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リーンスタートアップとは?企業がリーンスタートアップで事業を成功に導く2つのポイント

                   
立ち上げ
公開日:2018.04.13更新日:2018年4月17日

環境の変化が激しい昨今、どの様な方法で事業開発を行えばいいのだろうか。

一般的には市場調査を綿密に行い精緻な事業性評価を行い、サービスや商品をしっかり作り込んでから市場参入するだろう。しかし、それでは上市までに時間がかかりすぎてしまい、市場の変化や顧客のニーズについていけない可能性が高い。

大きな方向性に確信を持ち、仮説ドリブンで事業を作っていく、いわゆる「リーンスタートアップ」手法がデジタルトランスフォーメーション時代においてより一層重要性が増してきている。

「リーンスタートアップ」と聞くと、一部の起業家たち(特に新興の企業)で使われるものだと考えがちだ。しかし、現在では多くの大企業がこの手法を社内で取り入れて、事業企画から初期の顧客獲得を行っている事例が増えてきている。

ここではリーンスタートアップの概念から始まり、なぜ事業会社が活用し始めているのか、それをどのように自社で活かしていくかを説明する。

リーンスタートアップとはなにか?

リーンスタートアップとは、アメリカの起業家であるエリック・リースが、日本のトヨタ生産方式をモデルにして2008年に提唱した、スタートアップを成功に導くための方法論だ。

「リーン」(Lean)は、『無駄のない』『効率的な』という意味で、短期間に必要最低限のリソースで試行錯誤と仮説検証を繰り返す。こうしたサイクルを繰り返して市場ニーズを探り当てる。その結果、思い込みを排して、無駄のない商品開発や事業展開をすることを特徴としている。

一般的に、リーンスタートアップでは、以下の3つのプロセスを高速で回転させる。

  1. 構築(Build)
  2. 計測(Measure)
  3. 学習(Learn)

そのため、日本の製造業が強みとする、現場改善サイクルとは馴染みやすいと言われているのも特徴だ。

まず、この3つのサイクルについて一つずつ見ていこう。

構築(Build):MVPを作る

構築フェーズでは、顧客のニーズを満たすと考えられる『必要最低限の機能を備えた商品やサービス』を作って、顧客からの評価を得る。

この最初のフェーズで作られる商品やサービスのことをMVP(Minimum Viable Products)という。

実践では品質や法対応などが必要であるため、MVPの段階では市場に本格投入できるまで商品を作り込まずに、モニターや見込み顧客に提供して、そのフィードバックからさらに商品の改善を行う。

計測(Measure):MVPを評価する

次に、MVPをいち早く顧客にモニターしてもらい、顧客の反応を観察する。

その結果として、商品が顧客のニーズを満たしているか、ニーズを満たすためにどんな機能を付加すべきかなど、検証を行う。少しずつ改善することを目的にするのではなく、MVPを決めることを目的にする。

学習(Learn):ピボットする

計測の結果を元にして、次の開発に向けての方向転換(ピボット)を行い、顧客のニーズをその都度素早く捉えながら、最終的に完成まで持っていく。

リーンスタートアップでは、この『ピボット』を素早く何度も行えるかどうかが、成功の鍵を握っているとも言えるだろう。ピボットの頻度はケースバイケースだが、初期仮説の筋が悪い事業企画は、その後にピボットしてもうまくいかないことが良くある。そのためピボットとは二転三転することを意味するのではなく、正しい方向に収束させることを意味する。

大企業がリーンスタートアップを推進する理由

リーンスタートアップが提唱された当初は、「スタートアップ向けの方法論だ」と言われていた。しかし、今や企業規模や設立年数にかかわらず、あらゆる企業で活用することができる。

GEのリーンスタートアップ

例えば、世界的なグローバル企業のゼネラルエレクトリック(GE)では、リーンスタートアップの手法を採用し全社的な改革につなげている。

GEがリーンスタートアップに取り組んだ背景は、徹底的な顧客視点にある。

通常の方法で時間をかけて商品やサービスを作り込んでいるうちに、いつの間にか顧客ニーズから離れて、上市されるものが自社都合になりかねない。そのため、リーンスタートアップを用いることで、無駄を省きつつ、徹底的に顧客の視点に立った商品開発や事業展開を全社的にできる様になるのだ。

リーンスタートアップで事業を成功に導く2つのポイント

「会社のやり方」「これまでのやり方」が社内に定着している企業では、徹底して顧客視点にたちMVPを構築し、事業を立ち上げていくリーンスタートアップ手法は、すぐには受け入れがたいだろう。

また課題解決型のスパイラルになってしまうと、GEの様に全社的な改革に結びつけていくのはさらに容易ではないはずだ。

しかし、社会インフラ全体がデジタル化していくデジタルトランスフォーメーションが始まり、UBERやAirbnbといった企業が10年足らずで世界を席巻しようとしている今、仮説ドリブンで事業を生み出していくことは、不可避だと言える。

そこで2つのポイントに着目したい。

1. クイック・ウィン
2. N=1

1.「クイック・ウィン」

1つは「クイック・ウィン(Quick-Win)」だ。いきなりリーンスタートアップを全社的な取り組みにするのではなく、小規模なプロジェクトチームで、しかも短期的な成果を目標に取り組み始めるのがポイントである。

トライアンドエラーというより、小さなゴールを次々とアチーブ(達成)していくことを繰り返していく。そうすることで課題解決サイクルではなく、ミッションクリアを目指せる様になっていく。

2.「N=1」

もう一つは、「N=1」だ。自分たちが提供する商品・サービスをお金を払ってでも絶対に利用する顧客を一人(N=1)見つけ、何が中心価値になるかを徹底的に磨き上げる。

リーンスタートアップでいうMVPの構築を指すが、実践的には『MVPを作り込む作業』と『N=1を見つける作業』は両輪で回っている。

まとめ

リーンスタートアップでは、無駄を省き、顧客視点に立ったマネジメントに集中する。その手法はスタートアップ企業だけでなく、一般的な企業でも有効な手法だ。

ただし、リーンスタートアップを進める際には、いきなり全社的な取り組みにするよりは、モチベーションの高いリーダーを中心とした小規模チームによるスタートの方がクイック・ウィンを得やすいだろう。リーンスタートアップの活用は、これまでのやり方に縛られている企業にとっては、大変大きなチャレンジであるが、顧客ニーズの変化が激しい今、リーンスタートアップ手法は非常に効率的であり、導入検討することには一定以上の価値があるだろう。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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