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業務改善を加速させるAIエージェントの作り方|社内実装に必要な全プロセスを解説

                   
事業開発
公開日:2025.06.06更新日:2025年6月6日

はじめに:なぜ今「AIエージェントの作り方」が注目されているのか

生成AIから「業務を自律的に進めるAI」への進化

ChatGPTをはじめとした生成AIの登場により、これまで人手で行っていた文章作成や要約、翻訳などの業務が格段に効率化されてきました。しかし近年では、単なる“生成”にとどまらず、タスクの目的を理解し、自律的に判断・実行するAI=「AIエージェント」が注目を集めています。

AIエージェントは、ユーザーからの簡単な指示だけで、複数のアプリケーションやツールを連携しながらタスクを遂行できるのが大きな特徴です。業務プロセスの中で、「何をすべきかを自ら判断して動けるAI」が求められるようになった今、作り方への関心が高まっているのです。

ノーコードツールでは足りない現場ニーズの高まり

既存のノーコードツールや業務自動化ソリューションでは、あらかじめ定義されたフローの中でしか動けないという制約がありました。例えば、RPAツールは一定の条件下では有効ですが、予期せぬ状況には対応できず、人の手が必要になります。

一方、AIエージェントは言語理解・文脈理解・推論能力を持つことで、柔軟に対応できるのが魅力です。
特に近年では、

  • 部門横断で使える社内AIアシスタントの開発
  • 社内ナレッジを活用する業務改善エージェントの内製化
    といったニーズが高まりを見せています。

このような背景から、「自社でAIエージェントを設計・実装する方法」を知りたいというニーズが急速に広がっており、PoCにとどまらない内製の重要性が企業内でも共有されはじめています。

AIエージェントとは?基本の仕組みと構成要素

AIエージェントの定義と生成AIとの違い

AIエージェントとは、「与えられた目標に向かって、自律的にタスクを計画・実行するAIシステム」のことです。単なるチャットボットや生成AIとは異なり、複数のツールや情報源と連携し、状況に応じて最適な判断を下す能力を備えています。

例えば、生成AIは「〇〇について説明して」と入力すれば、その問いに対する最適な回答を提示してくれます。一方、AIエージェントは「このデータを分析して、レポートを作って」と依頼すると、

  1. どのデータを使うべきかを判断し、
  2. 必要な情報を検索・取得し、
  3. データを分析し、
  4. 結果を整理・出力する
    といった一連のプロセスを主体的に進めてくれます

つまり、生成AIは「会話に強い」道具であり、AIエージェントは「業務遂行に強い」存在といえるでしょう。

AIエージェントの主な構成要素(Profile/Memory/Planning/Action)

AIエージェントは、主に以下の4つの構成要素から成り立っています。

要素 概要
Profile(個性) エージェントの役割や行動方針を定義する部分。何を目的に動くのか、どのような価値観で判断するのかを決める。
Memory(記憶) 短期的・長期的な情報保持を司る。過去の会話や業務履歴をもとに、次の行動に活かす。
Planning(計画) ゴールを達成するためのタスク分解・優先順位付けを行う。何をどの順番で実行すべきかを設計する役割。
Action(行動) ツールの操作や外部APIの呼び出しなど、実際にアクションを起こす部分。実行結果をもとに、次の判断へとつなげていく。

このように、AIエージェントは「自分で考え、記憶し、計画し、動く」ことで、業務の幅広い領域に応用できる仕組みを持っています。これが、従来の業務支援ツールとの大きな違いです。

AIエージェントの作り方:設計〜実装までのステップ

AIエージェントは汎用的なツールではなく、業務の目的や利用シーンに応じて設計・構築する必要があります。ここでは、ビジネス現場で使えるAIエージェントを作るための基本ステップを4段階に分けて解説します。

ステップ① エージェントの役割とゴールを明確にする

まず最初に必要なのは、「このAIエージェントに何を任せたいのか?」という役割の明確化です。
目的が曖昧なままでは、設計や動作テストの段階でつまずきやすくなります。

たとえば次のように、業務に即したゴールを設定しましょう。

  • 営業担当者向け:日報作成を補助するエージェント
  • 情報収集担当向け:競合ニュースを要約・配信するエージェント
  • ミーティング支援:議事録の自動作成と要点抽出

