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LBMとは?ロケーションベースマーケティングの意味と活用事例を実務視点で解説

                   
マーケティング
公開日:2018.12.20更新日:2025年6月13日

ロケーションベースマーケティング(LBM)とは?その重要性と具体例

ロケーションベースマーケティング(LBM)とは

LBMの定義と仕組み(What)

ロケーションベースマーケティング(Location Based MarketingLBM)とは、スマートフォンやGPSなどのデジタルデバイスを通じて得られるユーザーの位置情報を活用し、特定の場所やタイミングに合わせた情報や広告を配信するマーケティング手法です。

従来のマーケティングが年齢や性別、興味関心といった属性ベースで行われてきたのに対し、LBMは「今、どこにいるか?」というリアルタイムな状況をもとにしたアプローチが可能です。これにより、消費者の行動や心理に寄り添ったパーソナライズドな体験を提供することができます。

【関連記事】パーソナライズとは?消費財メーカーの次世代One to Oneマーケティングのやり方

なぜ注目されているのか?(Why)

LBMが注目される背景には、以下のような市場環境の変化があります:

  • スマートフォンの普及により、常に位置情報を取得できる環境が整った
  • デジタル広告の進化によって、リアルタイムなパーソナライズ広告が可能に
  • 消費者の購買行動がオンライン・オフラインを行き来するO2O型へとシフト

特に、実店舗を持つ小売・飲食業界では、来店促進やタイムセール、近隣店舗の誘導など即時性のあるアクションを引き出せる手段としてLBMは非常に有効です。

どんな仕組みで活用されるのか(How)

LBMの仕組みは大きく以下のステップで構成されます:

  1. 位置情報の取得:スマートフォン、GPS、Wi-Fi、ビーコンなどを通じてユーザーの現在地を把握
  2. セグメントの設計:位置・時間帯・過去の訪問履歴などをもとにターゲットを絞り込む
  3. 最適なコンテンツの配信:位置や行動に応じた広告、クーポン、店舗情報などを配信
  4. 効果の測定:来店率、クーポン利用率、回遊分析などで施策の成果を可視化

このようにLBMは、「場所」「時間」「行動」という3つの軸で消費者を捉え、より高いコンバージョンとエンゲージメントを実現するマーケティング手法なのです。

【関連記事】インフルエンサーマーケティングの成功事例に学ぶ3つの重要なポイント

 LBMのメリットと活用が進む背景

オンラインとオフラインの融合が求められる理由

現在のマーケティングでは、オンライン施策とリアル店舗での体験(オフライン)をいかに結びつけるかが重要な課題となっています。
その背景には、以下のような消費者行動の変化があります:

  • オンラインで情報を調べ、オフラインで購入や体験を行う
  • 実店舗で商品を確認した後に、オンラインで購入する

このように、消費者は複数のチャネルをまたいで行動しており、それぞれの接点に応じた情報提供や体験設計が不可欠です。

LBMは、「今、ユーザーがどこにいるか」という情報をもとに、適切なタイミングでリアルな行動を促す手段として、こうしたチャネル横断型のマーケティングを強力に支援します。

リアルな行動データがもたらす価値

LBMによって取得できる位置情報は、単なる属性情報では読み取れないリアルな行動の文脈を明らかにします。たとえば:

  • ユーザーが「どのエリアに頻繁に出入りしているか」
  • 「店舗の近くにいるか」「他ブランドと比較検討中か」
  • 「雨天時の来店傾向」「時間帯ごとの滞在傾向」など

これらのデータをもとに、顧客の行動や心理を予測し、次の一手を打つことが可能になります。特に実店舗を持つ事業者にとっては、来店という最終アクションを引き出す施策設計に大きく貢献します。

業種別にみるLBMの有効性

LBMはさまざまな業種で活用が進んでいます。特に効果が高いのは次のような分野です:

 

業種 活用シーン
小売・飲食 近隣ユーザーへの来店促進、タイムセール告知
観光・レジャー 地域限定クーポン、観光スポットでの周遊促進
不動産・住宅展示場 近隣での物件案内、イベント誘導
自治体・地方創生 来訪者への情報提供、地元店舗との連携
イベント・エンタメ 開催地周辺への訴求、再訪誘導キャンペーン

このように、「場所とタイミングに最適化した訴求」が重要な業界において、LBMは高い費用対効果を発揮しています。

 ロケーションベースマーケティングの活用事例3選

事例①:xAd社 × ダンキンドーナツの来店誘導施策

アメリカの位置情報マーケティング企業 xAd(現 GroundTruth)は、ファーストフードチェーン「ダンキンドーナツ」と連携し、ユーザーの現在地に応じた広告配信を実施しました。

