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経営判断の質を高めるには?データドリブン経営を実現するデータ活用と意思決定の手順

                   
事業開発
公開日:2025.05.29更新日:2025年5月29日

データドリブン経営とは?

定義と従来型経営との違い

データドリブン経営とは、定量的なデータに基づいて経営判断を行う考え方です。
企業が蓄積しているあらゆるデータ——顧客の購買履歴、在庫情報、売上推移、マーケティング施策の成果など——を活用し、感覚や経験だけに頼らない「納得性のある経営」を目指します。

従来の経営では、経営者や管理職の長年の経験や勘、いわゆる「KKD(勘・経験・度胸)」に頼った判断が主流でした。しかし、ビジネス環境の変化が激しい現代においては、そうした主観的な意思決定だけでは対応が難しくなっています。

一方で、データドリブン経営は客観的な情報をもとにした再現性の高い判断を可能にします。意思決定のスピードや正確性が求められる今、企業の競争力を高めるうえで欠かせないアプローチとなってきました。

データドリブンと「経験・勘(KKD)」のバランス

とはいえ、「勘や経験」が全く不要になるわけではありません。
むしろ、データドリブン経営は定量データに基づく客観性と、現場の知見や肌感覚による補完的な判断を組み合わせることで、より強固な経営判断を実現します。

たとえば、営業現場の声や顧客との対話から得られる“定性的な気づき”は、データの裏にある背景や文脈を補足する重要な要素です。
大切なのは、経験や勘を「補助線」として活かしつつ、意思決定の軸をデータに置くことです。

データと経験、どちらかに偏るのではなく、両者を統合する判断力こそが、これからの経営に求められる資質といえるでしょう。

なぜ今、データドリブン経営が求められるのか

意思決定のスピードと質が問われる時代

現代のビジネス環境は、テクノロジーの進化や市場の変化が極めて早く、企業にとって迅速かつ的確な意思決定がこれまで以上に重要になっています。

たとえば、商品開発のトレンドは数ヶ月単位で移り変わり、サプライチェーンの混乱や社会情勢の変化によって、これまでの前提が一夜にして覆ることもあります。

このような状況下で、「まず上司に相談」「過去のやり方で様子を見よう」といった従来の意思決定スタイルでは、チャンスを逃したりリスクへの対応が後手に回ったりする恐れがあります。

データドリブン経営は、信頼できるデータに基づく素早い判断を可能にし、不確実性の高い時代において企業が柔軟かつ力強く進むための基盤となります。

経営環境の変化とデータの役割

もうひとつの重要な要因は、企業が取り巻く環境そのものの複雑化です。

  • 消費者ニーズの多様化
  • サステナビリティへの対応
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展
  • グローバル競争の激化

こうした多層的な課題を前に、過去の成功体験に頼った経営は通用しなくなってきています

その一方で、近年ではクラウドやAIの進化により、顧客データや販売データ、業務プロセスデータを容易に収集・蓄積・分析できるようになりました。

つまり、判断に必要な「情報の土台」が整ってきた今こそ、データを戦略的に活用できるかどうかが、経営力の差となって現れるのです。

製造・小売・サービスなど各業界での注目度

データドリブン経営は特定の業界に限られた取り組みではありません。すでにさまざまな業界で導入が進んでおり、成果も報告されています。

  • 製造業: 生産計画と在庫データをリアルタイムで可視化し、歩留まりや稼働率の向上を実現
  • 小売業: 顧客の購買データをもとに棚割りや在庫配置を最適化し、売上向上
  • サービス業: 利用者の行動履歴を分析してパーソナライズした提案を自動化し、顧客満足度を改善

このように、業界を問わず「意思決定の質とスピード」が問われる場面で、データドリブン経営は強い武器となっています

経営意思決定に活かすデータ活用の具体ステップ

データドリブン経営を実現するには、単にデータを収集・分析するだけでは不十分です。
重要なのは、経営の現場で実際に意思決定へつなげる“流れ”を設計することです。

ここでは、意思決定にデータを活かすための4つのステップをご紹介します。

ステップ1:経営上の問いを明確にする

まず最初に必要なのは、「何のためにデータを使うのか」を明確にすることです。

たとえば、

  • 売上が伸び悩んでいる原因を特定したいのか?
  • 顧客ロイヤルティを高める施策を検討したいのか?
  • 在庫ロスを減らす方法を見つけたいのか?