ゴールを明確にすれば、どの情報を参照すべきか、どういう出力形式にするかが具体化されます。

ステップ② 使用するツール・フレームワークを選定

次に、実装に使うツールやフレームワークを選びます。代表的な選択肢には以下があります:

  • LangChain:プロンプトや外部ツール連携を柔軟に制御できるPythonライブラリ
  • LangGraph:LangChainの機能をグラフ構造で扱える実験的フレームワーク
  • OpenAI Functions / Assistants API:APIベースでシンプルに呼び出せる公式オプション
  • ReAct / AgentExecutor:思考と行動を組み合わせたフレームワーク設計に適している

利用者のスキルやチーム構成、導入スピードなどに応じて、内製 or パートナー連携を使い分けるのも現実的な判断です。

ステップ③ プロンプト・システム設計

AIエージェントの“頭脳”を作る部分です。以下のような要素を丁寧に設計します。

  • System Prompt(エージェントの行動原理)
    例:「あなたは〇〇会社の営業支援アシスタントです」「業務日報を200字以内で簡潔にまとめてください」
  • Tool設計(どのツールを使わせるか)
    例:社内ドキュメント検索ツール、外部API、カレンダー、チャット連携など
  • 記憶領域(Memory)の設計
    エージェントが何を覚え、どのように活用するかを整理することで、より“自然な”対話・判断が可能になります。

ステップ④ 実行・検証・改善を繰り返す

プロトタイプが完成したら、実際の業務に近い形でテストを行い、改善を繰り返すことが重要です。
特に以下の観点での検証が有効です

  • 出力結果の正確性・一貫性
  • 業務プロセスとの整合性
  • 利用者にとっての使いやすさ(UX)

また、チームメンバーからのフィードバックを受けながら、プロンプトの微調整やツールの見直しを行うことで、より実用性の高いエージェントへと育てることができます。

社内業務で活用できるAIエージェントの具体例

AIエージェントは、汎用的なチャットツールとは異なり、業務の流れに組み込んで“使える”ことが大きな魅力です。ここでは、現場で実際に役立つAIエージェントのユースケースを3つご紹介します。

議事録生成AI秘書

会議内容をリアルタイムでテキスト化し、要点を自動で抽出・整理するAIエージェントです。

活用シーン:

  • 会議中に発言を記録し、終了後すぐに議事録を出力
  • 議論のテーマごとに要約し、参加者別のToDoリストを自動作成

導入メリット:

  • 議事録作成の工数を削減
  • 曖昧な記憶に頼らず、客観的なログが残る

補足: ChatGPTのWhisperや外部APIとの連携により、音声からテキストへの変換もスムーズに行えます。

:FAQ対応アシスタント

社内規定やツールの使い方、よくある質問への対応を自動化するエージェントです。

活用シーン:

  • 新入社員からの問い合わせ対応
  • ITサポート窓口の一次対応

導入メリット:

  • 人的リソースを抑えながら、スピーディな対応を実現
  • ナレッジの属人化を防ぎ、情報の一元管理にも寄与

補足: 社内ドキュメントやデータベースと連携させることで、文脈に沿った的確な回答が可能になります。

営業日報作成エージェント

営業担当者が話した内容をもとに、日報や商談報告のドラフトを自動生成するエージェントです。

活用シーン:

  • 外出先から音声で報告 → 自動でテキスト化・整理
  • フォーマットに沿った日報出力 → 上長への自動送信

導入メリット:

  • 入力の手間を減らし、報告の質と頻度を向上
  • 営業ナレッジの蓄積を支援し、分析や施策立案にも活用可能

補足: CRMツールと連携させることで、記録と顧客管理が一体化できます。

どのユースケースも、単なるツール導入ではなく「業務のどこに組み込むか」「誰が使うか」を意識した設計が重要です。

導入を成功させるためのポイントと注意点

AIエージェントは、単に作るだけでは十分に活用できません。業務現場で“実際に使われ、成果を生む”状態にするには、設計や導入の進め方にいくつかの重要なポイントがあります。

PoCで終わらせない「スモールスタート+拡張設計」

多くの企業がAI導入でつまずくのは、「PoC(概念実証)までは進んだが、その先に進まない」パターンです。AIエージェントも例外ではなく、最初から完璧なシステムを目指さず、“まずは一業務”に絞ったスモールスタートが成功のカギになります。

