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なぜ今、化粧品業界にDXが必要なのか?成功企業に学ぶ5つの実践法

                   
事業開発
公開日:2025.06.10更新日:2025年6月10日

なぜ今、化粧品業界でDXが求められているのか?

市場成熟と消費者行動の変化

化粧品市場は、これまでの「モノを売る」から「体験を提供する」時代へとシフトしています。国内市場はすでに成熟しつつあり、ただ商品を陳列するだけでは顧客の心を動かすことが難しくなりました。

一方で、消費者はSNSやレビューサイトを通じて情報を能動的に取得し、自分に合った価値を見極める力を持っています。こうした変化のなかで、企業にはデータをもとに顧客ニーズを把握し、商品開発や販促施策に反映する「デジタル対応力」が求められているのです。

コロナ禍によるオンライン化とD2Cシフト

2020年以降のコロナ禍は、リアル店舗中心だった化粧品業界にも大きな変革をもたらしました。対面販売が難しくなり、ECやSNSを起点としたD2C(Direct to Consumer)モデルが急速に広がったのです。

この変化により、オンライン上でのブランド体験の質や、個別ニーズに応じた情報提供・接客のあり方が重要になりました。単に「デジタルに対応する」のではなく、「ブランドの世界観をどのようにオンラインで表現し、顧客とつながるか」という視点が、今や業界全体の競争力を左右しています。

人的リソース・業務の属人化といった構造的課題

多くの化粧品メーカーでは、商品開発・販促・店舗運営に至るまで、長年の経験や人の勘に頼ったオペレーションが根付いています。こうした属人的な業務フローは、ノウハウの共有や業務改善を妨げ、結果として生産性や柔軟な対応力を損なう要因にもなりかねません。

DXの推進は、こうした構造的な課題を可視化し、業務を標準化・最適化する大きなチャンスでもあります。人に依存せず、仕組みとして成長できる企業体制づくりが、今まさに求められているのです。

化粧品業界のDX成功事例5選(D2Cや業務効率化の実践)

花王|データ分析を活かした顧客体験設計

花王は、長年蓄積してきた顧客データや購買履歴を活用し、パーソナライズされた提案や商品レコメンドを展開しています。特に注目されているのは、AIを用いた肌解析サービス。オンライン上で肌の状態を診断し、個別に最適なスキンケアを提案する仕組みは、多忙な現代女性のライフスタイルにフィットし、高い評価を得ています。これにより、顧客満足度の向上とECサイトでの購買促進を両立させています。

資生堂|オンラインカウンセリングによる新たな販売チャネルの確立

資生堂はコロナ禍において、オンライン接客・カウンセリングをいち早く導入。ビューティーコンサルタントによる対面カウンセリングの質をデジタルに転換し、ユーザーが自宅にいながらも“人による接客体験”を享受できるようにしました。これにより、物理的な接点が制限される中でも、新たな販売チャネルを確保し、顧客との関係構築を持続しています。

カネボウ化粧品|ブランド統合とデジタル戦略の融合

カネボウ化粧品は、複数のブランドを統合しつつ、それぞれのブランド体験を損なわないようにデジタルでの統一感ある顧客接点を再設計。特に公式サイトやSNSでは、一貫した世界観とデザインで顧客を惹きつけ、ブランドロイヤルティの強化を図っています。DXは単なるIT導入にとどまらず、ブランディング戦略とも密接に結びついている好例です。

アルビオン|製造・在庫管理のシステム刷新による効率化

高品質な製品で知られるアルビオンは、製造工程のデジタル化により在庫管理の精度を向上。原材料の調達から生産スケジュールの最適化までをシステムで一元管理することで、在庫過多や欠品といったロスを最小限に抑えています。こうした業務効率化は、間接的にブランド信頼の維持にもつながっており、BtoB・BtoC双方への供給体制を強化しています。

ベンチャー企業のD2C成功例|スピード感ある仮説検証とSNS起点の展開

新興ベンチャー企業では、初期段階からD2Cモデルを前提にビジネスを設計する例が増えています。SNSを通じて顧客の声をダイレクトに収集し、それを迅速に商品改善に活かす「仮説→検証→改善」のループを短期間で回すことで、大手に負けないスピード感を実現。特にZ世代をターゲットにしたブランドでは、SNSを起点に話題を生み出す仕組みが功を奏しています。

化粧品業界におけるDX推進のキーポイント

OMO(Online Merges with Offline)の実現

化粧品業界では、リアルとデジタルの融合=OMO(Online Merges with Offline)が重要なテーマとなっています。実店舗で得られる接客体験と、ECやSNSでの利便性を組み合わせることで、顧客は「どこでも一貫した体験」が可能になります。たとえば、店舗での購入履歴がオンラインでも反映される仕組みや、SNSで関心を示した商品が店舗でレコメンドされるなど、シームレスな体験設計が企業の差別化につながります。

ブランド体験の再設計(顧客接点の一貫性)

ブランドの世界観をどのチャネルでも一貫して届けることは、ファンづくりに直結します。パッケージ、店頭ディスプレイ、ECサイト、SNS投稿、そしてアフターサポートまで、すべてが「一つの体験」としてつながることが求められています。DX推進により、顧客との接点を統合・再設計し、より深いブランド体験へと導くことができます。

