社内DXを加速する「業務のAI化」とは?失敗しないAI導入の進め方と活用事例
公開日:2025.06.10更新日:2025年6月10日
目次
はじめに:なぜ今「業務のAI化」が注目されているのか?
人手不足や業務の属人化、膨大なデータ処理への対応など、企業を取り巻く課題は年々複雑化しています。そうした中で注目されているのが、業務のAI化です。
単に作業を自動化するだけでなく、意思決定の支援や属人性の排除、業務品質の平準化を実現できる点が大きな魅力です。
とくに社内DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩として、AI化は有効な手段といえます。導入のハードルが下がりつつある今こそ、「小さく始めて成果を出す」戦略が求められています。
業務のAI化とは?社内DXとの関係を解説
AIは単に作業を自動化するだけでなく、業務全体の質やスピードを向上させる「変革の起点」となります。ここでは、実際にAIが効果を発揮している業務領域を紹介します。
カスタマーサポート(チャットボット・問い合わせ分類)
問い合わせ対応業務もAI化が進む領域です。チャットボットや自然言語処理(NLP)を活用することで、24時間体制の初期対応が可能になります。
- よくある質問への即時回答
- 問い合わせ内容の自動分類・振り分け
- 応対履歴の蓄積とナレッジベース化
これにより、人的リソースをより付加価値の高い業務に集中させることができます。
人事・総務・経理(採用・勤怠・経費精算など)
バックオフィス業務においてもAIとRPAの活用が広がっています。
- 履歴書の自動スクリーニングや適性分析
- 勤怠データの異常検知やパターン分析
- 経費精算の不正検知や自動承認ルールの運用
煩雑で定型的な業務をAIに委ねることで、間接部門の生産性が大きく向上します。
企画・分析系業務(社内ナレッジ化・BIツール連携)
近年注目されているのが、AIによるデータ分析やナレッジ共有支援です。
- 社内ドキュメントや議事録からの要約・分類
- 経営レポートや市場分析の自動作成
- BIツールとの連携による可視化と意思決定支援
これらにより、属人性の高い企画系業務にも、再現性とスピードをもたらすことが可能になります。
人事・総務・経理(採用・勤怠・経費精算など)
バックオフィス業務においてもAIとRPAの活用が広がっています。
- 履歴書の自動スクリーニングや適性分析
- 勤怠データの異常検知やパターン分析
- 経費精算の不正検知や自動承認ルールの運用
煩雑で定型的な業務をAIに委ねることで、間接部門の生産性が大きく向上します。
企画・分析系業務(社内ナレッジ化・BIツール連携)
近年注目されているのが、AIによるデータ分析やナレッジ共有支援です。
- 社内ドキュメントや議事録からの要約・分類
- 経営レポートや市場分析の自動作成
- BIツールとの連携による可視化と意思決定支援
これらにより、属人性の高い企画系業務にも、再現性とスピードをもたらすことが可能になります。
AI導入のリスクとその対策
AIは強力な業務改革ツールですが、正しく理解し、慎重に扱わなければ逆効果になることもあります。ここでは、導入時によく見られるリスクと、それに対する実践的な対策を整理します。
誤解や過剰期待を防ぐ「できること/できないこと」の整理
AIは万能ではありません。「全自動で仕事がなくなる」「人間は判断しなくてよくなる」といった誤解が広がると、社内の反発や過剰な期待による失望を招く可能性があります。
【対策】
- AIに何ができて、何ができないかを明確に説明
- 「支援ツール」としての役割を正しく伝える
- 成果目標を定量的に設定する(例:○時間の削減、エラー率の低下)
AIをパートナーとして活用する姿勢を浸透させることが重要です。
データ漏洩や権利侵害リスクへの対応
AIの導入には、社内データや顧客情報を扱うケースも多く、セキュリティ・法的リスクの観点も無視できません。
【想定されるリスク】
- 機密情報がAIサービス経由で外部に流出
- 生成AIによる著作権侵害の可能性
- AIによる誤回答が法的判断に影響
【対策】
- 社内で使用ルールやガイドラインを整備する
- 外部AIツール使用時はプライバシー設定と利用規約を精査
- セキュアな環境(クローズドAI/オンプレミス等)の選定も検討
「便利さ」と「安全性」の両立が、AI活用の前提となります。
社内ルール整備と運用支援の重要性
AI導入はシステムだけでは完結しません。日々の業務フローに落とし込むためには、運用設計とルール作りが欠かせません。
【ポイント】
- AIをどの業務で、どの手順で使うかを明文化
- 利用状況を可視化・ログ取得できる仕組みを整備
- 担当者を決めて運用の改善サイクルを回す
ここを怠ると、せっかく導入したAIも「一部の人しか使わない」「結局手作業に戻る」など、形骸化のリスクが高まります。
成功企業に学ぶ!AI導入・社内DXの事例紹介
大塚商会 :営業DXにおけるAI分析活用
導入背景と課題
大塚商会は、20年以上にわたる営業・商談記録と売上明細など大量のデータを保有していましたが、営業担当者の経験や勘に依存した業務が課題となっていました。
導入したAIと業務改善効果