など、問いが不明確なままでは、膨大なデータの中で方向性を見失ってしまいます。

ここで大切なのは、「経営上の課題や意思決定の場面において、どんな情報があれば判断が進むのか?」という視点です。
データ活用はあくまで“手段”であり、“問い”があってこそ、意味のある分析ができます。

ステップ2:必要なデータの可視化・整備

問いが明確になったら、次は必要なデータを洗い出し、使える状態に整えるフェーズです。

  • 社内にすでにあるデータ(販売実績、アンケート結果、勤怠データなど)
  • 外部から取得できるデータ(市場動向、競合分析、天候など)

などをリストアップし、「どのデータが、どの判断に貢献するか」を検討します。

また、データが分散していたり形式がバラバラだったりする場合は、統合やクレンジング(整理・整形)も必要です。ここを丁寧に整えることで、後の分析の精度とスピードが大きく変わってきます。

ステップ3:データ分析と仮説検証の進め方

データが整ったら、いよいよ分析フェーズです。
ここでは、問いに対する仮説を立て、それをデータで検証していきます。

例:

仮説:「新規顧客のリピート率が下がっているのは、初回利用時の満足度が低いからでは?」
→ 施策:満足度別のリピート率を分析し、相関性を確認

分析にはBIツールやExcelでも対応できますが、重要なのは「仮説→検証→改善案」のサイクルを意識することです。
分析結果だけを見て満足せず、アクションにどうつなげるかまで設計することがカギとなります。

ステップ4:現場を巻き込んだ意思決定の設計

最後に、経営だけで完結するのではなく、現場と連携しながら意思決定を行う仕組みを整えましょう。

  • 分析結果を誰でも理解できる形で共有(図解・ストーリー化など)
  • 現場との対話を通じて、肌感覚とのずれを調整
  • 現場のKPIやアクションプランに落とし込む

このように、「データ → 分析 → アクション」のプロセスを現場と一体で運用することで、初めてデータドリブン経営が“実行可能なもの”になります。

データドリブン経営を阻む3つの課題と解決アプローチ

データドリブン経営は理想的な経営スタイルとして注目を集めていますが、
実際の導入・定着にはさまざまな壁が存在します。
ここでは、多くの企業が直面している代表的な3つの課題と、その解決アプローチをご紹介します。

課題1:サイロ化と属人的なデータ管理

データ活用の第一歩は「情報の一元管理」ですが、現場ごとにデータが分断されている「サイロ化」はよくある課題です。

たとえば、営業部門ではExcelベース、マーケティングはクラウドツール、経理は基幹システムといったように、各部門がバラバラの形式・目的でデータを保持しているケースでは、全社的な意思決定に活用することは困難です。

さらに、特定の担当者しか理解できない形式やツールに依存していると、属人性が高まり、異動や退職でノウハウごと失われるリスクもあります。

解決のポイント:

  • データ連携の基盤となるデータマートやデータウェアハウスの構築
  • 業務プロセスと連動した共通フォーマット・命名ルールの整備
  • 部門横断のデータガバナンス体制の確立(例:CDOの設置)

課題2:意思決定者の「感覚主義」からの脱却

データ分析の環境が整っていても、最終的な判断を下す経営層やマネジメント層が「経験」や「勘」に偏っていると、データの価値は十分に活かされません。

これは特に、長年の成功体験を持つベテラン経営者層に多く見られます。
彼らにとっては、データの示す結果が現実感を伴わず、判断材料として不十分に感じられることもあるからです。

