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事例に学ぶデジタルディスラプションの定義と3つの要素

テクノロジー2018.02.28

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デジタルディスラプション(digital disruption)と呼ばれる、既存の産業がスタートアップによって駆逐される現象が起こっている。

代表的な事例として、シェアリングエコノミーのムーブメントを引き起こした、米Uber(ウーバー)や米Airbnb(エアービーアンドビー)が、デジタルディスラプターとして世界中の注目の的になっている。

Uberは既存のタクシー業界を、Airbnbは不動産業界を、それぞれ業界を駆逐するほどのインパクトをもたらした。

しかし、あなたはそういった話を「ある一部の産業だけで起こっているもの」として、デジタルディスラプションを他人事のように捉えていないだろうか。

デジタルディスラプションの本質を理解し、自分事としてとらえなければ、企業は市場の中で勝ち残るどころか、生き残ることすら難しくなる。

この記事では、デジタルディスラプションの概念と具体例、既存産業がとるべき対応策を紹介する。

デジタルディスラプションとはなにか?

まずは、ディスラプション(disruption)の定義を説明する。

ディスラプションとは、元々シリコンバレー発祥の造語だ。

企業が新しいテクノロジーを使用してローエンド製品(低性能・低価格な製品)を開発・改良した結果として、既存のハイエンド製品(高性能・高価格な製品)に取って代わる製品を生み出す現象を表す。

デジタルディスラプションの簡単な事例

例えば、カメラ産業がその代表例だ。現代社会でフィルムカメラを目にすることは少ない。今や世の中のほとんどのカメラがデジタルカメラ、スマートフォンに代替されている。

また、アマゾンが書籍のオンライン販売を普及させたことで、撤退を余儀なくされた書店も多い。

“デジタル”なディスラプションの登場

次に、『デジタルディスラプション』について解説しよう。

従来のディスラプションは、製品の開発・製造や流通のために莫大なコストを必要とした。そのため、ディスラプションを起こせる企業の数は限られたものであった。

しかし、インターネットやスマートフォンといった既存のプラットフォームを活用することで、製品・サービスを莫大なコストをかけずに直接提供できるようになる。

このように、「既存のデジタルなプラットフォームを持って市場に参入し、既存産業を駆逐するほどのインパクトをもたらすこと」をデジタルディスラプションと呼ぶ。

デジタルディスラプションを起こした企業の代表例が、UberやAirbnbだ。

Uberが与えたデジタルディスラプション、3つの影響

Uberは、スマートフォンを活用した配車サービスを手がけている。

同社のサービスは簡単に言うと、自動車を持つユーザーと、その自動車で移動したいユーザーをマッチングさせるというものだ。

そのためUberは、自社で自動車と言う有形資産を持たないにも関わらず、今や世界で最も巨大なタクシー会社となった。

このUberの参入はタクシー会社だけでなく、バスや鉄道などの輸送業界全般に与えるほどのインパクトだ。

Uberが今後も普及すれば、車を持たなくなる人の割合が増加し、自動車業界の収益に影響を与える可能性もある。

Uberが既存の輸送業界に代替するほどのインパクトを与えた要因は何か? その理由は3つある。

1. 遊休資産を有効活用している。

遊休資産とは、世の中で使われずに眠っている資産のことである。

Uberは配車サービスを展開するにあたり、自動車を購入するのではなく、すでに世の中に出回っている自動車を有効活用したのだ。

UberのCEOは世界中の自動車の「後部座席」は、膨大な遊休資産だと語ったことでも有名である。

2. デジタルを活用しユーザーとの距離をゼロにしている。

Uberは、スマートフォンアプリを使用することで、ユーザーは自身のスマートフォンから好きなタイミングで目的地への移動手段を手に入れることができる。

電車やバスなどのように、その場に行かなければサービスを受けられないということはない。常に企業とユーザーがスマートフォンを介してつながっている状態、すなわちユーザーとの距離がゼロになっていると言っていい。

3. 既存のタクシー業界で解決できない課題を解決している

そして、タクシーの弱点を徹底的に解消しているというのが、最大の要因とも言える。

Uberのアプリで目的地を指定すれば、すぐさまドライバーの情報が表示される。

わざわざユーザーがタクシー乗り場まで行く必要はないし、サービス利用前に料金もルートも確定しているので、タクシーのような料金の変動はない。

またシステム上でユーザーとドライバーの相互評価・レビューができるので、ユーザーの満足度が低いタクシードライバーは、ユーザーから選択されなくなるため自然淘汰される。

そのため、ユーザーは不機嫌な思いをする必要がないのである。

続々と登場するデジタルディスラプションを仕掛けるスタートアップ

この3つの要因は、Airbnb(民泊のマッチングサービス)でも同様のことが言える。

UberやAirbnbの様なデジタルディスラプション企業の登場は、一部の産業だけで起こるものではない。これから様々な産業で確実に登場する。すでにUberのビジネスモデルを応用・発展させたスタートアップが次々と登場している。

  • DoorDash(ドアダッシュ、米国のフードデリバリーサービス)
  • Lyft(リフト、米国のシェアライドサービス)
  • 滴滴出行(ディディチューシン、中国のシェアライドサービス)

これらのスタートアップは、すでに巨大なスタートアップとして世界中の注目を受けている。

デジタルディスラプションの本質は、「デジタルテクノロジーを駆使して、徹底的に顧客の抱える課題を解決すること」だ。

様々な制約によって顧客の課題を解決できなかった既存企業を駆逐するのである。

もはやデジタルディスラプションを他人事のように捉えていれば、将来市場で生き残るのは難しい。

デジタルディスラプションは、単にデジタルを活用した既存産業の破壊ではなく、ユーザーだけでなくワーカーや社会の問題の解決に挑んでいるからだ。

まとめ

すでにデジタルディスラブションは、あらゆる産業で起きている。そして、デジタルトランスフォーメーションがその対応策である。

デジタルトランスフォーメーション(DX)というと、『IT化』と勘違いされるが、この2つは明確に異なる。

デジタルトランスフォーメーションは、単にITを活用するのではなく、企業活動の全てをデジタルで構成し、利用者に新しい価値を提供することを最優先する。そして、既存の商品・サービスの脅威になることを恐れず提供する。従って、デジタルトランスフォーメーションでは従来のビジネスプロセスを前提として変革するのではなく、ビジネスプロセスを根本から見直すことが求められる。既存の経営資源をどう活用するかという視点は、およそ役に立たない。

つまり、既存のタクシー屋が配送にインターネットを使うというだけでは駄目なのだ。

これは、UberのCEOが「自動車の後部座席と遊休資産」と最定義した様に、既存業界の企業は、ステークホルダーの抱える構造的な課題が何で、なぜ今まで解決できなかったのかについて徹底的に考える必要がある。

さもなければ、あなたの業界にデジタルディスラプターが登場したときに右往左往するようでは手遅れになる可能性がある。

その時、取れる行動は2つしかない。1つは、ユーザーの意向を無視してスタートアップに真っ向勝負を仕掛ける。もう1つは、デジタルディスラプターと協力して共に共生を図る。

いずれにせよ、どの業界においてもデジタルディスラプションを他人事や対岸の火事と思って眺めていることだけは控えてほしい。

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