  • ターゲットは「ダンキンの近くにいるスマホユーザー」
  • 該当地域に入ったタイミングで、近隣店舗のクーポンやキャンペーンを配信
  • クリック後は、来店を促す地図・ナビゲーションページに誘導

その結果、キャンペーン期間中の来店率は通常時の数倍に上昇し、位置情報広告の即効性と効果が実証されました。
これは「今この場所にいる」という“コンテキスト”を捉えた好事例と言えるでしょう。

参考資料: Dunkin’ Donuts – GroundTruth Website

事例②:ポケモンGOと企業タイアップのO2O施策

ARゲームの代名詞ともいえるポケモンGOは、位置情報とエンタメを組み合わせたO2O(Online to Offline)施策の成功モデルです。

  • ゲームユーザーは、実際の街中を歩いてポケモンを集めるという“位置連動型体験”を提供
  • マクドナルドやイオングループなどがスポンサーとなり、自店舗を「ポケストップ」として設定
  • 結果として、普段訪れない層が対象店舗に訪問・購入する導線が生まれた

また、地方自治体と連携した「観光地でのポケモン出現イベント」では、地域への集客・観光消費の活性化にも貢献。
エンタメ×位置情報の融合による波及効果は、企業だけでなく地域社会にもメリットをもたらしました。

 

関連記事:ポケモンGO×地方創生|観光誘致でポケモンGOを活用する5つの事例と3つの課題

事例③:近年の新事例 – 配送サービス、観光施策など

近年ではさらに多様な業界でLBMが活用されています。以下は代表的な最新事例です:

▶ Uber Eats:配達員の行動データ × ターゲティング広告

  • 配達エリア内の飲食店を対象に「配達ついで」に来店を促す広告配信
  • 地域密着型で、ユーザーの“今いる場所”と“食のニーズ”を結びつける

ドン・キホーテ:店前通過ユーザーへのプッシュ通知

  • GPSとアプリ連携により、店舗周辺の通行者に限定クーポンやおすすめ商品情報を配信
  • 結果:通過者→入店者へのコンバージョン率が大幅に上昇

自治体:観光客向けの位置連動型ナビ&クーポン

  • 観光スポットに近づいた観光客に地元店舗の情報をリアルタイムで配信
  • 地元事業者と連携し、地域消費の創出と分散を促進

 LBM導入時の課題と成功のポイント

課題①:プライバシーと個人情報保護の問題

LBMを活用する上で避けて通れないのが、プライバシーとデータ保護の問題です。
近年は以下のような規制強化が進んでおり、位置情報の取得・活用には慎重な設計が求められます:

  • GDPR(EU一般データ保護規則):個人の同意取得と利用目的の明確化が必須
  • 日本国内の個人情報保護法:位置情報も「個人関連情報」として厳しく管理対象に
  • Cookie制限(サードパーティ排除):Webだけでなくアプリ側での取得設計が重要に

したがって、ユーザーにとって安心・安全な環境づくりと、事前の同意プロセスの設計(オプトイン対応)が大前提になります。

課題②:データの取得精度と活用の壁

位置情報は取得方法によって精度や範囲にばらつきが出るのも注意点です:

 

取得手段 特徴・課題
GPS 高精度だがバッテリー消耗が激しい。屋内では精度低下
Wi-Fi/Bluetooth(ビーコン) 商業施設・駅・店内で活用されるが、設定や導入コストがかかる
アプリ経由の許可型取得 ユーザーの許可が前提。取得範囲が限定されることも

また、位置情報だけではユーザーの意図や感情まではわからないため、他のデータ(購買履歴、Web行動、SNS発言など)との組み合わせが重要になります。

LBMを成功させる5つの視点

LBM施策を実効性の高いものにするには、以下のような観点がカギになります:

  1. ユーザー目線の「価値提供」
    →「近くのお店だから来てほしい」ではなく、「今その人にとって必要な情報か?」という視点
  2. 体験シナリオの設計
    → 位置情報に基づいて、どのような行動を促し、どんな体験で終わらせるかの設計
  3. 他施策との連携
    → メール、SNS、アプリなどとの統合で接触頻度とエンゲージメントを高める
  4. 効果測定の設計
    → 来店率、クーポン利用率、滞在時間など具体的なKPIを設定
  5. 改善サイクルの構築
    → データから学び、シナリオを最適化するPDCA設計

LBMは「ただ広告を配信すれば来店につながる」という単純な話ではありません。
ユーザー文脈を捉えた情報提供と、技術・体験設計・データ統合の全体設計が、成功の分水嶺になります。

 フィンチジャパンが考えるLBMの可能性

DX文脈での位置情報活用

LBMは単なる広告手法ではなく、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する重要な一手にもなり得ます。
その鍵を握るのは、「位置情報 × 自社データ × 顧客体験設計」という視点です。

