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機能性表示食品を販売するまでの10のプロセス紹介

新規事業・商品開発2018.01.22

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2015年に施行された機能性表示食品市場が伸長している。TPCマーケティングリサーチが2017年10月に発表した結果によれば、2016年度の同市場は、前年度比3.2倍となる851億円で、さらに2017年度は実に1,690億円に達する見込みだと言う。今後、約4,000億円市場に拡大が期待されている機能性表示食品をどう活用すれば良いだろうか。今回は、消費者庁が公表している機能性表示食品を企画し、販売するまでの10のプロセスを紹介しよう。

機能性表示食品制度とは

機能性表示食品制度では食品全般を対象としている。そのため食品関連事業者であれば、基本的に規模の大小に関わらず届出を行うことが可能だ。ここで言う食品関連事業者とは、製造者や加工者、販売者や輸入者などが関連事業者に該当する。
そして、届出が消費者庁より承認されれば、商品は晴れて機能性表示食品となり、配合した成分に基づく効果効能を謳うことができる。「一時的なストレス軽減」や「健康な肝臓機能の維持」というような効果効能をヘルスクレームといい、食品に健康上の有効性を表示することが出来るようになる。

特定保健用食品(トクホ)との違い

2015年に施行された機能性表示食品は、大きく「保健機能食品」と呼ばれる分類のひとつだ。
食品の中で、機能性の表示ができない「一般食品」に対して、保健機能食品は機能性表示ができる食品というグループになる。この保健機能食品の中に、機能性表示食品と、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に分類される。

栄養機能食品は、ビタミンやミネラルといった1日に必要な栄養成分が対象となる。一定の基準量が含まれていれば、特に届出をせずに、国が定めた表現で機能性を表示できるというものだ。

一方で、特定保健用食品(トクホ)は、「コレステロールの吸収を抑える」といった機能性の効果や安全性を国が審査し、食品ごとに消費者庁長官の許可を得て、初めてヘルスクレームを謳えるようになる。この許可が下りるまでに、2年程度の時間が掛かる。

新たに登場した機能性表示食品は、販売の60日前までに届出を行い、受領されれば、晴れて機能性表示食品としてヘルスクレームの表示ができるようになる。

機能性表示食品を発売するまでの10プロセス

機能性表示食品として販売するまでの主な流れは10のプロセスで整理できる。

ステップ1:健康増進などヘルスケア分野の商品を企画する

  • 市場の動向や消費者ニーズ、健康に対するトレンドを調査する。
  • 調査結果を踏まえて、商品コンセプトを企画する。商品コンセプトに該当する機能を訴求できる成分を調査する。

ステップ2:機能性表示食品の対象成分となるか調査する

  • 次に、機能性表示が可能な成分であるか簡便な調査(安全性など)を実施し、その成分によって可能なヘルスクレームを整理する。
  • ヘルスクレームが、当初の商品コンセプト(ターゲット・ポジショニング)と合致しているか大枠で検証する。

ステップ3:対象成分の安全性を評価する(または評価根拠を明示する)

  • そして既存の文献を検索(または原材料メーカーからの情報提供)し、喫食経験に関する情報や安全性試験の実施結果を踏まえて安全性を評価する

ステップ4:生産体制の整備

  • 自社生産または外部委託先によるOEM生産の体制を構築する。
  • 生産工程における品質管理や衛生管理、コンプライアンスなどを統制し、機能性表示食品の販売が可能な業務システムや運用フローを設計する。

ステップ5:リスクマネジメント体制の整備

  • 販売前に、過去の類似リスク事例の収集やその対応策を検討し、事後対応にならない様、状況把握および緊急時対応のプロセスを構築する。
  • お客様相談センターなどを準備し、健康被害をはじめとするお客様対応の窓口を整備する(通常の販売応対ではないFAQを準備する)。

