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これからのZMOTモデルとは?消費者に選ばれるための情報発信のやり方

                   
マーケティング
公開日:2019.01.01更新日:2023年5月23日

これからのZMOTモデルとは?消費者に選ばれるための情報発信のやり方

従来、購入意思決定の瞬間については店頭などを前提にしたFMOT(First Moment of Ture)という概念が主流だった。これは、消費者が新商品の存在に気づいたり、事業者が消費者にアプローチしたりする接点は「広告」や「店頭」であるという考えに基づいていたからだ。

しかし、近年、モバイルやスマートフォンの普及に伴い、消費者はインターネット上で能動的に商品情報を調査してから購入意思を決定するようになり、そうした状況を前提条件としたZMOT(Zero Moment of Truth)という概念が提唱されるようになった。

つまり、店頭や広告(ファースト)よりも以前に、情報(ゼロ)があるということだ。

本記事ではこのZMOTについて説明するとともに、企業の情報発信が現代の消費者特性にどう対応したら良いのか、新商品情報発信担当者としての視点で有効な方法を考察する。

目次

ZMOTモデルとは

ZMOT(Zero Moment of Truth)とは、Googleが2010年に公表した消費者の購買意思決定に関する概念だ。購買意思決定というのは、「消費者が、どの段階で商品やサービスを買うことを決定するのか」という意味だ。

従来のFMOT(First Moment of Ture)における店頭や広告などの意思決定瞬間の前段階として、消費者自身によるインターネットなどを利用した商品調査が存在することを前提条件とした商品購入における行動モデルのことを指す。

サービスの質は15秒で決まる

ちなみに-MOT(Moment of Truth)という言葉をマーケティングの言葉として、最初に使ったのは80年代にスカンジナビア航空のCEO39歳で大抜擢されたヤン・カールソン氏だ。彼は著書の中でこう書いている。

「私たちの顧客に当社のスタッフが接する時間はわずか15秒である。その一瞬の時間に提供できるサービスの質をどれだけ高められるかにかかっている。」

彼はこの15秒のことを真実の瞬間(Moment of Truth)と呼んだ。

消費者が店頭に向かうときには、何を買うかをほぼ決めている

これまで消費者は、何らかの商品購入の必要性を感じてから、マス広告や店頭でのアプローチにより商品の購買を決定してきた。

しかし、近年スマートフォンの普及に伴い、消費者は商品購入の必要性を感じた後に、自らのスマートフォンで商品を調べたり、購入した人のレビューを読んだりしている。

つまり、店頭に向かう時には、どの商品を購入するかはほぼ決めている状態と言われている。店頭に来る前に色々調べている時間にこそ、MOTがあることから、Googleはゼロ(zero)MOTと定義したのだ。

ZMOTモデルのポイントはユーザーファースト

現在では、商品情報の提供や顧客へのアプローチルートとして、企業ホームページやブログ、オウンドメディアやキュレーションサイト、SNSなどが重要性を増しており、ZMOTモデルを念頭に入れた販売戦略がマーケティングにおけるキーポイントとなっている。

ZMOTモデルを活用して情報発信を行う際の重要なポイントは、ユーザーファーストであることである。それでは以下で具体的にどのようにすれば良いか見てみよう。

消費者は実際にどのようにして情報収集しているのか

あなたが商品情報を発信する前に、実際に消費者がどのようにして商品に関す情報を調査しているのかを把握する必要がある。

下記が現在における情報収集の主要な方法となるが、まずはこれをよく理解した上で、次項以降における、具体的な施策を実施するべきだろう。

消費者の商品調査手段

  1. GoogleやYahooなどの検索エンジンによる商品や関連情報検索
  2. 友人や家族など、周囲からのリアルな情報提供
  3. ネット上の口コミやレビュー
  4. 商品販売サイトで具体的な仕様などの資料を確認
  5. FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSで情報収集

【関連記事】インフルエンサーマーケティングの成功事例に学ぶ3つの重要なポイント

消費者に自社商品を伝えるためにすべきこと(自社サイト編)

基本情報の伝達

自社サイトでの商品情報発信は基本中の基本であるが、それゆえに自社サイトによる商品情報がしっかりされていないと、消費者が不安になったり、ブランド力低下に繋がったりする危険性がある。

物販であれば、商品名や値段などの基本情報に加えて次のような情報が求められる。

  • 複数の角度から撮影した写真
  • 詳細な仕様
  • 商品の使い方や利用シーン
  • どんなところが良いのかなどのアピール点

こうした詳細な情報を掲載することがポイントで、そのため通販会社は撮影時の光の当て方などにかなり工夫を凝らしている。

その上でQ&Aや故障時のサポート情報など、プラスアルファのユーザーケアにも気を配ることによって、消費者の商品への信頼性を高めることができる。

また、商品の不具合やクレーム内容など、本来企業としては発信したくない情報も、自社ホームページ等できちんと発信していく事例が増えてきている。

そのようなマイナス情報やマイナス要因にどう対処したかを明示することがユーザーの信頼獲得につながるのだ。

オウンドメディアなどで有益な情報を発信する

自社商品の販促に直接つながらなくても、企業が商品に関係する様々なノウハウや情報を持っていることをユーザーに伝えるためにメディア(オウンドメディア)を通じて、様々な情報を発信することも有効だ。

ユーザーに有益な情報を発信し続けることで、一定量のユーザーと常に接することができるメディアに育てることができ、顧客のロイヤリティを高め、業界内でのブランドを確立しやすいというメリットがある。

