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AIエージェントはどこまでできる? 営業・リサーチ・経理の業務が変わる3つの実例

                   
事業開発
公開日:2025.11.20更新日:2025年11月20日

はじめに

AIエージェントは、単なる概念や理論を超え、実際の業務をどのように変革するのでしょうか。

本記事では、n8nとAIエージェントがいかにして現場の業務を「考えて動く仕組み」に変えるのか、日々の業務に最も関わりの深い「営業」、「リサーチ」、「経理」という3つの代表的な業務事例に沿って、詳細に解説します。

営業 SFAは入力を「次のアクション」へ変えるフォロー型AIエージェント

Before SFA入力が目的化し、フォローが属人的になっている

営業組織では、SFA(Salesforceなど)への商談メモ入力が「業務の終点」になりがちです。担当者は記憶を頼りにメモを入力し、上司はSFAを巡回して状況を確認します。フォローメールの作成は担当者がゼロベースで行うしかなく、商談の熱量が高いタイミングでも対応が遅れるケースが少なくありません。

After SFA入力がトリガー ――商談メモからAIが「次の一手」を創る

n8nはSFAの更新をトリガーとして検知し、AIに商談メモを渡します。AIは次のような3つの判断を行います。

  • 要約
    • 長文のメモを管理職向けに3行程度で整理
  • 次アクションの抽出
    • 顧客課題や担当者の宿題を構造化
  • メール草案の作成
    • お礼メールや次回アポイント調整の下書きを自動生成

判断が完了すると、n8nがSlackに「要約+ネクストアクション」を通知し、GmailにはAIが作成したメール草案が自動で作成されます。担当者は文面を確認して送信するだけでよく、上司もリアルタイムに進捗を把握できます。営業組織で頻発する「状況の把握」「文面作成」「催促」の負荷が大幅に減少します。

公開事例 「SignifyCRM」

SFAの運用は企業の中枢情報に関わるため、詳細フローを公開している企業は多くありません。しかし、「CRMの外側で動く自動化レイヤー」としてn8nを活用する公開事例は存在します。

代表的な公開事例としてSignifyCRMがあります。SignifyCRMはシンガポール拠点の中小企業向けCRMプラットフォームで、営業管理・顧客管理・ワークフロー自動化を提供しています。

同社は公式サイトで、SignifyCRMとn8nとの連携について以下のような自動化が可能と説明しています。

  • 問い合わせフォームのリードをCRMへ自動登録
  • 受信メールをAIで分析し、返信草案やフォロータスクを生成
  • Google SheetsやSAP、会計システムとのデータ同期
  • GmailやERPなど外部アプリとの統合オペレーション

SignifyCRMの例が示すのは、「CRMで発生したデータをn8nが受け取り、次のアクションへつなげる」仕組みが実際に運用できるという点です。これは、入力→判断→次アクションの流れをn8nが橋渡しすることで、「次の仕事」が自動的に動き出す構造を裏付けています。

リサーチ ニュースを「読む」のではなく「理解済みの要点」を受け取るAIアナリスト

Before 担当者が毎朝1時間以上を情報収集に費やす

多くの企業で情報収集は担当者の習慣に依存しています。TechCrunchやMIT Technology Reviewなど複数のサイトを巡回し、重要そうな記事だけを抜き出して共有しますが、共有されたURLは忙しいチームメンバーに読まれないまま流れていくことも珍しくありません。

After AIが「収集→理解→選別→配信」を一括で実行する

n8nは指定時刻に自動起動し、RSSやHTTPリクエストでニュース記事を取得します。記事本文をAI(Gemini等)に渡すと、AIが次の処理を実行します。

  • 要点の抽出
  • 重要キーワードの生成
  • トピックの分類
  • 関連度のスコアリング

スコアが高い記事だけSlackに送信し、その他の記事はGoogle Sheetsに蓄積します。担当者は毎朝Slackを見るだけで「読むべき情報だけ」を瞬時に把握できます。

公開事例 「re:Cinq」(コンサルティング企業)

コンサルティングファームre:Cinqは、n8nとGoogle Vertex AI(Gemini)を組み合わせ、海外テックニュースの収集、要点抽出、スコアリング、Slack配信までを自動化したワークフローを公開しています。

この事例は「専門職の知的労働をエージェント化した再現性の高いモデル」として参考になります。

経理 領収書の読み取り・仕分け・承認を任せるAI経費エージェント

Before 手入力と差戻しが繰り返される月末の負荷

領収書をExcelへ入力し、勘定科目を確認し、社内規定に照らすという作業は手間が多く、月末に負荷が集中します。不備があれば差し戻しが発生し、担当者も承認者も時間を奪われます。

