商品開発プロセスに必須!ヒットを生むための調査フロー【市場・消費者・トレンド】
公開日:2018.01.22更新日:2025年6月13日
目次
はじめに
商品開発プロセスにおいて、調査フェーズの重要性は年々高まっています。
「調査をしすぎると商品企画が平凡になる」といった声もありますが、実際には調査の質と活用方法こそが、ヒット商品を生み出す鍵です。
本記事では、新規事業・商品開発に欠かせない3つの視点
「鳥の目(市場調査)」、「虫の目(消費者調査)」、「魚の目(トレンド調査)」
を活かした調査フローを、実務に即して解説します。
それぞれの調査が持つ役割と、調査を商品開発にどう活かすかを具体的に紹介していきます。
ヒット商品を生み出すための実践的なヒントを、ぜひお持ち帰りください。
商品開発プロセスにおける「調査フェーズ」の重要性
商品開発プロセスは、単なるアイデア出しや製品化だけでは成り立ちません。
特に、市場調査・消費者理解・トレンド把握といった「調査フェーズ」は、ヒット商品を生み出すための土台となります。
よく「調査をしすぎると平凡な商品になる」と言われますが、それは調査量の問題ではありません。
本質は、「どの調査を、どのように活用するか」にあります。
ヒット商品には、単に優れた品質や妥当な価格だけでなく、時流に合致しているかが極めて重要です。
現代の市場は、ニーズや価値観が絶え間なく変化しており、数年前の常識が通用しない場面も珍しくありません。
そこで本記事では、以下の3つの視点から調査を整理し、商品開発に活かす方法を詳しく解説していきます。
・市場全体を俯瞰する【鳥の目】市場調査
・顧客の潜在ニーズを探る【虫の目】消費者調査
・時流を先読みする【魚の目】トレンド調査
それぞれの調査が持つ役割を理解し、的確に活用することで、より成功確率の高い商品開発を実現できるでしょう。
【関連記事】商品開発の支援におけるコンサルタントの3つの役割
ヒットを生むための3つの調査フロー
ヒット商品を生み出すためには、単なる思いつきではなく、戦略的な調査活動が欠かせません。
ここでは、商品開発プロセスの中で特に重要となる3種類の調査フローを紹介します。
・【鳥の目】市場調査:市場全体を俯瞰する
・【虫の目】消費者調査:顧客の潜在ニーズを探る
・【魚の目】トレンド調査:時流を先読みする
それぞれの調査が持つ役割と実践ポイントを、具体的に見ていきましょう。
1. 鳥の目|市場調査
「鳥の目」とは、高い視点から市場全体を俯瞰し、現状や構造を把握するための調査です。
自社商品が市場においてどのポジションを取るべきかを判断する上で、欠かせないプロセスとなります。
【調査フロー】
– 競合商品の棚割りや価格帯を調査する
– 店頭を訪れて陳列状況や客層を観察する
– 市場規模や成長率、トレンドデータを収集する
データだけに頼るのではなく、自分の足で現場を見に行くことも重要です。
たとえば、銀座や渋谷といった繁華街で、リアルな購買行動や接客トレンドを体感することで、机上の数字では得られない肌感覚を掴むことができます。
【関連記事】【市場規模の調べ方とは?】算出方法をフェルミ推定を用いて解説
【注意点】
– マクロ環境(政治・経済・社会情勢など)も意識する
– 成長率の数字だけでなく「実感できる成長感」を持つ
– グラフや統計だけに頼らず、現場の空気を読む
市場を俯瞰する視点を持つことで、企画段階から適切なポジショニングを描けるようになります。
2. 虫の目|消費者調査
「虫の目」とは、消費者の生活や意識をミクロな視点で深掘りする調査です。
ヒット商品を生み出すためには、消費者自身も気づいていない潜在ニーズを捉える必要があります。
【調査フロー】
– 定量調査(アンケートなど)で基本的な傾向を把握する
– 定性調査(インタビュー・行動観察)で深層心理を探る
– 世代・文化・ライフスタイルごとの価値観を比較する
単に「好き/嫌い」を聞くだけでなく、なぜそう感じるのかまで掘り下げるのがポイントです。
たとえば、ミレニアル世代とシニア世代では、同じ商品に対する期待や使い方が大きく異なります。
【注意点】
– インタビューや行動観察を通じて隠れたニーズを発見する
– 異なる層を比較することで、価値観の違いを鮮明にする
– 実際に商品を試してもらい、使い方や反応を観察する
例えば、グリコの「ドロリッチ」は、ヨーグルトをかき混ぜて食べる消費行動から着想を得た商品です。
