まずはテンプレートから始めるn8n活用――AIエージェント自動化実践例
公開日:2025.11.20更新日:2025年11月20日

目次
はじめに AIエージェントの導入を成功させる鍵
AIエージェントの導入を成功させる鍵は、「スモールスタート」(小さく始めること)です。最も現実的で速い方法は、ゼロから作るのではなく、n8nの豊富なテンプレートを使うことです。
n8n公式ライブラリには、2025年11月時点で6,700種類以上のワークフロー・テンプレートが公開されています。これらは単なる技術サンプルではなく、マーケティング、セールス、人事、IT運用、サイバーセキュリティなど、実際の業務ですぐに使える実践的な「設計図」ばかりです。
テンプレートを利用すれば、複雑な設計なしに「まず一つ動くAIエージェント」を即座に作ることができます。これは、小さく始めて効果を確認しながら段階的に広げていく「スモールスタート」の理想形です。
特に「AIを導入したいが何から手を付ければよいか分からない」、「IT部のリソースが足りない」という企業にとって、テンプレートは「まずこれを動かす」という具体的な着手点となります。
例えば、下記のような業務は、すでにテンプレートとして成立しています。
- 会議の録音データ(MP3)をAIが自動で文字起こし・要約する
- 履歴書(PDF)をAIが自動で読み取り、採用基準で仕分けする
- Googleフォームの申請内容を、SlackやTeamsへ即時通知する
テンプレート事例① 会議の「文字起こし」と「要約」の自動化

ワークフローの概要
このテンプレートは、会議の「議事録作成」と「要約」を自動化するものです。
Google Driveの特定フォルダに録音・録画ファイル(MP3、MP4など)をアップロードするだけで、n8nがAI(Whisper)を使って自動で文字起こしを実行します。さらに別のAI(GPT-4)がその全文を要約し、決定事項や次のアクションを抽出してGoogle Sheetsに記録します。
最適な業務
- 部門を問わず定期的に発生する、議事録の作成
- 欠席者への会議内容の共有や、過去の決定事項の検索
利点
- 議事録作成や文字起こしにかかる膨大な作業時間を削減できる
- AIが客観的に要約するため、担当者のスキルに依存しない「決定事項・TODOリスト」が常に共有され、全社的な生産性向上に貢献する点
テンプレート事例② 人事・採用 「履歴書(PDF)」の自動仕分け

ワークフローの概要
AIエージェントの読解能力を活かし、人事・採用の「一次スクリーニング(書類選考)」を自動化するテンプレートです。
応募者がフォームやメールで履歴書(PDF)を提出すると、n8nがAI(Gemini)にPDFを解析させます。AIが「必須スキル(例 Python経験3年以上)」など設定された採用要件に基づき応募者を評価(スコアリング)し、その結果をGoogle Sheetsに自動で一覧化します。
最適な業務
- 大量の履歴書に対する一次スクリーニング
- 応募者のスキルを、募集要件に基づき自動で点数付け(スコアリング)する業務
利点
- 「大量の履歴書に目を通す」という作業負担の軽減
- AIの基準により、「見落とし」や「属人化」を回避
テンプレート事例③ 日常業務 「Googleフォーム」と「Slack/Teams」の連携

