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既存事業の再成長・再生に必要な視点とは?成功企業の事業再構築事例と実行ステップを解説

                   
事業開発
公開日:2025.06.12更新日:2025年6月12日

既存事業の「再成長・再構築」が必要とされる時代背景

市場変化・技術進化・顧客ニーズの複雑化

近年、あらゆる業界で市場構造や顧客行動が急速に変化しています。生成AIやSaaS、IoTといった技術革新に加え、購買プロセスのデジタル化、価値観の多様化が進み、従来の「当たり前」が通用しにくい時代になりました。

こうした環境下では、過去に確立したビジネスモデルが陳腐化するリスクも高まります。安定収益をもたらしていた既存事業であっても、その前提が崩れることで収益性・競争力が低下してしまうのです。

「過去の成功体験」が足かせになる構造

実は、企業が「変化に乗り遅れる」大きな要因の一つが、過去の成功体験です。長年売れてきた商材や営業手法に対して、「今までこれでやってこれたから大丈夫」という心理が働きやすくなります。

しかし、変化が常態化した今の市場では、「そのやり方のままでは通用しない」と気づいたときには、すでに手遅れになっていることも少なくありません。だからこそ、経営層が率先して現状を問い直し、再構築に踏み出す必要があるのです。

だからこそ、事例に学ぶべき理由とは?

とはいえ、「既存事業の再構築」と言っても、何からどう始めればいいのか、社内だけで答えを出すのは難しいのが現実です。そんなときに役立つのが、他社のリアルな取り組み事例です。

特に、自社と近い業種や課題を抱える企業が、どのように考え、何を変え、どんな結果を出したのか——そのプロセスと成果を知ることは、「再構築の再現性」を見極める上で大きなヒントになります。

次章からは、実際に再成長を果たした企業の具体的な事例を3つ紹介していきます。

【事例1】製造業のV字回復:事業を「モノからサービス」に転換

背景:受注減・価格競争で利益率悪化

ある中堅製造業は、長年にわたり高品質な工業部品を製造し、国内大手メーカーに納入してきました。しかし、競合の増加や製品のコモディティ化により受注単価が下落。さらに景気変動の影響で受注量も不安定となり、利益率が大幅に低下していました。

従来の製品単体での販売モデルには限界が見え始め、「作って売るだけ」では持続的な成長が難しい状況に直面していたのです。

再構築の切り口:製品×保守サポートの定額化モデルへ

そこで同社が着目したのが、「製品+サービス」の一体提供です。製品を販売するだけでなく、その後のメンテナンス・サポートを含めた月額定額制モデルに転換。導入時点でのハードルを下げつつ、継続的なサービス提供によって収益を安定化させる仕組みを導入しました。

顧客側にとっても、「設備の維持・管理」を安心して任せられることから付加価値を感じてもらえ、従来の単発取引から長期的な関係構築へと移行するきっかけとなりました。

成果:LTVが2倍に/顧客との継続関係が安定

この再構築により、1顧客あたりのLTV(顧客生涯価値)は従来の約2倍に向上。また、収益がサービス提供期間にわたって分散することで、売上の波も平準化されました。

さらに、顧客との定期的な接点が生まれたことで、追加ニーズや改善要望をいち早くキャッチできる体制も整い、「顧客にとっての価値創出」を軸にした事業運営へと転換できた点が大きな成果と言えるでしょう。

【事例2】老舗企業が新たな成長軸を構築:ターゲット市場の再定義

背景:高齢顧客中心の商材に限界

ある生活用品メーカーは、創業から半世紀以上の歴史を持ち、シニア層に根強い支持を得ていました。代表的な主力商品は「高齢者向けの健康サポートアイテム」であり、固定ファンは多いものの、顧客の高齢化・自然減が避けられない状況でした。

加えて、新たな若年層へのアプローチは進んでおらず、「商材そのものに時代遅れ感がある」という社内外の声も増えていました。

再構築の切り口:若年層向けリブランディングと販路変更

同社が取った戦略は、「ブランドの再定義」と「販路のシフト」でした。まず、既存商品のパッケージやネーミング、プロモーションを刷新し、「健康×ライフスタイル」視点で若年層にも訴求できるブランドに再構築。

さらに、販路も従来のドラッグストア中心から、セレクトショップやD2C型のECチャネルへと拡大しました。SNSを活用したインフルエンサーマーケティングも取り入れ、ブランド認知の層を一気に広げたのです。

成果:売上の構成比が半年で3割変化/新規採用も成功

この戦略転換により、半年で新規顧客による売上が全体の約30%を占めるようになり、売上構成比が大きく変化しました。さらに、若年層のファンが増えたことにより、採用活動でも「共感」を得やすくなり、20〜30代の人材確保にも成功。

