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誰でも実践できる!フレームワークで学ぶ事業戦略の立て方3ステップ

                   
事業開発
公開日:2025.05.08更新日:2025年5月8日

はじめに:なぜ今、事業戦略の見直しが必要なのか

ビジネス環境がめまぐるしく変化する今、事業戦略の重要性はますます高まっています。かつて成功を収めたやり方が、今も通用するとは限りません。テクノロジーの進化、顧客ニーズの多様化、そして競合の台頭。これらに柔軟に対応し、持続的に成果を上げるには、戦略そのものを見直す力が求められています。

特に、大企業の経営企画や事業企画のご担当者にとっては、「今ある事業をどう伸ばすか」「どこに投資すべきか」といった意思決定の質が、企業全体の成長に直結します。

そのような中で注目されているのが、「フレームワーク」を活用した戦略思考です。

変化する市場と求められる戦略力

昨今は、過去の延長線では読みきれない不確実性が高まっています。新しいプレイヤーが急速に台頭し、業界の構図が一変することも珍しくありません。

こうした時代に求められるのは、「一発勝負の大戦略」ではなく、現実に即した柔軟で再現性のある戦略設計です。

フレームワーク活用が注目される理由

フレームワークは、複雑な状況を整理し、意思決定の質を高める「思考の型」です。使い方を誤れば単なるお飾りになりますが、正しく活用すれば、社内の共通言語となり、戦略の説得力と実行力が飛躍的に高まります

本記事では、実務の現場で使える主要なフレームワークと、それをどのように戦略立案に落とし込むかを、3つのステップでやさしく解説していきます。

事業戦略とは?その意味と役割

事業戦略とは、企業が持続的な成長や競争優位を実現するために、どのような方向性で事業を展開していくのかを定める方針や計画のことを指します。
具体的には、「どの市場で」「どの顧客に」「どのような価値を提供するか」を明確にし、資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をどこに集中させるかを判断します。

経営戦略との違い

混同されやすいのが「経営戦略」との違いです。
経営戦略は、企業全体としての長期的なビジョンや方針を描くものです。一方、事業戦略はその経営戦略を実現するための具体的な実行プランといえます。

たとえば、経営戦略で「グローバル展開を加速する」と掲げた場合、事業戦略では「アジア市場における主力製品のシェア拡大を目指す」といった、より実務的な施策にブレイクダウンされます。

事業戦略の位置づけと目的

事業戦略は、「現場でどう動くか」の羅針盤とも言えます。
明確な事業戦略がなければ、現場は「何を優先すべきか」「どこに力を入れるべきか」といった判断があいまいになり、意思統一が取れません。

また、社内の関係者との共通認識をつくるためにも、事業戦略は「言語化して共有すること」が極めて重要です。
戦略が明確であれば、変化に対する柔軟な対応や、施策のPDCAも回しやすくなります。

事業戦略を立てる3つのステップ

戦略と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、事業戦略の立案は「型」に沿って考えることで、誰でも取り組みやすくなります。ここでは、実務でも活用しやすい3つのステップに分けて、事業戦略の立て方をご紹介します。

STEP1|現状と環境の分析

まず取り組むべきは、「自社の立ち位置を正しく把握する」ことです。

  • 業界や市場のトレンド(外部環境)
  • 自社の強み・弱み(内部環境)
  • 顧客の変化やニーズ

こうした要素を客観的に整理するには、3C分析SWOT分析などのフレームワークが役立ちます。
曖昧な認識ではなく、定量・定性の両面から「今の自社はどこにいるのか?」を明らかにしましょう。

STEP2|戦略の方向性とゴール設定

環境を整理したら、次に「どの方向へ進むか」を明確にする段階です。
このステップでは以下のような問いに答える形で進めていきます。

  • どの市場・顧客を狙うか?
  • どのような価値を提供するか?
  • どのリソースに注力するか?