ステップ6:機能性の評価

  • 消費者庁のガイドラインに沿って、機能性の評価を行う。消費者庁が定める2つの科学的な根拠を説明する手法のいずれかを採用し、評価を行う。
  • 1つは、最終製品を用いた「臨床試験」。「臨床試験」では、人を対象としてある成分又は食品の摂取が健康状態などに及ぼす影響について評価する介入研究を指す。
  • もう1つは、研究レビュー(一定のルールに基づき文献を検索し、総合的に評価(システマティックレビュー)する手法。

機能性の評価にあたっては、消費者庁より詳細なガイドラインや簡単な紹介資料など(http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150810_2.pdf)が配布されている

ステップ7:消費者庁への届出

  • 届出は、以下の資料を準備し消費者庁長官に届け出る。ただし販売を予定する日の 60 日前までに、届出書および関連する資料を不備なく消費者庁長官に届け出る必要がある。
  • 記載漏れなど形式上の不備があった場合は、届出書および添付書類が返送されることが明記されており、書類不備によって届出が大きく遅れてしまい、結果として販売予定日がずれ込んだと言う事例も少なくないため、事前準備を行う。

ステップ8:届出番号の受領

  • 消費者庁より届出番号が発行される。
  • 消費者庁のウェブサイトに情報が開示される。

ステップ9:マーケティング・販売開始

  • 機能性表示食品の販売

ステップ10:発売後調査による販売改善

  • 発売後調査(市場調査や消費者調査、POS分析など)による課題抽出
  • 課題への対応による販売改善

これらプロセスを満たすことで、機能性表示食品として継続的な販売することができる。TPCマーケティングリサーチによると、2016年度時点の企業別市場規模は、江崎グリコがトップの93億円。次いでキリンビバレッジ(82.5億円)、ファンケル(80億円)となった。キューサイおよびライオンを加えた上位5社が機能性表示食品市場全体の48%を占めている。機能性表示食品制度の門戸は開かれているものの、商品開発能力や販路の点で勝る大企業がやはり有利となっているのが実情である。

機能性表示の範囲と今後

機能性の表示範囲は、「体調の維持や改善に効果がある」「身体の機能を良好に保ち改善が期待できる」「身体の健康状態を本人が知覚でき、一時的な体調の改善に役立つ」などが該当する。

ただし、「美白になる」「高血圧の人に効き目がある」「増毛を促す」といった医学的な表現は使用することができず、機能性が科学的根拠に基づいていなければ機能性表示食品制度を利用することができないため注意が必要だ。

消費者庁のデータベースによれば、特定保健用食品(トクホ)にはないヘルスクレームとして、過去には以下の様なヘルスクレームが届出番号を受領し販売されている。

  • 筋肉:筋肉を作る力をサポート など
  • 腰:日常生活で生じる腰の不快感を改善 など
  • 関節:関節の動きの悩み緩和 など
  • 精神的ストレス:一時的なストレス軽減、緊張感の軽減 など
  • 身体的疲労:運動による疲労の軽減、一過性の身体的疲労の軽減 など 
  • 記憶力:記憶の精度を高める、記憶力の維持 など
  • 体温:体温の維持 など
  • 目:ピント調節サポート など
  • 肝臓:健康な肝臓機能の維持 など

過去に実績がない機能性は、発売までのハードルが高いものの、市場拡大が明確になれば、今後は免疫に関するヘルスクレームや、整腸性に関するヘルスクレームなどにも注目が集まると言われている。

機能性表示食品の今後、2018年以降の法改正

改正制度の施行が、2018年度以降の見通しとなっている機能性表示食品制度であるが、今後広告表現については厳正な処分がなされることが示唆されている。
例えば、届出表示が、「XXには一時的なストレスを軽減させる機能があることが報告されている」であるにもかかわらず、「ストレスを下げる」と断定した場合は、景品表示法や健康増進法に抵触する可能性があり、機能性マーケティングには、市場が伸びているが故に、より慎重な取り組みが求められる。

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