解決のポイント:

  • 「データだけでなく、なぜそう判断すべきか」をストーリーで説明
  • 可視化(グラフ・ダッシュボード)を用いて直感的な理解をサポート
  • 経営層自身に小さな成功体験(PoC)を積んでもらうことで、信頼を育てる

課題3:文化としての“データ活用”が根づかない

データドリブン経営を「一部のプロジェクト」や「一部のチーム」で実行するだけでは、組織に定着することはありません。

たとえBIツールを導入しても、「データを見るのは担当者だけ」「現場では使われていない」という状況では、効果が限定的です。

本質的には、すべての部門が“データを判断の根拠にする”という意識を共有できているかどうかが、成功のカギになります。

解決のポイント:

  • 定例会議や稟議プロセスに“必ずデータを添付する”文化の定着
  • 現場スタッフへのデータリテラシー教育や簡単な分析トレーニング
  • KPIをデータドリブンに設計し、行動と成果の関係を見える化

フィンチジャパンが考える「実行されるデータドリブン経営」の条件

ここまでご紹介してきたように、データドリブン経営を進めるには、ツールや仕組みだけでなく、実行される状態=“行動と判断が変わること”が何よりも重要です。

私たちフィンチジャパンは、さまざまな企業の変革支援を通じて、「実行されるデータ活用」にはいくつかの共通条件があることを発見しています。

意思決定につながるデータ活用設計

多くの企業が「とにかくデータを集めよう」と考えがちですが、最初に考えるべきは、“何を判断するためのデータなのか”という設計です。

フィンチジャパンでは、データ活用の起点を「問いの明確化」に置き、経営上の意思決定に直結する設計図(問い→分析→示唆→判断)を描く支援を行っています。

この設計がなければ、たとえ高度な分析をしても、実際の経営に活かされず、成果につながりません。

組織横断で使える“共通言語”としてのデータ

実行されるデータ活用には、部門間で“データを共有できる状態”が不可欠です。

フィンチジャパンでは、部門ごとに異なるKPIや評価指標を、経営と現場の“共通言語”として整備することで、全社で意思決定の質を引き上げる仕組みを構築してきました。

たとえば、

  • 営業部門の「受注率」
  • カスタマーサクセス部門の「継続率」
  • 開発部門の「リリーススピード」

こうした異なる指標を、“どのような経営判断に貢献するか”という文脈でつなげることが、全社的なデータドリブンを機能させるポイントです。

経営と現場をつなぐ「問いのデザイン」

最後に、フィンチジャパンが特に重視しているのが「問いのデザイン」です。

意思決定に必要な情報とは、単に「データ量が多い」ことではなく、“今、何を決めるべきか”に答えるものかどうかで決まります。

フィンチジャパンでは、経営会議や部門ミーティングの前に「この議論で解決したい問いは何か?」「その答えに必要なデータは何か?」という視点から、データの構成やストーリーを組み立てていきます。

こうした“問いベース”のアプローチが、現場の声と経営判断を橋渡しする基盤となり、実行力あるデータドリブン経営を支えているのです。

データドリブン経営を支えるツールと技術の選び方

データドリブン経営の実現には、考え方や組織文化の整備だけでなく、それを支える適切なツールと技術の活用も欠かせません。

ここでは、企業の意思決定を支える代表的なツールと、それらをどのように導入・活用していくべきかを解説します。

BIツール/SFA/ERPなどの活用例

企業の意思決定をデータで支えるには、現場での情報収集から経営判断までをスムーズにつなぐ「全体設計」が必要です。
以下のようなツールが、データ活用の中核を担う存在となります。