After AIが読み取り・仕分け・照合・承認フローを自動化する

n8nは領収書(PDFや写真)のアップロードを検知し、次の処理を行います。

  • AI-OCRが読み取り
    • 日付、金額、店舗名などを抽出
  • AIが仕分けと摘要生成
    • 「交際費」「会議費」などの勘定科目を判定
  • 社内規定との照合
    • 金額上限などの規定を参照し、要確認のフラグを立てる
  • n8nが承認フローへ連携
    • 規定内:承認者のSlackに承認依頼
    • 要確認:経理と承認者にアラート通知
  • 承認後にfreee/MF/Sheetsへ自動転記

経理担当者の「入力・仕分け・照合・催促」の負荷を大幅に削減できます。

公開事例「Sharcon AI」(米国)

米国の自動化支援企業Sharcon AIは、n8nを用いたPDF処理、承認フロー、CRM連携の手法をブログで公開しています。テンプレートから始め、自社の規定や判断基準を徐々に組み込む方法が効果的であると述べており、現実的な導入プロセスとして参考にできます。

まとめ 判断を含む業務こそ「エージェント化」できる

本記事では、営業・リサーチ・経理という3つの領域を例に、n8nとAIを組み合わせることで「判断を伴う業務」がどのように変わるのかを整理しました。

  • 営業:商談メモから要約・次アクション・メール草案までを自動生成
  • リサーチ:ニュースを収集し、AIが重要度を判断して要点のみを通知
  • 経理:領収書の読み取りから仕分け・照合・承認までを自動化

これらはいずれも、単なるRPAでは実現できない「判断の自動化」=エージェント化です。n8nのノーコード設計やテンプレートにより、IT部門だけでなく現場主導で小さく始められる点も大きな特徴です。

一方で、AIエージェントやn8nの実名事例が多くないのは、商談情報や判断ロジックなどが企業の競争優位に直結し、詳細な業務フローの公開が難しいためです。公開されるのは外部連携や汎用ワークフローが中心であり、実装の全容を明かさないケースが一般的です。

しかし、本記事で扱ったような「入力→判断→次のアクション」という構造は、多くの企業で再現できる汎用性の高い型です。まずは自社業務のどこに「判断の繰り返し」や「属人化した意思決定」が存在するかを見極めることが、エージェント化の第一歩となります。

AIエージェントは、もはや一部企業の実験ではなく、業務の標準プロセスに組み込まれつつあります。小さく導入し、効果を検証しながら拡張するアプローチこそ、次の競争力につながります。

フィンチジャパンからのご提案|AIエージェント社内導入を見据えた戦略設計のために

現在、生成AIをさらに発展させたAIエージェントを利用した業務効率化ソリューションはビジネスの現場に急速に浸透しはじめています。

私たちフィンチジャパンは、2006年の創業以来、130社を超える企業で400件以上の新規事業開発やAX(AI transformation)プロジェクトを支援してきました。

その中で一貫してきたのは、変わり続ける社会に合わせ、企業が持続的に成長できる仕組みを構築することです。

当社が関わってきたクライアント企業の皆様もまずは「小さく始めて成果を出す」戦略でAIを早期に企業文化に組み込もうとする動きが見られます。

フィンチジャパンでは、こうした変化を見据えて生成AI・AIエージェント導入に関する支援が可能です。

AI社内導入・事業立ち上げなどを検討されている際はご相談ください。

支援実績

  • 製造業B社:AI社員による品質レポート自動生成(約1年)
    製造ラインの検査データを集約、品質異常を自動検知・報告するAIエージェントを構築。
    現場の判断スピードを大幅に改善しました。

  • 金融業F社:AIアシスタントによる顧客対応自動化(約8ヶ月)
    問い合わせメールをAI社員が読み取り、リスクレベルを分類するソリューションを構築。
    緊急案件のみ人間が対応する“セミオート運用”を実現し、応答時間を大幅に短縮しました。

  • 物流業R社:AIエージェントによる在庫・輸送計画の自動調整(約1年半)
    AIエージェントと連携したシステムにより在庫・天候・交通データを統合分析。
    出荷タイミングを自動提案し、在庫過多を削減しました。

  • 小売業S社:AI社員による競合分析と販促レポート自動化(約6ヶ月)
    競合サイト・SNSを自動巡回し、主要トレンドを抽出するAIエージェントソリューションを構築。
    週次のレポート作成を自動化し、マーケティング部門の作業負担を大幅に軽減しました。

AIプロジェクトを“ただのツール導入”で終わらせないために、業務・人材・組織の3軸からしっかり設計したい企業様は、ぜひ一度ご相談ください。導入前の壁打ちからPoC、社内展開、定着化まで、実践的にサポートいたします。

 

 

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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