AI分析ツール「dotData」を導入し、商談につながる顧客行動や予測パターンを抽出。AIは半年で7万件以上の商談機会を提案し、商談数は3倍に急増。さらに、AIによる分析期間は数ヶ月から数日に短縮されました。
組織展開プロセス
- PoCで効果を検証
- 営業部門で本格導入
- 各部門にも展開しガイドライン策定
結果、属人化解消とデータ活用定着が進み、DXが社内文化に根付きつつあります。
佐川急便 :配送効率と問い合わせ対応のDX改革
導入背景と課題
佐川急便は再配達・不在配送が全配送の約2割を占め、年間数百億円規模の無駄コストが発生していました。加えて、配車伝票の手書き運用による配車計画の非効率も問題でした
導入したAIと業務改善効果
- 在宅予測AI:電力データから在宅状況を予測し、不在配送を地域実証で約20%削減。東京大学での実証では不在配送が90%減少
- AIチャットボット(SAGAWAチャット):再配達の問い合わせ対応を自動化し、コールセンターの負荷軽減と顧客満足度向上を実現
- 荷積みロボット実証:Dexterity社と共同でAI搭載ロボットを導入し、庫内作業の負担軽減を進めていますs
組織展開プロセス
複数のAI案件を併行投入し、荷役からコールセンターまで複合的な現場改善へ広がり、全社的なDXへと進展中です。
ニチレイ :製造・物流現場での画像AI・RPAの多面的活用
導入背景と課題
ニチレイグループは、製造現場の体力負担や物流での待機時間、生産計画立案の属人化など、現場に根づく構造的課題を抱えていました。
導入したAIと業務改善効果
- 工場の画像認識AI:焦げ除去工程を自動化し、検品精度向上と廃棄量削減を実現
- 生産・要員計画AI:日立と協業し、生産品目・納期・人員配置などを考慮した計画立案を自動化。作業負荷は10分の1に減少し、在庫最適化も達成
- 物流現場RPA・画像AI:トラックバース予約で待機時間を9割以上削減し、AGV(自動搬送車)導入で作業効率と安全性を向上。物流拠点で残業や疲労を大幅に軽減しています
組織展開プロセス
RPA・AIは工場・物流現場を横断する形で導入され、「誰でも使えるDX」として現場主導の文化醸成が進行中です。
POINTまとめ
共通の成功要因 | 内容 |
PoC から本格展開 | 小さく始め、成果を確認後に拡張 |
全社横断の推進体制 | 各部署にAIリーダー/横断ガイドラインの整備 |
現場主導の定着 | 職場の声を反映し、ツールを使いやすく設計 |
これらの事例に共通するのは、現場に眠っていた知見やデータをAIによって可視化・活用し、業務改革につなげていることです。自社に合った手法で段階的に進めることで、誰もが「再現性あるDX」の道を描ける時代がきています。
まとめ|業務のAI化から始まる、現場主導の社内DX
社内DXを成功に導くためには、壮大な構想だけでなく、「いま、現場で困っていること」を起点とした現実的な第一歩が欠かせません。その第一歩として最適なのが、業務のAI化です。
営業、バックオフィス、カスタマーサポート、企画など、さまざまな領域でAIはすでに活用されはじめています。そして、導入効果が見えることで、現場の納得感も生まれ、次の変革へとつながっていきます。
重要なのは、「何を」「どの範囲で」「どんな効果を狙って」導入するのかを明確にし、段階的かつ柔軟に進めること。そして、その過程で得られた知見や成果を、全社のDX推進に波及させていくことです。
業務のAI化は、社内DXという大きな流れの中で、最も実行しやすく、成果につなげやすい領域です。ぜひ小さな一歩から、自社に合った変革を始めてみてください。
フィンチジャパンからのご提案
フィンチジャパンは、DX推進やAI活用の現場で求められる「具体的な変革の進め方」に深くコミットしてきました。
「業務×AI×DX」の三位一体の支援を強みに、貴社の変革をご支援いたします。
社内DXに精通した実行支援パートナーとして
私たちは、単なるツール導入支援にとどまらず、業務課題の発見から運用定着まで伴走します。AI導入もスモールスタートで始め、業務成果に結びつけながら段階的に展開する戦略設計をご提案します。
「業務×AI×DX」の三位一体の知見
フィンチジャパンは、AI技術の理解と業務変革の実行支援、さらに経営戦略視点を統合した支援体制を整えています。生成AI、RPA、BIツールといった技術要素だけでなく、人や組織の変化に寄り添う支援が可能です。
「ビジネスフロンティア開拓事業」の20年実績
新規事業開発・既存事業の再成長・DX推進など、数多くの企業変革に関わってきた実績があります。「変化の起点をつくる」ことを使命に、貴社のビジネス変革をご一緒に推進します。
- 新規事業の事業計画書サンプル
- 新規事業を成功させる22のステップ
- 新規事業・商品開発
コンサルティングの成功事例 - など
この記事の監修者

株式会社フィンチジャパン 代表取締役
早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。
出版
PR Times記事
『https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>』
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