内の課題も顕在化してくる。
よくあるのはコミュニケーション不足だ。

ITを活用して情報共有を徹底するのはもちろんのこと、オフィシャル、アンオフィシャルなコミュニケーション双方の質と量を配慮する。
またコミュニケーションは、指示ではなく各メンバーの自律的な活動を支援することを目的にする。

引き続き事業化していくためには、パートナーとの関係構築や事業目標となるKPIの管理や組織づくりなど非常に多くのテーマに対処していく必要がある。

新たな4つのタイプの新規事業への対応

ここまで、新規事業開発のコンサルティングを行なう際の進め方と意識するべきことを紹介した。

しかし、IoTやAIなど新しい技術の登場により、マーケットは大きく変化し、これまでとは異なったタイプのビジネスが登場している。新規事業企画ではこうした新しい流れに対応することも求められている。

そこで、特に目新しい新規事業の4つのタイプについて、事例を交えて紹介しよう。

【関連記事】新規事業立ち上げのプロセスとは?22のステップを徹底解説

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1.デジタルトランスフォーメーション(DX)のビジネスへの参入

デジタル技術の活用で新たなビジネスモデルを創出し、顧客に新たな価値を提供するというデジタルトランスフォーメーションに対応する新規事業も多数登場してきた。

例えば、セミオーダー住宅をスマートフォンで販売するジブンハウスは、VR技術を活用して、顧客に工務店に行く前から購入判断ができるサービスを展開している。
設立2年で70社以上が同社サービスを利用し、50棟以上の住宅が上棟している。
彼らの業務プロセスはほとんどスマートフォンなどによるデジタルコミュニケーションで完結している。

2.サブスクリプション型ビジネスの立ち上げ

米国のDOLLAR SHAVE CLUB社はひげ剃り用カミソリを1カ月単位で、細かく提供サービスを分けて提供している。

  • 2枚刃×5個で1ドル
  • 4枚刃×4個で6ドル
  • 6枚刃×4個で9ドル

このサブスクリプション型ビジネスは定額・定期利用の販売形態で、海外だけでなく国内でも増加しており従来の売り切り型ビジネス市場を切り崩しつつある。

このビジネスはITを活用した顧客管理で長期的な利用を促すため安定収益が期待できる。
また、購入より契約時の金銭的負担が少ないため新規顧客の開拓が売り切り型よりも容易で、「すること重視」の顧客ニーズを捉えやすい。

 3.AI、IoT、ビッグデータを活用した潜在ニーズ把握

アマゾンはデジタル技術の活用で従来型の書籍販売のビジネスプロセスを変えている。
同社はITの活用で豊富な品揃えや快適な検索、購入履歴に基づく商品紹介などのサービスを導入して業績を伸ばし、実店舗の販売プロセスを陳腐化させた。

今後はAI、IoT、ビッグデータなどの活用により顧客・商品等の情報を収集・分析して潜在化している顧客ニーズを把握することが重要となるだろう。
そして、それを新たな価値として創出し提供するビジネスが求められている。

コンサルタントはこうした新しいタイプのビジネスの開発支援にも応える必要がある。

4.スタートアップとのコラボレーション

有望な技術・商品等を有するスタートアップとの連携は、新規事業開発を進める上で今後ますます重要になってくる。
AIやIoT、ブロックチェーン、VR、自動運転などさまざま新技術やそれを活用したサービスを提供するスタートアップが誕生しており、利用しない手はないだろう。

依頼企業の新規事業開発のコンセプトにあったスタートアップを探し、連携の仲介及び協力体制の構築もコンサルタントの重要な支援となるはずだ。

【関連記事】新規事業開発とは?必要なスキルと成功までのプロセスを紹介

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新規事業の支援でコンサルタントを導入するときに押さえておきたいポイント

ここでは、新規事業開発でコンサルタントを導入する際のポイントについて解説する。

ポイント①新規事業の立ち上げに関する思いを共有する

まずは、新規事業の立ち上げに向けてそれぞれの思いを共有することが前提だ。
事業の目的や目標、将来像などを共有しておくことで、その事業の方向性を明確に示すことができる。
事業を進める中で軸から逸れた時には、その度に原点に戻り事業の根本を確認しよう。

ポイント②自社メンバーとコンサルタントの役割を明確に分けること

コンサルタントに丸投げするのではなく、自社メンバーとコンサルタントで役割分担をすることが大切だ。
あくまでも自社の立場や状況を理解しているのは社内の人間であり、コンサルタントは社内では難しい「客観的な視点」で意見を出し、推進をサポートするという存在が好ましい。

