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人材育成にフレームワークを活用するには?目的別に7つの代表例と使い方を解説

                   
フレームワーク
公開日:2025.01.21更新日:2025年6月26日

新規事業と人材育成は、一見すると無関係な分野に見えるが、「企業が新しい経営資源を獲得する」という目的に基づく視座に立つと、近しい要素を持っている。

近年は特に、人材を資源(リソース)ではなく『資本』として捉える「人的資本経営」という概念が注目され始めている。新規事業を企画する視点で世の中を見ると、すでに様々な人的資本経営を実現するための人材育成サービスや事業が登場し始めている。

また、新規事業開発そのものに対して、事業の種を見つけ、企画を整え、社内調整しながら、新しい業務を作るという一連の業務が人材育成のプログラムになると期待して、「新規事業を作りなさい」という指示を出す事例はよく耳にする。

そして、新規事業の開発ノウハウは、実は人材育成の分野にも応用可能だ。企業の新規事業開発を専門とする当社が、新規事業開発のノウハウを用いて、企業の経営戦略や企業変革としての人材育成に携わった実績もある。

つまり、新規事業の視点から見た「人材育成」は、企業が持つ「お金を稼ぐ仕組み」をブラッシュアップして、生産性や競争力を向上させるという点で似ているテーマだ。

今回の記事では、新規事業を専門とする当独自の視点を交えて、人材育成において大切なことを解説した育成計画の進め方を解説する。

はじめに:人材育成で成果を出すには、仕組みと計画が不可欠

人的資本経営が注目を集める中、多くの企業が人材育成に力を入れ始めています。しかし、「とりあえず研修を実施する」といった表層的な対応では、育成の成果はなかなか現れません。育成は場当たり的な取り組みではなく、事業成長と連動した戦略的なプロセスであるべきです。

本記事では、「人材育成を効果的に進めたい」「現場で使える計画の立て方を知りたい」と考える担当者の方に向けて、実務に直結する6つの実践ポイントを解説します。さらに、具体的な成功事例やフレームワーク活用方法も紹介しながら、再現性の高い育成の仕組みづくりを支援します。

人材育成とは何か?目的・定義・人材教育との違い

人材育成とは、企業が従業員の能力・スキル・マインドを高めることで、組織の中長期的な成長を実現する取り組みです。

人材育成と混同されがちな概念に「人材教育」があります。人材教育は知識のインプットを中心とした“教える”行為であるのに対し、人材育成は“自ら学び、成長できる人材”を組織的に支援する活動を指します。

人材育成の目的

  • 経営目標を達成するために必要な人材を計画的に育てる
  • 従業員のエンゲージメント向上・離職率の低下を実現する
  • 中長期の視点で次世代リーダーを確保する

人材教育との違い

項目 人材教育 人材育成
目的 知識・技能の習得 能力開発・成長支援
アプローチ 研修や講義中心 自律的学習、OJT、評価連動
対象 一定期間・対象者 キャリア全体・全社員対象

 

このように、育成は「経営戦略と連動した仕組み」として設計されるべきものであり、単発的な研修では不十分なのです。

人材育成がうまくいかない原因と課題

多くの企業が人材育成に取り組んでいるものの、「思ったような成果が出ない」「現場に定着しない」といった課題に直面しています。これは、人材育成の“設計と運用”の段階で見落とされがちなポイントが存在するからです。以下では、よくある失敗要因とその背景を整理します。

1. 経営戦略と育成がつながっていない

人材育成が単なる人事施策として扱われ、事業計画や経営目標と連動していないケースは少なくありません。経営層が関与せず、人事部門のみで設計された育成計画は、現場の課題解決につながりにくく、形骸化しやすくなります。

対応の視点:

  • 育成テーマを「事業成長に直結する能力開発」と定義する
  • 経営層と連携し、戦略的な人材要件を明確にする

2. 育成計画が形式的で現場に浸透しない

研修プログラムや育成フローが、実態に合っていないまま運用されることで、現場の納得感を得られず、「やらされ感」の強い施策になってしまうことがあります。特にOJTの属人化や評価基準の曖昧さが、育成の非効率化を招いています。

対応の視点:

  • 現場マネジャーを巻き込んだ育成設計・評価基準の明確化
  • 研修と実務(現場OJT)の接続性を高める工夫

3. 自律的な学習文化が根付いていない

従業員が受け身で育成を受ける体制では、短期的な知識は得られても、継続的なスキル定着にはつながりません。学ぶことが業務の一部と認識されない限り、人材育成は「一過性の施策」として終わってしまいます。

対応の視点:

  • 学習を促進する評価制度やキャリア支援制度の整備
  • 失敗を許容し、チャレンジを後押しする組織風土の醸成

: 成果につながる人材育成の6つの実践ポイント

人材育成を戦略的かつ継続的に進めていくには、実務に即した仕組みの設計と運用が求められます。ここでは、現場で再現性高く取り組める6つの実践ポイントを紹介します。

1. 人材要件を明確化し、育成の目的を定義する

まず取り組むべきは、「どのような人材が、いつまでに、何のために必要なのか」を明確にすることです。これが不明確なままでは、施策も属人的・断片的になりやすく、成果検証も困難になります。

実践のヒント:

  • 経営・事業戦略と連動した「人材要件定義書」の作成
  • 必要なスキル・マインドを役職・職種ごとに明文化

2. 現状ギャップを把握し、育成計画を立案する

理想の人材像と現状の人材スキルとのギャップを定量・定性的に分析することで、具体的な育成プランに落とし込むことができます。このプロセスを飛ばすと、場当たり的な研修になりがちです。

実践のヒント:

  • スキルマップやアセスメントツールの活用
  • ヒアリングを通じた課題感の可視化

3. フレームワークを活用して育成設計を体系化する

育成設計にあたっては、複数のフレームワークを組み合わせることで、思考の抜け漏れを防ぎつつ、施策の整合性を高められます。

代表的なフレームワーク例:

  • SMARTの法則:目標設定の明確化
  • 70:20:10の法則:経験・周囲からの学習・研修のバランス設計
  • コルブの経験学習モデル:学習定着の循環

4. 現場OJTと連動した施策設計を行う

研修で得た知識が現場で活かされなければ、育成は成果につながりません。職場のOJTと研修が有機的に連携するよう設計することが鍵です。

実践のヒント:

  • OJT担当者向けガイドライン・ツールの整備
  • 実践内容と評価指標の連動

5. 評価制度と連動させて成長を可視化する

育成成果が「評価」や「処遇」に反映されないと、従業員のモチベーション維持が困難になります。定量的な成長指標を設け、育成プロセスを組織的に評価しましょう。

実践のヒント:

  • スキルの定義と評価基準の明確化
  • 1on1や中間レビューを通じたフィードバック体制

6. 育成文化を根付かせる仕組みをつくる

長期的な視点で育成に取り組むには、「学ぶことが評価される組織文化」を醸成する必要があります。制度面だけでなく、日常のマネジメントからの積み重ねが重要です。

実践のヒント:

  • 自律学習支援制度(リスキリング支援など)の導入
  • 成果よりもプロセスを称える組織風土の構築

人材育成の成功事例から学ぶ、再現性あるアプローチ

成果を上げている企業は、人材育成を単なる「施策」ではなく、経営戦略の一部として設計・実行しています。以下では、特に示唆に富む3社の事例を紹介し、実践へのヒントを探ります。

事例①:OJTトレーナー制度の仕組み化(トッパン・フォームズ株式会社)

トッパン・フォームズでは、若手社員の定着率とスキル定着を目的に、OJTトレーナー制度を導入。各部門で育成担当者を明確にし、トレーニーに対する目標設定・評価・フィードバックを体系化しました。結果として、若手社員との信頼関係が強まり、育成効果と現場満足度の双方が向上しました。

ポイント:

  • OJT任せにせず、トレーナーの役割・責任を制度化
  • 「育成する側」への教育・サポート体制を構築

事例②:公募制による意欲人材の発掘(アイエスエフネット)

アイエスエフネットでは、自他推薦による社内公募制度を導入し、育成対象者を自発的に選抜。通常の配置では把握しづらい「学習意欲の高い人材」を早期に発見し、リーダー候補として育成しています。これにより、現場におけるリーダーシップ不足の課題が徐々に解消されつつあります。

ポイント:

  • 能力より「意欲」を重視した選抜基準
  • 自律的学習を促進する人事制度と連動

事例③:階層別研修とスキルマップの活用(東日本機電開発株式会社)

東日本機電開発では、階層別に育成スキームを設計し、全社員のスキル情報を「スキルマップ」で一元管理。人事評価とも連動させることで、育成・配置・報酬が有機的に繋がる人事マネジメントを実現しました。その結果、若年層の定着率向上と収益性の改善に寄与しています。

ポイント:

  • 育成・配置・評価を一体で捉える設計思想
  • スキルの見える化により、属人化を回避

まとめ:人材育成は「戦略×仕組み」で成果が決まる

人材育成は、「とりあえず研修を行う」といった単発施策では成果に結びつきません。経営戦略に紐づいた人材要件の定義から始まり、育成設計、実行、評価、文化形成に至るまで、一貫性ある仕組みの構築が求められます。

本記事で紹介した6つの実践ポイントや成功事例を参考に、自社に適した育成プロセスを設計・運用していくことが重要です。

まずは、自社の人材育成が「経営とつながっているか」「現場に根付いているか」を振り返るところから始めてみてください。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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