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製造業・消費財メーカーのDX活用とは?AI導入で変わる商品開発・顧客体験・生産性

                   
AI・人工知能
公開日:2018.01.22更新日:2025年6月25日

DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれる中、消費財メーカーも例外ではありません。スマートフォンやSNSを前提とした「デジタルネイティブ」な消費者が台頭し、従来のマーケティングや商品開発、生産管理の在り方が根本から見直されつつあります。

特に注目されているのが、AIを活用したDXの推進です。顧客の行動データをもとにニーズを予測したり、生産プロセスを効率化したりすることで、消費財メーカーにおける業務や価値提供のスタイルは大きく変わろうとしています。

本記事では、消費財メーカーがDXに取り組むべき理由と、AI導入を軸とした活用の3つの柱、よくある課題、進め方のステップについて、実務視点でわかりやすく解説します。

なぜ今、製造業・消費財メーカーにDXが求められるのか

DXの定義とIT化との違い

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるITツールの導入や業務の効率化を指すものではありません。
本質は「デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、顧客に新たな価値を提供すること」にあります。

たとえば、AirbnbやUberは自社で不動産や車両を保有せずに、プラットフォームとして巨大な市場シェアを築いています。これは、デジタルによって顧客体験の構造そのものを変えた成功例です。

一方、従来のIT化は「業務の一部をデジタル化して効率を高める」ことが中心でした。
DXはその一歩先、事業構造そのものを顧客起点で再設計する取り組みと言えるでしょう。

デジタルネイティブな消費者行動の変化

消費財業界を取り巻く環境も、DXを不可避とする要因が増えています。
その中でも最も大きな変化は、「消費者の情報収集と購買行動の変化」です。

スマートフォンの普及とSNSの浸透により、消費者は自ら情報を探し、比較し、購買後にはその感想や評価をネット上で発信するようになりました。
特にミレニアル世代やZ世代といったデジタルネイティブ層は、リアル店舗よりもオンライン体験やSNSの評判を重視する傾向があります。

こうした中で従来のマスマーケティングや一括大量生産型の商品戦略では、もはや消費者の期待に応えきれません。
顧客ごとのニーズを捉え、タイムリーに応じる体制づくりこそが、今後の競争力に直結します。

消費財メーカーにおけるDX活用の3つの柱

① 商品開発・需要予測へのAI活用

DXにおける最も実務的な活用領域の一つが「商品開発」です。
従来は営業現場や顧客アンケートなど、人手による情報収集が中心でしたが、現在は購買履歴やSNS投稿など、非構造化データも含めた顧客情報の分析が可能になっています。

AIを用いれば、

  • 潜在ニーズの発掘
  • トレンド予測
  • 最適な価格設定や商品ラインナップの提案

といったことが、従来よりも短期間で実現できます。
消費財メーカーにとってこれは、「感覚」から「データ」に基づく商品開発への転換」を意味します。

② 顧客体験・マーケティングの最適化

消費者との接点は多様化しており、もはや単一のチャネルでは顧客を捉えきれません。
SNS、ECサイト、アプリ、実店舗といったマルチチャネルでの接点を一元的に捉え、一人ひとりに最適な体験を提供する「パーソナライズドマーケティング」が求められています。

AIを活用することで、

  • 顧客ごとの行動履歴に基づいた商品レコメンド
  • チャットボットによる自動対応
  • 顧客属性に応じたキャンペーン設計

などが可能となり、ブランドへのロイヤルティを高めることにもつながります

③ 生産プロセスの高度化・自動化

DXはマーケティングだけでなく、製造現場にも大きな変化をもたらします。
AIやIoTの活用により、

  • 需要予測に基づいた生産計画の最適化
  • センサー情報からの品質異常検知
  • 設備の稼働状況やメンテナンス予測

といったリアルタイムかつ高精度な管理が可能になります。

従来はベテラン社員の経験や勘に頼っていた工程も、AIを通じて“再現可能な業務”に変えることができます。
結果として、在庫リスクの低減・不良率の削減・生産性向上など、直接的な業績インパクトを期待できます。

DX推進の現実的なハードルと乗り越え方

① 人材不足と属人化の壁

DX推進において最も多く聞かれる課題が、「適切な人材が社内にいない」という声です。
AIやビッグデータ、クラウドといったデジタル技術を扱うスキルだけでなく、それを自社の業務にどう落とし込むかという“橋渡し役”が必要です。