このように、消費者の無意識的な行動の中に、次のヒットの種が潜んでいるかもしれません。
消費者を「データ」ではなく「人」として深く理解することが、強い商品企画につながります。
【関連記事】デプスインタビューとグループインタビューの使い分け
3. 魚の目|トレンド調査
「魚の目」とは、潮流の変化を読み取り、未来のニーズを先回りする調査です。
現代の市場は変化が激しく、いま売れる商品も数年後には古びてしまうリスクがあります。
【調査フロー】
・トレンドセッターやオピニオンリーダーへのインタビューを行う
・異業種・海外市場にも目を向けてトレンドの兆しを探る
・マクロトレンド・メガトレンド(例:人口動態、環境意識の高まりなど)を定期的にチェックする
トレンドは一部の先進的な層から始まり、徐々に広がっていきます。
そのため、「どこで」「どんな芽が生まれているか」を把握することが重要です。
【注意点】
・自社業界内だけに閉じず、広い視野で情報を集める
・トレンドを単なる流行と捉えず、背景にある価値観の変化を読み解く
・短期トレンドと中長期トレンド(メガトレンド)を区別する
たとえば、インバウンド需要の拡大や、サステナビリティ志向の高まりなどは、無視できないメガトレンドです。
こうした動きを的確に捉え、商品開発のコンセプトに反映できれば、ヒットの可能性は大きく高まります。
トレンド調査では、未来に向けた「仮説思考」を持つことが成功の鍵となります。
調査フローを商品開発プロセスに組み込むコツ
3つの視点に基づく調査フローを、単発で終わらせず、商品開発プロセス全体に組み込むことが成功の鍵です。
調査データは企画段階だけでなく、開発・検証・改善フェーズでも生きた武器となります。
【具体的な組み込み方】
・初期企画フェーズで「市場調査(鳥の目)」を活用し、ポジショニングを決定する
・コンセプト設計時に「消費者調査(虫の目)」でニーズの深堀りを行う
・商品設計・販売戦略策定時に「トレンド調査(魚の目)」を踏まえた方向性を設定する
また、調査結果を社内で共有する習慣をつけることも重要です。
プロジェクトメンバー間で知見を共有し、認識をすり合わせることで、より強い一貫性を持った商品開発が可能になります。
調査はあくまでも”入口”にすぎません。
得られたデータや気づきを、開発アクションや意思決定に確実に反映していくことが、ヒット商品につながるのです。
まとめ
商品開発プロセスにおいて、ヒット商品を生み出すためには、
「鳥の目」「虫の目」「魚の目」の3つの視点による調査が不可欠です。
・【鳥の目】市場全体を俯瞰し、自社の立ち位置を見極める
・【虫の目】消費者の深層心理を探り、潜在ニーズを発見する
・【魚の目】時流や価値観の変化を捉え、未来のニーズに応える
これらの調査を単発で行うのではなく、プロジェクト全体に組み込み、継続的にアップデートしていくことが重要です。
いま、マーケットは加速度的に変化しており、世代や国、文化による違いもますます拡大しています。
SNSやインターネットの影響により、数年単位で「常識」が書き換わる時代です。
だからこそ、柔軟に情報を取り入れ、商品開発に活かすためのアンテナを高く張り続けましょう。
調査を通じて得た「気づき」は、単なるデータではなく、次のヒットを生み出す原石となるはずです。
調査を味方につけ、未来のヒット商品を生み出していきましょう。
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私たちフィンチジャパンは、2006年創業以来、400件を超える新規事業の立ち上げと事業成長を支援し、また150社以上の既存事業の再成長支援、DX/AI推進、経営戦略の立案・実行支援を行なってきております。
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この記事の監修者

株式会社フィンチジャパン 代表取締役
早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。
出版
PR Times記事
『https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>』
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