その上で、

  • 他部門への横展開を見据えた設計
  • 設定の再利用性を考慮した構成 を意識することで、拡張しやすい仕組みが実現できます。

業務フローとの連携を考慮した設計

AIエージェントは、単独で動いても意味がありません。
「どの業務プロセスに組み込まれるか」「誰がいつ使うのか」といった実務フローと連携させる設計が重要です。

例えば営業日報エージェントであれば、

  • 商談終了直後に音声入力
  • 日報ドラフトがSlackで通知
  • 上司が内容を確認し、CRMへ自動登録
    といった流れを意識して設計することで、無理なく現場にフィットします。

技術と業務の“接着点”を丁寧に作ることが導入成功のポイントです。

現場メンバーへの理解促進・オンボーディング

技術的に完成していても、現場で「怖くて使えない」「よくわからない」と思われれば、AIエージェントは活躍できません。

導入時には以下のようなオンボーディング施策が効果的です

  • 初回利用時に対面デモ or 動画チュートリアルを実施
  • FAQ機能やチャット相談窓口を用意
  • 使い始めたメンバーのフィードバックを取り入れ、柔軟に改善

また、「これは現場の味方である」という共感形成も忘れてはならない視点です。

まとめ:AIエージェントを“使える形”で社内に実装するために

AIエージェントは、生成AIの可能性をさらに広げる存在として、今後のビジネスにおける強力な味方になる技術です。ただし、単なる流行として導入するのではなく、業務課題に対する具体的なソリューションとして設計・活用することが、最大の成果を引き出すカギとなります。

まずは「できること」「やらせたいこと」の整理から始めよう

「AIエージェントを導入したい」と思っても、いきなりツールやAPIの選定に進むのではなく、まずは以下のような問いを立ててみることが重要です。

  • 自社内にどのような“繰り返し業務”や“判断が必要な作業”があるか?
  • どの業務で人手不足・非効率が発生しているか?
  • エージェントが支援できれば、社員は何に集中できるようになるか?

このように、AIに何を任せたいのか=ゴールを明確にすることが、作り方や導入方針を見極める第一歩となります。

フィンチジャパンの支援も活用し、PoCで終わらない導入を

AIエージェントの導入は、技術力だけでは成功しません。業務設計、組織浸透、継続的な改善といった「現場と経営の両面」にまたがる取り組みが求められます。

フィンチジャパンでは、これまでの新規事業開発やDX支援の知見を活かし、

  • エージェント導入の目的整理・ユースケース設計
  • 技術選定やPoC構築支援
  • 社内展開のための体制設計・運用定着支援
    など、企画〜実装〜定着までの“伴走型支援”をご提供しています。

「AIエージェントを社内に実装したいが、どこから手をつけていいか分からない」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひフィンチジャパンにご相談ください。

フィンチジャパンからのご提案|AIエージェントの“作り方”を成果に変えるために

私たちフィンチジャパンは、2006年創業以来、400件を超える新規事業の立ち上げと事業成長を支援し、また150社以上の既存事業の再成長支援、DX/AI推進、経営戦略の立案・実行支援を行なってきております。

こんなお困りごとはありませんか?

  • AIエージェントの構築を進めたいが、設計の仕方がわからない
  • ノーコードツールでは柔軟性に限界があり、自社の業務に合わない
  • 社内に生成AIの知見が乏しく、PoCで止まってしまっている
  • 部門横断で使えるエージェントをどう内製すべきか悩んでいる

本記事で紹介した通り、AIエージェントは設計から実装・定着までを見据えた“構造的なつくり方”が重要です。私たちは、現場で活きるエージェントを「作れる」「育てられる」組織づくりをご支援します。

私たちフィンチジャパンは、一例として以下の様なコンサルティング実績があります。新規事業の立ち上げを検討されている際はご相談ください。

  • ITサービスK社:事業投資のゲートマネジメント構築(2年)
  • エネルギー企業O社:DX改革(約3年)
    AIを含む情報共有、DX支援を実施
  • 化粧品メーカーD社:研究開発プロセス改革(約3年)
    新商品企画支援体制の再構築に貢献。

AIエージェントを本当に“使える形”で社内に実装したい方へ。まずは一緒に、最初の一歩を描いてみませんか?

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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