たとえば、小売業であれば:

  • 顧客の位置情報に購買履歴や属性データを掛け合わせ
  • 店頭スタッフが接客時に個別対応できるようCRM連携
  • エリア別の来店分析をもとに出店戦略や棚割を最適化

このように、位置情報は企業内の他のデータ資産と融合することで、ビジネスインパクトのある意思決定へ昇華できます。

事業開発・ブランド体験との接続

フィンチジャパンでは、LBMを「新しい顧客体験の起点」として活用する可能性に注目しています。
具体的には以下のような文脈での活用が考えられます:

  • 新規事業開発との連携
    →「特定エリア限定サービス」や「地域共創型ビジネス」のユーザー検証基盤として位置情報を活用
  • ブランド体験の強化
    → オフライン空間(店舗・イベント)と連動したデジタル演出で、五感を通じたブランド記憶の定着を図る
  • 自治体・地域との共創
    → 地方創生や観光振興において、地元企業と組んだエリア連動型キャンペーン設計

これらは単なる販促活動ではなく、事業の構造設計に直結する取り組みと位置づけられます。

今後企業が注目すべきLBMの方向性

今後、企業がLBMを戦略的に活用するためには、以下のような視点が求められます:

  • リアル体験の差別化価値を再定義する
  • 位置情報を“点”でなく“流れ”で捉える
  • 顧客中心設計(カスタマージャーニー)と連動させる
  • 短期成果だけでなく中長期の関係構築視点を持つ

特に、「体験の文脈をどうつくるか」という視点が、これからのLBM活用の肝になります。

LBMは、「リアルな顧客接点」と「デジタル施策」を繋ぐ“架け橋”です。
マーケティングだけでなく、事業設計・ブランド構築・地域戦略など多様な文脈で進化する余地を持っています。
これからの企業にとって、LBMは単なる流行ではなく、競争優位を築くための本質的な取り組みとなるでしょう。

 フィンチジャパンが支援できること ― LBM活用のその先へ

本記事では、ロケーションベースマーケティング(LBM)の基本から、実際の活用事例、導入における課題までを実務視点で整理してきました。
では、こうしたマーケティングの先に、企業はどのような「変革」や「成長」を描くことができるのでしょうか?

私たちフィンチジャパンは、LBMのような先端マーケティング手法を起点に、事業全体の変革や成長戦略へとつなげていく支援を行っています。

たとえば、こんなご相談をよくいただきます:

  • 「位置情報を活用した施策は検討中だが、どう事業に組み込めばいいか見えていない」
  • 「マーケティング単体ではなく、新しい収益構造や顧客体験全体を設計したい」
  • 「既存事業にLBMを掛け合わせて再成長を図りたい」

フィンチジャパンでは、新規事業開発・DX支援・既存事業の再成長といったテーマに対して、企画から実行まで一気通貫でサポートしています。
また、社内に蓄積したデータや業務資産を活用しながら、「事業変革」の実現に向けたパートナーとして伴走しています。

LBMのような技術的トピックは、単独では終わらず、経営・事業・顧客体験とどう接続するかが問われる時代です。
私たちは、そこにこそ価値の本質があると考えています。

フィンチジャパンからのご提案|ロケーションベースマーケティング(LBM)の戦略活用をお考えの皆さまへ

私たちフィンチジャパンは、2006年創業以来、400件を超える新規事業の立ち上げと事業成長を支援し、また150社以上の既存事業の再成長支援、DX/AI推進、経営戦略の立案・実行支援を行なってきております。

こんなお困りごとはありませんか?

  • LBMの活用を検討しているが、事業全体との接続方法がわからない
  • 広告施策にとどまらず、体験設計やブランド戦略まで統合したい
  • デジタルとリアルを横断した新たな収益モデルを構想中だが、具体化に課題を感じている

LBMは単なるマーケティング施策にとどまらず、事業成長やブランド体験の要ともなり得ます。そのためには、戦略的な設計と実行体制が不可欠です。

私たちフィンチジャパンは、一例として以下の様なコンサルティング実績があります。新規事業の立ち上げを検討されている際はご相談ください。

  • 化粧品メーカーL社:予防市場の新サービス開発(1年)
  • ITサービスK社:住宅サービスの事業開発(4年)
  • エネルギー企業O社:DX改革(約3年)
  • 飲料メーカーC社:健康市場向け新商品開発(約6ヶ月)
  • 自治体案件:地域ネットワークの社会実装支援(3年)

ロケーションベースの施策を起点に、事業全体の変革や顧客体験の最適化まで、貴社に最適な形でご支援いたします。ぜひともお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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