自分たちには見えない自社の弱点や課題などを聞き出し、それに対する具体的な推進のあり方をディスカッションしながら決めていくというのが理想と言える。
必ずしもアドバイス機能だけにコンサルタントの役割を絞る必要はない。共同作業をしていき事業推進をしていくパートナーとして付き合うことが成功の秘訣だ。

ポイント③コンサルタントとの会議と別に社内ミーティングの場を設けること

コンサルタントを交える前に、まずは社内メンバーだけでミーティングの場を設けたい。

コンサルタントは社内に常駐しているわけではないため、意見交換や助言が得られる時間は限られているが、そこで自社の社員の意見がまとまらなければ結論が出ず、事業計画が滞ってしまう。
社内メンバーの意見や方向性をある程度まとめた上でコンサルタントと話し合いの場を持つことで、より生産性のあるミーティングとなり、それを積み重ねれば新規事業が形になっていくだろう。

ポイント④情報共有を活発に行うこと

社内メンバーとコンサルタントの間で、常に情報共有を図ることも欠かせない。
新規事業を確実なものにするためにはスケジューリングが非常に重要となるが、社内メンバーだけでは判断が難しく、ベストなタイミングを逃してしまうケースがある。
一方、コンサルタントは市場の動きなどを見ながらタイムリーな助言を行うことができるため、常に自社内の最新情報を伝えておくと的確な意見がもらえるだろう。

【関連記事】新規事業の成功例を紹介!成功の共通点と押さえておきたい考え方

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コンサルタントにかかる費用相場

コンサル選定支援サービス「PROFIT」による実績データによれば、新規事業テーマでコンサルティング会社に支援を依頼すると、約2,000万円の依頼費用がかかることがわかっている。

コンサルティング費用にはプロジェクト報酬のほか、成果報酬や定額報酬などの料金体系が存在する。
プロジェクト報酬制ではプロジェクト単位で契約が結ばれ、費用の相場はプロジェクトの規模によって変動する。
また、成功報酬制ではコンサルタントのアドバイスによって得られた成果に対し、一定のマージンが支払われる。

会社によって価格には大きく変動が見られ、300万円台で依頼可能な会社もあれば、最大5,000万円の費用を要する会社もある。
また、費用の幅は検討事項の多さや検討アプローチの難易度、依頼するファームの単価によっても大きく変動する。
さらに、事業内容すべてに依頼内容を含めるのではなく時間契約・スポット契約の利用も可能である。

時間契約・スポットコンサルの最低価格は1時間5,000円〜で、価格上限はないため場合によって10万円以上が費用として必要になるケースがある。

コンサルタント会社に依頼する場合は、依頼内容や必要な費用について複数社を比較し検討することで、自社のニーズを叶えられる適切な会社を選ぶことが望ましい。

コンサルタントに依頼する際の進め方

コンサルタントに依頼するときの一般的な進め方は以下の通りである。

はじめに状況整理と依頼事項のまとめ作業を行う。
現在新規プロジェクトがどのような状況にあり、どのような課題を抱えているかを明確にすることにより、どの課題については自社で解決を行い、どの作業を依頼するのかを決定する。
環境分析によって新規事業の方向性が明確になり、大まかな事業の流れが決定する。
環境分析には「強み・弱み・機会・脅威」などの観点から現状を把握するSWOT分析が便利だ。

つぎに、依頼内容に関してコンサルタントとの間で提案・検討を重ねる。
コンサルタントとの打ち合わせを経て、必要な支援内容や必要な費用の大枠が決まったら、実際にコンサルティング契約を締結する。
その後、コンサルタントによる各種提案をもとに、依頼内容にどのプロジェクトを盛り込むかを検討する。
コンサルタントとの手続きが完了次第、実際の新規プロジェクト実施、コンサルティングの実践に移る。

まとめ

新規事業の開発支援は、マーケティング戦略の考えに基づいた方法で実施されるケースが多い。

コンサルタント契約には費用が発生するが、計画実行への支援や新たなノウハウの獲得ができるだけでなく、期間と成果物を明確にすることで結果的にコスト低減にもつながることが期待できる。
また最近はマーケットの変化が早いため自社の強みよりも機会を起点にした事業開発が求められるが、コンサルタントをうまく活用することで的確な判断ができ、よりスピーディーに新規事業を軌道に乗せることが可能になるだろう。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

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PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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