顧客データを活用したパーソナライズと商品開発

消費者は「自分に合った提案」に高い価値を感じます。DXの活用によって、購買履歴、Web行動、肌診断データなどをもとに、一人ひとりに最適な商品や情報を届けることが可能になります。また、蓄積されたデータは、新たな商品の企画やトレンド予測にも活用でき、商品開発のスピードと精度を高める原動力になります。

社内のDX理解と現場巻き込みの仕組み化

DXは単なる「ツール導入」ではなく、組織文化の変革でもあります。現場スタッフがデジタル施策の意義を理解し、自ら活用できるようになることで、DXは初めて定着します。そのためには、教育・トレーニングの機会提供、成功体験の共有、部門間連携の仕組み化など、地道な取り組みが欠かせません。上層部と現場の意識をつなぐ「共通言語」を持つことが、成功への鍵となります。

DX推進におけるフィンチジャパンのアプローチ|ビジネスフロンティアの切り開き方

DXと新規事業開発をつなげる思考フレームワークとは

フィンチジャパンは、DXを単なる業務改善にとどめず、新たな事業機会の創出=“ビジネスフロンティアの開拓”へと結びつける独自のアプローチを採っています。その中核にあるのが、「経営資源をいかに組み替え、新たな価値を生むか」を体系的に考える思考のフレームワークです。DXを導入する際、現場の業務課題と経営の視点をつなぐ設計思想がなければ、単発の施策に終わってしまいます。フィンチジャパンでは、デジタル施策を経営戦略や新規事業の文脈に位置づけ、“点”ではなく“面”で成果を出す支援を行っています。

既存事業の見直しから始めるDX推進支援

フィンチジャパンの強みは、既存事業の強みや課題を見つめ直すことからDXを始めるというアプローチにあります。たとえば、長年続けてきた店舗運営や商品開発のプロセスに眠る「暗黙知」を可視化し、それをデジタル技術で再構築。単に“効率化”を目指すのではなく、既存資産の再定義と活用によって再成長を実現するという視点で支援を行っています。これにより、企業ごとの文脈に沿ったDX推進が可能になります。

「社内DX」の経験をクライアント支援に活かす伴走型スタイル

フィンチジャパン自身も、社内でのDXを自ら実践してきた経験があります。業務フローの再設計からAI・SaaSの導入、ナレッジマネジメントの仕組み化まで、試行錯誤を経て得た“リアルな知見”を活かし、クライアント企業の現場に寄り添った支援を行っています。机上の理論だけでなく、「現場がつまずくポイント」まで熟知していることがフィンチジャパンの大きな強みです。企業ごとの状況に合わせた、柔軟で現実的なDX支援を心がけています。

まとめ|「試す→学ぶ→改善する」企業が生き残る

DXは手段であり、目的は「価値の再定義」

DXという言葉だけが一人歩きしてしまいがちですが、本質はテクノロジーの導入ではなく、顧客にとっての新たな価値を再定義し、提供し直すことにあります。化粧品業界では、生活者の価値観や購入行動が多様化しており、従来のアプローチが通用しづらくなっています。だからこそ、企業は「何を届けるのか」「どのように届けるのか」を問い直す必要があります。その変革を実現する手段として、DXは非常に有効なツールです。

成功企業に共通する“現場巻き込み型DX”の視点

本記事でご紹介した事例の多くに共通するのが、現場を巻き込みながらDXを推進していることです。戦略だけでなく、現場の声を起点に小さく試し、フィードバックを得て改善する──このサイクルを回せる企業こそが、変化に強く、持続可能な成長を遂げています。トップダウンだけではなく、現場とともに「変えていく文化」を築くことが、DXの定着と成果を生むカギとなります。

フィンチジャパンからのご提案|化粧品業界のDXを「再成長の起点」に変えるために

私たちフィンチジャパンは、2006年創業以来、400件を超える新規事業の立ち上げと事業成長を支援し、また150社以上の既存事業の再成長支援、DX/AI推進、経営戦略の立案・実行支援を行なってきております。

こんなお困りごとはありませんか?

  • DXの必要性は理解しているが、「どこから手をつければよいのかわからない」
  • D2CやSNS活用を試みたが、業務フローや人材が追いつかず成果が出ない
  • 部門ごとにデジタル施策が分断されており、ブランド体験が一貫しない
  • オフライン中心のオペレーションが属人化し、データ活用や可視化が進まない

フィンチジャパンは、こうしたお悩みに対し、戦略設計から現場定着までを一貫して支援します。

私たちフィンチジャパンは、一例として以下の様なコンサルティング実績があります。新規事業の立ち上げを検討されている際はご相談ください。

  • 化粧品メーカーL社
    予防市場における新サービス開発を支援(約1年)
  • 化粧品メーカーI社
    ブランドマネジャー制度の設計・定着を支援(約8ヶ月)
  • 化粧品メーカーD社
    研究開発プロセス改革とデジタル活用の推進(約3年)
  • 食品メーカーR社
    類似市場での新カテゴリー創出支援(約2年)
  • ITサービスK社
    サービス部門における事業投資のガバナンス設計(2年)

DXは「価値の再設計」から始まります。業界固有の文脈や企業の強みを活かした変革をお考えなら、ぜひフィンチジャパンにご相談ください。現場と経営をつなぎ、成果に直結する伴走をご提供いたします。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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