ワークフローの概要
これは、AIを使わず、「申請フォームの“即時通知”」を自動化するテンプレートです。
「備品申請」などのGoogleフォームが送信された際、データがGoogle Sheetsに溜まるだけで、担当者が気づかないことがあります。このワークフローは、Sheetsに行が追加されたことをトリガーに、申請内容を即座にSlackやMicrosoft Teamsの特定チャンネル(例「備品申請」)に通知します。
最適な業務
- 社内の各種申請(備品、休暇、ITヘルプデスクなど)
- セミナー申込やアンケート回答
利点
- 「フォームに気づかず遅れる」問題を解消
- AIを使わない「自動化」の第一歩であり、「スモールスタート」を体現する最適な事例
n8nが「AI時代の司令塔」と呼ばれる理由 ――豊富な連携先
なぜ、これほど多様なテンプレートが実現できるのでしょうか。
それは、n8nがAIエージェントの「脳(AI)」と「手足(業務アプリ)」を自在に繋ぎ合わせる、「司令塔(Orchestrator)」として機能するためです。
AIエージェントは「考える」だけでは完結しません。「判断」と、その結果の「実行」が連携して初めて自動化が成立します。n8nは、その両方をノーコードで連携できる基盤となります。
連携可能なAIツール群(「脳」の選択肢)
AIエージェントの強みは、業務に応じて「脳」となるAIを自由に交換できる点にあります。n8nは特定のAIベンダーに縛られず、生成AI全体で90種類以上(2025年時点)のツールと標準で連携しています。LLMだけでなく、OCRによる文書の読み取りや、音声認識、翻訳、画像生成など、業務に直結するAI機能が含まれています。
LLM(テキスト生成・要約)
- 役割:記事の要約、メールの返信案作成、データ分析(”考える”役割)
- 代表例:ChatGPT (OpenAI)、Gemini (Google)、Claude (Anthropic)
OCR(光学文字認識)
- 役割:領収書、請求書、履歴書といったPDFや画像から文字を読み取り、データ化する
- 代表例:Google Cloud Vision、AWS Textract (Amazon)
音声認識(文字起こし)
- 役割:会議の録音ファイル(MP3/MP4)をテキストに変換し、議事録作成を自動化する
- 代表例:Whisper (OpenAI)
翻訳
- 役割:取得した海外のニュースやメールを、指定の言語(例 英語→日本語)に自動翻訳する
- 代表例:DeepL
画像生成 AI
- 役割:ブログ記事用の挿絵や、SNS投稿用の画像を自動生成する
- 代表例:DALL-E (OpenAI)、Stable Diffusion
このように、n8nは「考える(LLM)」だけでなく、「読む(OCR)」「聞く(Whisper)」「訳す(DeepL)」といったAI機能を自由に組み合わせられます。
「この業務はコスト重視でGeminiを使おう」、「この機密性の高い要約はClaudeに任せよう」といった、目的に応じたAIの戦略的な使い分け(=AIエージェントのカスタマイズ)を、ノーコードで実現できます。
連携可能な業務アプリ群(=AIの「手足」)
AIがどれだけ正しく判断しても、その結果が「業務として実行」されなければ価値は生まれません。
n8nは、この「実行部分」を担う業務アプリと400以上連携できるため、AIの判断をそのまま日常業務に落とし込むことができます。以下のようなアプリと連携しています。
- Slack
- Teams
- Google Sheets
- Gmail
- Salesforce
- Notion
- HubSpot
まとめ 「テンプレート活用」こそが「スモールスタート」の第一歩
AIエージェント導入を最速で実現する方法として、n8nの豊富なテンプレートをご紹介しました。
具体的には、以下の3つの事例を解説しています。
- 会議の文字起こし・要約
- 履歴書(PDF)自動スクリーニング
- Googleフォーム → Slack通知
いずれも「すぐ動く完成済みのテンプレート」であり、導入コストを最小限に抑えられます。
これらが実現できる理由は、n8nが「司令塔」として、AI(「脳」となるChatGPT、Gemini、OCR、Whisperなど)と、無数の業務アプリ(「手足」となるSlack、Google Sheets、Teamsなど)を、ノーコードで自由に連携させられる強力な基盤だからです。
まずはこの記事でご紹介したようなテンプレートから一つを選んで導入してみることこそが、現場主導で「考える自動化」を実現する、最も確実な一歩となります。
フィンチジャパンからのご提案|AIエージェント社内導入を見据えた戦略設計のために
現在、生成AIをさらに発展させたAIエージェントを利用した業務効率化ソリューションはビジネスの現場に急速に浸透しはじめています。
私たちフィンチジャパンは、2006年の創業以来、130社を超える企業で400件以上の新規事業開発やAX(AI transformation)プロジェクトを支援してきました。
その中で一貫してきたのは、変わり続ける社会に合わせ、企業が持続的に成長できる仕組みを構築することです。
当社が関わってきたクライアント企業の皆様もまずは「小さく始めて成果を出す」戦略でAIを早期に企業文化に組み込もうとする動きが見られます。
フィンチジャパンでは、こうした変化を見据えて生成AI・AIエージェント導入に関する支援が可能です。
AI社内導入・事業立ち上げなどを検討されている際はご相談ください。
支援実績
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製造業B社:AI社員による品質レポート自動生成(約1年)
製造ラインの検査データを集約、品質異常を自動検知・報告するAIエージェントを構築。
現場の判断スピードを大幅に改善しました。 -
金融業F社:AIアシスタントによる顧客対応自動化(約8ヶ月)
問い合わせメールをAI社員が読み取り、リスクレベルを分類するソリューションを構築。
緊急案件のみ人間が対応する“セミオート運用”を実現し、応答時間を大幅に短縮しました。 -
物流業R社:AIエージェントによる在庫・輸送計画の自動調整(約1年半)
AIエージェントと連携したシステムにより在庫・天候・交通データを統合分析。
出荷タイミングを自動提案し、在庫過多を削減しました。 -
小売業S社:AI社員による競合分析と販促レポート自動化(約6ヶ月)
競合サイト・SNSを自動巡回し、主要トレンドを抽出するAIエージェントソリューションを構築。
週次のレポート作成を自動化し、マーケティング部門の作業負担を大幅に軽減しました。
AIプロジェクトを“ただのツール導入”で終わらせないために、業務・人材・組織の3軸からしっかり設計したい企業様は、ぜひ一度ご相談ください。導入前の壁打ちからPoC、社内展開、定着化まで、実践的にサポートいたします。
- 新規事業の事業計画書サンプル
- 新規事業を成功させる22のステップ
- 新規事業・商品開発
コンサルティングの成功事例 - など
この記事の監修者

株式会社フィンチジャパン 代表取締役
早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。
出版
PR Times記事
『https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>』
ZUU online記事
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実践チュートリアル 営業向け自動化AIエージェントを構築する4つのステップ2025.11.20
n8nでAIエージェントを「賢く」育てる方法 | Web検索と「社内情報(RAG)」連携でハルシネーションを防ぐ2025.11.20
AIの判断を「信頼」する仕組み Human in the Loop(HITL)でAI暴走を防ぐ安全設計とは2025.11.20
AIエージェントはどこまでできる? 営業・リサーチ・経理の業務が変わる3つの実例2025.11.20- 新規事業の事業計画書サンプル
- 新規事業を成功させる
22のステップ - 商品開発の成功事例
- 新規事業の事業拡大成功事例
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