注意点としては、オウンドメディアは、アクセス数を稼ぐのに時間がかかるという点と、自社商品に都合が良い情報ばかりを発信していると逆効果になり、ブランド力・信頼がともに下がってしまうので細心な注意が必要な点である。

自社サイトでの情報発信における注意事項

前項はコンテンツ情報の話であるが、自社サイトを検索エンジンにしっかり認識してもらうために、タイトルタグやメタディスクリプションによる商品説明、各見出しの適切なマーキングなどの基本的なSEO内部施策は当然行う必要がある。

詳細は本筋とずれるため割愛するが、SEO対策やコンテンツマーケティングなどを行う上で重要なことは、あくまでもユーザーに必要な情報や有益な情報を提供すること。この不断の努力によりユーザーから支持され、その結果、検索エンジンにも評価されるということにつながる。

特に近年、グーグルの検索エンジンはコンテンツの品質を重視しており、それはこれからさらに加速すると推測される。事実と異なったり、ユーザーの知りたい情報に対して悪影響を与えたりするような内容や過度なSEO対策を行うようなサイトはスパム判定されて、長い期間検索エンジン結果に表示されなくなる可能性も高く、注意が必要だ。

消費者に自社商品を伝えるためにすべきこと(インターネット編)

自社サイトの客観的な評価を知る

検索エンジンやSNSなどインターネットに関する対策を行うためには、自社商品がインターネット上でどのように評価されているか具体的に知る必要がある。まずはユーサーになったつもりで自社商品についてネット調査してみよう。自社商品の評価を具体的に知る調査方法としては以下の方法が考えられるだろう。

  • 検索エンジンで「自社商品名」や「商品の種類 自社商品名」と入力して検索する
  • 検索する際、途中まで入れるとサジェストワードが表示されるが、サジェストワードでの検索結果も確認する
  • 「自社商品名 評判」「自社商品名 クチコミ」等で検索し、実際にどのようなユーザ評価があるのか確認する
  • 施設や場所などが関係する場合は、グーグルマップでの評価を確認する
  • FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSで自社商品名を検索する
  • ヤフーのリアルタイム検索を使ってSNSでの生の声を確認する

上記は自社商品への直接的な評価の確認であるが、購入検討前段階の消費者は自社商品名を知らない可能性や、競合製品と比較している可能性もある。そのため、同様の方法で競合製品の情報や商品そのものの情報も確認する必要がある。

【関連記事】商品開発プロセスでヒットを生み出すための3つのマスト調査

ユーザー評価への対策

確認した調査結果が満足な内容であれば特に問題はなく、現在の施策を続ければいいだろう。ただし、多くの場合は下記のような問題が発見される。

そもそも商品ページが見つからない

この場合はページの作成者に確認し、タイトルやディスクリプション、見出しタグが適切に設定されているか確認する必要がある。タグ付けが問題ないのであれば、グーグルのインデックスへのURL登録がしっかりされているか確認する必要がある。

それでも表示されない場合は、あるいは短期間で商品探索ニーズに応えるためには、検索連動型広告やSNSで特定の層に影響力をもつインフルエンサーを活用するのも一つの方法である。

商品の情報不足

この場合は具体的な不足内容を確認し、不足情報を追加する必要があるが、クチコミ等で情報不足が指摘されていない場合も、利用シーンなど自分がユーザーであれば必要だと思うような情報は適宜追加する必要があるだろう。

商品へのクレーム

この場合は実際に商品を改善するしかない。しかし、例えばイメージと色が違ったなどの内容であれば、実際の色に近い写真に変更するなどで改善できる場合もあるので、クレームの本質がどこにあるのかよく見極めることが重要だ。

商品のクチコミ評価が低い

すでに悪い評価がある場合、もし事実と異なるのであればサイトの管理窓口に削除申し立てを行うことによって削除される可能性も残されている。

しかし、、事実である場合は削除できないと考えるほうが自然だ。その場合は誠意ある返信で改善の意思を伝えつつ、実際に改善するしかありません。

なお、注意点としては、商品提供者や代行者が口コミサイトに自作的な投稿をする行為等は景品表示法上の「優良誤認」として行政処分の対象になる。

さらにそのことが世の中に露見した場合にはブランドイメージは地に落ち、その商品だけでなくその企業自体のイメージダウンは避けられなくなるので、そのような行為は絶対に避けるべきだと断言する。

消費者に選ばれるための情報発信のやり方

スマートフォンの普及により、消費者の商品購入プロセスにネットでの事前調査が当たり前になっている。そのため、これらのユーザーの新しい行動として、「調べている時点で実質的に購買の意思決定がされていること」をモデル化したものがZMOTモデルだ。

ZMOTモデルに対応するためには、いかにして消費者のニーズや悩みの延長線上で、自社商品を検索してもらうかどうかが大切で、それにより自社商品についての情報や評価を知り、購入につなげていくことが重要になる。言うまでもなく、コンテンツ発信時にやってはいけないことは意図的な事実改竄だ。それは消費者の信頼そのものを失い、致命打になりかねない。

消費者の信頼を得るポイントとしては、商品を開発する背景に、企業がどれだけきちんとした知見やノウハウを有しているかを整理して、ユーザーが必要な時に、必要な情報を的確に伝えられる様にしておくことだと言える。

【関連記事】商品開発において、なぜワークショップが必要なのか

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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