たとえば、「価格ではなく品質で勝負する」や「ニッチ市場に特化する」といったポジショニングの明確化が、競合との差別化につながります。

ここでもPEST分析VRIO分析などが、戦略の方向性を検討するヒントになります。

STEP3|施策の具体化と実行・検証

方向性が定まったら、実行に落とし込むステップです。ここでは、

  • 具体的な施策(営業施策、商品開発、組織強化など)の設計
  • KGI/KPIの設定とモニタリング
  • スケジュールや予算、責任者の明確化

などを行います。

また、戦略は「立てて終わり」ではなく、継続的な振り返りと修正が欠かせません。
PDCAを回しながら、変化に応じて柔軟に調整する姿勢が大切です。

事業戦略に役立つ主要フレームワーク

事業戦略を構築する際に、フレームワークを活用することで思考を整理しやすくなり、抜け漏れのない論理的な戦略設計が可能になります。ここでは、実務でも使いやすく、かつ代表的なフレームワークをご紹介します。

3C分析(Customer・Company・Competitor)

3C分析は、市場を取り巻く3つの要素(顧客・自社・競合)を整理するための基本的なフレームワークです。

  • Customer(顧客):誰に価値を提供するのか?
  • Company(自社):自社の強み・弱みは?
  • Competitor(競合):他社との違いや優位性はどこか?

自社の立ち位置を把握し、差別化のヒントを得るのに役立ちます。

SWOT分析(Strengths・Weaknesses・Opportunities・Threats)

SWOT分析は、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を整理することで、戦略の方向性を導き出す手法です。

  • 強みを活かしてチャンスをどう掴むか?
  • 弱みと脅威にどう備えるか?

戦略的な意思決定の出発点として有効です。

PEST分析(Political・Economic・Social・Technological)

PEST分析は、マクロ環境の変化を捉えるためのフレームワークです。

  • Political(政治)
  • Economic(経済)
  • Social(社会)
  • Technological(技術)

外部要因を定期的に見直すことで、戦略の適応力が高まります。

VRIO分析(Value・Rarity・Imitability・Organization)

VRIO分析は、自社の経営資源が持続的競争優位性を持つかどうかを評価するフレームワークです。

  • 価値があるか?(Value)
  • 希少性があるか?(Rarity)
  • 模倣されにくいか?(Imitability)
  • 組織として活用できているか?(Organization)

特に、リソースに注目した戦略設計に有効です。

ファイブフォース分析(5つの競争要因)

ファイブフォース分析は、業界の構造的な競争要因を明らかにするためのフレームワークです。

  • 競合他社との競争
  • 新規参入の脅威
  • 代替品の脅威
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力

これにより、自社の業界における立ち位置や戦略上の課題を見出すことができます。

その他の有用な補助フレームワーク

上記に加え、以下のようなフレームワークも補助的に活用できます。

  • TOWSマトリクス:SWOTの組み合わせから戦略を導出
  • PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント):事業の成長性と市場シェアから資源配分を判断
  • 4P/4C分析:マーケティング戦略の設計に活用

状況に応じて、複数のフレームワークを組み合わせて使うことも有効です。

フレームワークを使いこなすためのポイント

フレームワークは非常に便利な思考の補助ツールですが、単に当てはめるだけでは実務に役立つ戦略にはなりません
本当に意味のある事業戦略を導くためには、いくつかの活用ポイントを押さえておくことが大切です。

目的に応じて使い分ける

「とりあえずSWOTをやろう」といったフレームワーク先行の使い方は、本来の目的を見失いがちです。
まずは「何を明らかにしたいのか」「どのような判断を下したいのか」を明確にしたうえで、目的に合ったフレームワークを選ぶことが基本です。

たとえば、環境の変化に注目したいときはPEST分析、リソースの競争優位性を確認したいときはVRIO分析、といった使い分けが効果的です。

定量データと定性情報を組み合わせる

フレームワークで得られるのは“整理された視点”であり、“答えそのもの”ではありません。
分析をより実践的にするためには、数字やファクト(定量)と現場の声や経験値(定性)の両面を取り入れることが重要です。

たとえば、市場のトレンド分析において、統計データだけでなく、営業現場の声を併せて考察することで、よりリアリティのある戦略が導き出せます。

現場視点と経営視点をつなぐ設計を意識

事業戦略は、トップダウンだけでも、ボトムアップだけでも不完全です。
フレームワークを使う際には、「経営層が納得できる全体戦略」と「現場が動ける実行計画」をつなぐ橋渡しとして活用する視点が求められます。