加えて、現場では長年の経験に基づく業務が属人化しているケースも多く、可視化や標準化が進まないとDXの足かせになります。
こうした課題に対しては、

  • 現場とIT部門の共創体制の構築
  • 外部パートナーの活用
  • 育成ではなく“リスキリング”の視点での教育設計

などが有効です。

② 設備投資への懸念

消費財メーカーの多くは、薄利多売・高回転がビジネスの前提となっているため、新たなITシステムやAI導入に対してROI(投資対効果)への不安がつきまといます。

この課題に対しては、いきなり大規模な投資に踏み切るのではなく、

  • 小規模なテーマからPoC(概念実証)を実施
  • 数値で成果を可視化し、段階的に拡張する

という“スモールスタート・段階的拡張”のアプローチが、現実的かつ効果的です。

③ 社内浸透・マインドセット改革

DXは単なる「新技術の導入」ではなく、「組織文化や働き方の変革」を伴います。
特にベテラン社員が多い組織では、「これまでのやり方を変えること」への心理的抵抗が無視できません。

そのためには、

  • DXの目的や意義を現場と共有し「自分ごと化」する
  • 成果が出る領域から成功体験をつくり、社内に展開する
  • KPIや評価制度も見直し、行動変容を促す

など、組織全体でのマインドセット改革と継続的な変化マネジメントが重要です。

DXを成功に導くためのステップ

① ゴール設定とビジョン共有

DXを本格的に推進するためには、まず最初に「なぜ取り組むのか」「どこを目指すのか」というゴールとビジョンを明確にする必要があります。
これは経営層だけでなく、現場を含めた組織全体が同じ方向を向くための土台です。

ビジョンが抽象的すぎたり、関係者に共有されていなかったりすると、プロジェクトは途中で頓挫しやすくなります。
具体的には、

  • 顧客体験をどう変えたいのか
  • 生産や流通のどこを最適化したいのか
  • 新しいビジネスモデルを模索するのか

といった観点から、自社の文脈でゴールを定義し、全社で共有しましょう。

② 小さく始めて素早く改善(スモールスタート)

次に重要なのは、「いきなり全体最適を目指さないこと」です。
DXは広範囲に影響するため、一部の領域から小さく始めて検証→改善を繰り返すアプローチが効果的です。

たとえば、

  • 需要予測のAIモデルを一部商品カテゴリで試す
  • チャットボットを特定チャネルで導入する
  • 製造ラインの一部だけIoT化して試験運用する

といった小規模PoCからスタートし、成果を可視化・共有することで社内の理解と支持を得やすくなります。

③ 成果の可視化と社内展開

最後に、得られた成果は定量的・定性的に社内で「見える化」し、組織内に展開していくことが重要です。
一部の部門やプロジェクトだけで終わらせず、全社的なDX推進へとスケールさせる必要があります。

  • 導入によってどう改善されたのか
  • 顧客満足度や売上、生産性にどうつながったか
  • 現場からどんなポジティブな反応があったか

などを、社内資料や説明会などで共有することで、DXを単発の取り組みから「企業文化」として定着させることが可能になります。

まとめ|DXは“業務改善”ではなく“競争力強化”の戦略である

デジタルネイティブな消費者が主役となる今、消費財メーカーは、従来型のマーケティングや商品開発、生産方式のままでは市場の変化に対応できません。

本記事で見てきたように、DXの本質は単なるIT化や業務改善ではなく、企業全体のビジネスモデルや提供価値を顧客起点で再設計する「構造的な変革」です。
そして、その変革を推進するカギとなるのがAIをはじめとしたデジタル技術の活用です。

商品開発では「感覚」から「データ主導」へ、マーケティングでは「一律対応」から「個別最適化」へ、そして生産現場では「経験頼り」から「リアルタイムな意思決定」へと進化していく。
これら一つひとつの進化が、やがて企業の競争力そのものを根底から強くしていく原動力となります。

DXは“未来の話”ではなく、“いま取り組むべき経営戦略”。
消費財メーカーが変化に取り残されず、新たな成長を実現するための土台として、今こそ本格的なDXへの第一歩を踏み出す時です。

 

 

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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