このように、再構築は単に商品や売上だけでなく、ブランドの“存在意義”を見直し、「人材」「顧客」「カルチャー」まで変える大きな起点となったのです。

【事例3】地方企業がデジタル活用で生産性&販路拡大を実現

背景:属人的な営業と紙文化による業務停滞

ある地方のBtoB商社は、地域密着で数十年にわたる営業基盤を持つ老舗企業でしたが、営業活動は属人的で、受注・見積・在庫管理もすべて紙ベース。業務が一部のベテラン社員に集中し、非効率な状態が常態化していました。

特に、商談の引き継ぎや営業進捗の可視化ができておらず、新人営業の立ち上がりも遅く、社内全体で「このままでは次の成長はない」という危機感が広がっていました。

再構築の切り口:SFA/EC導入による営業改革と販路拡張

そこで同社は、営業改革に踏み切りました。具体的にはSFA(営業支援ツール)を導入し、顧客情報・商談履歴・見積進捗などを全社で一元管理。営業担当ごとの暗黙知を「見える化」し、育成と効率化を同時に進めました。

また、補完的に自社ECサイトも立ち上げ、既存顧客の追加発注や新規見込み客からの問い合わせ対応を24時間オンラインで受け付ける仕組みに。限られた営業人員でも広い商圏をカバーできる体制を築いたのです。

成果:売上120%増/営業工数は40%削減

こうした取り組みにより、1年で売上は前年比120%を達成。営業活動の自動化とEC販路の追加により、営業一人あたりの工数は約40%削減され、残業時間も大幅に減少しました。

同時に、営業手法の標準化が進んだことで、若手人材の育成速度も上がり、組織としての「営業再現性」も強化されました。アナログ中心だった企業が、デジタルを通じて“再成長”への道筋を描いた好事例です。

事業再構築の共通点と、成功する企業に見られる3つの特徴

3つの事例を通して見えてくるのは、再構築に成功する企業にはいくつかの共通した視点や行動様式があるということです。ここでは、特に重要な3つの特徴を紹介します。

① 顧客視点で価値を再定義している

すべての企業に共通していたのは、「これまで提供してきた価値が今も有効か?」という問いから再構築をスタートしていた点です。製品のスペックではなく、顧客の課題解決や期待へのフィット感を重視し、新たな顧客価値を再定義していました。

単なる改良ではなく、「いま、この顧客に、なぜこのサービスが必要か?」という“問い直し”が、再成長の原点になっています。

② スモールスタートで実験・検証しながら進めている

再構築というと大掛かりな改革を想像しがちですが、成功企業はすべて、まず小さな取り組みから着手し、反応を見ながら施策を磨き上げていました。

これは失敗のリスクを抑えるだけでなく、現場に納得感と「うまくいきそう」という確信をもたらすためにも有効です。「実行と検証を同時に進める文化」をいかに育てるかが、再構築の成否を分けます。

③ 社内の“旗振り役”が明確に存在している

変革には必ず“推進者”の存在が欠かせません。紹介した企業では、経営層や部門長など「当事者意識を持って変革をリードする人物」が明確に存在していました。

この旗振り役が社内の理解を得ながら、時に軋轢を乗り越えてでも進めたからこそ、組織が一丸となって再構築をやり遂げられたのです。逆に言えば、「旗を振る人」がいなければ変化は始まりません。

まとめ|再構築に必要なのは「新たな解釈」と「行動力」

再構築は単なるリニューアルではない

事業再構築という言葉に対して、「既存の事業を一部改善すること」と受け止めている方も多いかもしれません。しかし実際には、再構築とは「事業の意味づけそのものを問い直し、価値提供のあり方を再定義する」ことにほかなりません。

だからこそ、そこには痛みも伴います。既存の前提を壊し、新たな道をつくるには、勇気と粘り強さ、そして現場での小さな実践の積み重ねが必要です。

「どこから手をつけるべきか」に悩んだら

今回ご紹介したような事例に触れ、「ウチも変わらなければ」と感じる一方で、「では何から始めるべきか?」と悩まれる方も多いはずです。再構築には正解の手順があるわけではなく、自社の強み・市場環境・人材リソースによって、最適なルートは異なります。

そのためにもまずは、外部視点を交えて現状を俯瞰し、自社なりの「問い」を立てることが出発点になります。

 フィンチジャパンからのご提案|既存事業の再構築・再成長を目指す企業の皆さまへ

私たちフィンチジャパンは、2006年創業以来、400件を超える新規事業の立ち上げと事業成長を支援し、また150社以上の既存事業の再成長支援、DX/AI推進、経営戦略の立案・実行支援を行なってきております。

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再構築には、戦略だけでなく「現場が動く仕組み」と「検証文化」が欠かせません。私たちは、経営視点と現場視点の橋渡しをしながら、変革をともに実現していきます。

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貴社にとっての“次の成長”は、すでに手元にある資源の再解釈から始まるかもしれません。再構築の第一歩、私たちとご一緒に踏み出しませんか?

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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