そのためには、分析結果を共有しやすい形に整理し、部門横断で議論できる資料に落とし込む工夫も大切です。

このように、フレームワークは「考えることを助ける道具」であり、戦略思考を深め、組織の合意形成を促すツールとして活用していくのが理想です。

【事例紹介】戦略再構築に成功した企業の視点

ここでは、実際にフレームワークを活用して事業戦略の再構築に成功した企業の例をご紹介します。
現場での具体的な適用方法や考え方を知ることで、ご自身の業務への応用イメージも湧きやすくなるはずです。

事例1:成熟市場で再成長を実現した製造業(PPM × 3C)

ある中堅製造業では、主力商品の売上が頭打ちとなり、次の成長の柱が見えないという課題に直面していました。

そこで取り入れたのがPPM分析による事業ポートフォリオの見直しと、3C分析を使った市場の再定義です。
その結果、従来は「補完的」とされていた小規模部門が、特定の業界ニーズに対して高い成長性を持つことが判明。
資源配分を再調整することで、2年後にはその部門が全社売上の25%を占めるまでに成長しました。

事例2:新市場開拓に成功したIT企業(SWOT × PEST)

中堅IT企業では、新規市場への参入を検討していたものの、経営層の意思決定がなかなか進みませんでした。
そこでプロジェクトチームは、PEST分析を使って外部環境の変化を可視化し、加えてSWOT分析で自社の強みと機会の組み合わせを明確にしました。

この分析を基に「この1〜2年が勝負」とするタイミングの見極めができ、事業提案が経営会議で承認。
結果的に、新たなサービスが新興国市場でヒットし、初年度から黒字化に成功しました。

事例に共通する成功のポイント

上記の事例に共通するのは、単にフレームワークを使ったのではなく、自社に合った使い方を工夫していた点です。

  • 複数のフレームワークを組み合わせて視野を広げた
  • 分析結果を関係者と共有し、意思決定につなげた
  • 数値データと現場知見をあわせて戦略を構築した

フレームワークは「正解を出すもの」ではなく、「納得感のある答えを導き出すための手段」であることが、成功の鍵となります。

まとめ:フレームワークを活用し、組織内で共通言語になる事業戦略を描こう

事業戦略は、企業の成長を左右する極めて重要な要素ですが、それと同じくらい組織内で共通言語になることも重要です。
しかし、日々の業務に追われるなかで、戦略をゼロから構築するのは簡単なことではありません。そんなときこそ、フレームワークという「思考の補助線」を上手に活用することが、実践的な第一歩となります。

本記事では、以下のポイントをご紹介しました:

  • 事業戦略の基本的な意味と、経営戦略との違い
  • 戦略立案の3ステップ(分析 → 方針設定 → 実行計画)
  • 現場で使いやすい主要フレームワーク(3C、SWOT、PESTなど)
  • フレームワークを活用する際の注意点と実務的なコツ
  • 成功企業の事例から学ぶ、戦略設計のリアリティ

戦略は“作って終わり”ではなく、実行して、見直して、また磨き上げていくものです。
そのサイクルを回していくためにも、再現性のある戦略思考を身につけることが、これからのビジネスパーソンには求められています。

ぜひ、今回ご紹介したフレームワークや事例を参考に、ご自身の業務や組織の課題に即した「実効性のある戦略」を描いていってください。

フィンチジャパンからのご提案:戦略立案に再現性と実行力を

この記事を通じて、「事業戦略を立てるにはどのような思考が必要か」「どのようにフレームワークを活用すれば良いか」のイメージをつかんでいただけたのではないでしょうか。

しかし実際には、「戦略を言語化する時間がない」「自社に本当に合ったフレームワークがわからない」「戦略はあるが、実行フェーズが進まない」といった悩みを抱えている企業も少なくありません。

私たちフィンチジャパンは、こうした課題に対し、新規事業・既存事業の再成長・DX・経営戦略の立案〜実行支援まで、一貫したご支援を行っています。

特に、「フレームワークを道具として終わらせず、実務と接続された戦略に落とし込む」ことを得意としており、20年近くにわたって事業開発を支えてきた実績があります。

たとえば、

  • 成長性と資源の再配分を軸にしたポートフォリオ再構築支援
  • 現場を巻き込んだDX・SaaS戦略の設計
  • 市場調査から導く次の一手の検討と、ネクストアクションの策定

など、現場と経営をつなぐ実行支援を得意としています。

「戦略に納得感を持ちたい」「もう一度、自社の可能性を見直したい」といった課題が出た際はご相談ください。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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