  • BIツール(Business Intelligence):
    代表例:Tableau、Power BI、Lookerなど
    → 企業内に蓄積されたデータを可視化し、誰でも直感的に分析できる状態をつくります。
  • SFA(Sales Force Automation):
    代表例:Salesforce、HubSpotなど
    → 営業活動の記録・進捗・受注率などを一元管理し、営業部門の判断や改善に役立ちます。
  • CRM(Customer Relationship Management):
    → 顧客との接点や購買履歴を蓄積し、マーケティングやサービス改善に活用。
  • ERP(Enterprise Resource Planning):
    → 会計・生産・在庫・人事などの基幹業務を統合的に管理し、全社最適な判断を支援。

いずれのツールも、単体で導入するより、他のシステムや業務フローと連携しながら“経営の判断材料として使えるかどうか”が重要です。

小さく始めて成果につなげるツール導入ステップ

とはいえ、「すべての業務に一気にツールを導入する」のは現実的ではありません。
むしろ、フィンチジャパンでは“小さく始めて、成果を出しながら徐々に広げていく”アプローチを推奨しています。

ステップの一例:

  1. 経営課題に直結するテーマを一つ決める(例:営業の受注率改善)
  2. 必要なデータの流れと担当部門を整理
  3. 小規模な部門やPJでツールを試験導入
  4. 成果や改善点を共有し、展開計画を策定
  5. 他部門や全社へ展開

このように、データ活用の“成功体験”を少しずつ積み上げていくことで、ツールが現場に定着し、意思決定の質を高めていくことができます。

まとめ:感覚に頼らず、納得できる意思決定を支える“データの力”

経営環境がますます複雑さを増す中で、「何をすべきか」「どこに注力するか」といった判断の重みは、かつてないほど大きくなっています。
そんな時代だからこそ、感覚や勘だけに頼らない、納得と再現性のある意思決定が求められています。

データドリブン経営は、単なる流行ではなく、組織の持続的な成長と競争力の源泉となる考え方です。
しかし、実現のためには単にデータを集めるだけでなく、

  • 経営の問いに直結したデータ設計
  • 現場と経営をつなぐ共通言語としてのデータ活用
  • 文化として根づかせるための実行支援体制

といった「仕組み」と「人」の両面での工夫が欠かせません。

フィンチジャパンからのご提案|データドリブン経営の実行と定着を支援します

私たちフィンチジャパンは、2006年創業以来、400件を超える新規事業の立ち上げと事業成長を支援し、また150社以上の既存事業の再成長支援、DX/AI推進、経営戦略の立案・実行支援を行なってきております。

こんなお困りごとはありませんか?

  • データは蓄積しているが、意思決定に活かしきれていない
  • 経営層と現場でデータに対する意識や使い方に温度差がある
  • BIツールや分析環境を整えても、活用が一部の部署にとどまっている
  • 感覚や経験主義から脱却したいが、どう進めればよいか分からない

データドリブン経営を実行可能なものにするためには、「問いの設計」「意思決定への接続」「組織的な活用文化」といった、技術と人の両面での設計が不可欠です。フィンチジャパンは、こうした構造的課題に対し、現場密着型で支援を行っています。

私たちフィンチジャパンは、一例として以下の様なコンサルティング実績があります。新規事業の立ち上げを検討されている際はご相談ください。

  • エネルギー企業O社:DX改革を軸にしたデータ活用基盤の構築と定着支援(約3年)
  • 食品メーカーX社:部門横断のカテゴリーマネジメント体制と共通指標の導入(2年)
  • 化粧品メーカーD社:研究開発部門におけるプロセス改革と意思決定支援(約3年)
  • ITサービスK社:経営判断に資する事業投資評価基準の策定と導入支援(2年)
  • 製薬メーカーP社:商品開発プロセス全体の可視化とKPI設計(約1年)

データが“活用される仕組み”を整え、現場と経営をつなぐ本質的な変革を目指す皆さまへ。ぜひお気軽にご相談ください。私たちが、実行力あるデータドリブン経営の伴走者となります。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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