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なぜ今ZMOTが重要なのか?購買行動モデルから学ぶ情報発信の実践法

                   
マーケティング
公開日:2019.01.01更新日:2025年7月29日

なぜ今ZMOTが重要なのか?購買行動モデルから学ぶ情報発信の実践法

ZMOTとは:購買の意思決定は「調査段階」で決まる時代へ

かつて、消費者が商品やサービスを購入する意思決定は、店頭での接触や広告など、実際に目に見える接点で行われると考えられていた。この購買行動モデルは「FMOT(First Moment of Truth)」と呼ばれ、企業にとっては「どう見せるか」「どう印象づけるか」が重要だった。

しかし、スマートフォンの普及とSNSやレビューサイトの進化により、購買行動は大きく変化している。現代の消費者は店舗に足を運ぶ前に、自ら検索し、口コミや比較サイト、公式情報をチェックしながら意思決定をほぼ終えているのだ。実際、多くの消費者が店頭に向かう時点で、すでに購入する商品を決めているという調査結果も数多く報告されている。

この「購入前の調査段階」での意思決定プロセスをモデル化したのが、Googleが提唱した「ZMOT(Zero Moment of Truth)」だ。つまり、”購入の勝負は、顧客と接触する前にすでに始まっている”というのが現代の常識になりつつある。

従来のマーケティングでは、テレビCMや新聞広告など、企業から消費者への一方向的な情報発信が中心だった。しかし、ZMOTの時代では、消費者が能動的に情報を探し、比較し、評価する段階こそが最も重要な戦場となっている。この変化は、企業の情報発信戦略を根本から見直すことを求めている。

本記事では、このZMOTという概念を改めて整理し、企業がこの新たな購買行動にどう対応すべきか──特に「情報発信」の観点から、実践的なアプローチを解説する。

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購買行動モデルの進化とZMOTの位置づけ

消費者の購買行動を捉えるためのフレームワークは、メディア環境や消費スタイルの変化に合わせて進化してきた。それぞれの時代背景と共に、代表的なモデルを振り返ってみよう。

1920年代に提唱されたAIDMAは、注意(Attention)→興味(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→行動(Action)という流れで消費者行動を説明した。これは新聞・雑誌・ラジオが主要メディアだった時代に適応したモデルだった。

2000年代に入ると、インターネットの普及により「検索」と「共有」が重要な要素として注目され、AISASモデルが登場した。注意(Attention)→興味(Interest)→検索(Search)→行動(Action)→共有(Share)という流れで、消費者の能動的な情報収集行動が組み込まれた。

さらに近年では、SNSの影響力が拡大し、ULSSASモデルも提唱されている。UGC(ユーザー生成コンテンツ)→いいね(Like)→検索(Search)→共有(Share)→行動(Action)→拡散(Spread)という流れで、ユーザー自身が情報の起点となる時代を反映している。

このように、時代が進むにつれて、「検索」や「共有」など、消費者の自発的な行動が重視されるようになっている。この流れの中で、2011年にGoogleが提唱した「ZMOT(Zero Moment of Truth)」は、購入前の情報探索行動を明確にモデル化した点で画期的だった。

ZMOTとは、消費者が店舗に足を運んだり商品に触れたりするより前に、自らの意志で情報を調べ、口コミやレビューを確認し、比較検討を行う「ゼロ番目の意思決定の瞬間」を指す。従来のFMOT(First Moment of Truth:店頭などでの最初の接触)やSMOT(Second Moment of Truth:実際の使用体験)と異なり、ZMOTは完全に「消費者主導」で起こる点が最大の特徴だ。

企業の一方通行な広告だけでは届かず、消費者が自ら「検索する価値がある」と思える情報を発信していなければ、候補にすら上がらない時代となっている。つまり、ZMOTに対応するということは、検索・比較・レビューの世界で選ばれる存在になることだ。そのためには、企業側も、従来とは異なる情報戦略と設計思想が求められている。

ZMOTを前提にした消費者行動の変化

現代の消費者は、購買を決定する前に自ら積極的に情報を集め、「調べてから買う」行動を日常的に取るようになっている。この変化は、単なる情報収集手段の多様化にとどまらず、消費者の意識や行動パターンそのものを根本的に変えている。

情報収集の手段は飛躍的に多様化した。検索エンジン(Google、Yahooなど)でのキーワード検索、口コミサイトやレビュー記事(価格.com、食べログ、Amazonレビューなど)、SNS(Instagram、X〈旧Twitter〉、YouTube、TikTokなど)での体験共有やおすすめ情報、商品公式サイトやECサイトでのスペック・価格確認、友人・家族などリアルな人間関係からの情報提供など、消費者は複数のチャネルを組み合わせて情報を収集している。

この中でも特に注目すべきは、検索とSNSの存在だ。BtoC領域ではインフルエンサーの投稿やレビュー動画といったSNS上の”共感性”のある情報が大きな影響を持つ。消費者は、企業からの公式情報よりも、実際に商品を使用した人のリアルな体験談により強い信頼を寄せる傾向がある。

一方、BtoB領域では、比較記事や導入事例といった実務的なコンテンツがZMOTでの意思決定に直結する。企業の担当者は、上司や経営陣への説明責任があるため、客観的で詳細な情報を求める傾向が強い。導入によるROIや他社との比較データなど、定量的な情報への需要が高い。

さらに、スマートフォンが主な情報端末となっている現在では、検索スピードの早さやスマホ画面での読みやすさ・見やすさといった「ユーザー体験」そのものも、購買意思に影響を与える重要な要素だ。情報の内容が優れていても、アクセスしにくい、読みにくい、理解しにくいサイトでは、消費者は他の選択肢に移ってしまう。

つまり、ZMOTで選ばれるためには、消費者の”調査フェーズ”において自社の情報が自然に見つかり、しかも信頼されることが不可欠なのだ。単に情報を出すのではなく、「検索され、読まれ、信用される」コンテンツをどう設計するかが、企業の勝敗を左右する時代になっている。

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ZMOTで勝つ企業の情報発信とは?

ZMOT(Zero Moment of Truth)の時代において、企業の情報発信は「ユーザーが検索・比較する段階で信頼を獲得できるか」がすべての出発点になる。そのためには、ユーザー視点に立った情報設計と検索エンジンに正しく伝える構造の両輪が欠かせない。以下に、特に重要な3つの観点を紹介する。

検索結果にどう露出するか(SEOの最適化)

ZMOTでは「検索されるかどうか」が第一関門だ。どれほど優れた商品やサービスでも、検索結果に表示されなければ存在しないのと同じである。SEOの基本設計として、タイトルタグ・ディスクリプション・見出し構造など、検索エンジンに意図が伝わる設計を行う必要がある。

重要なのは、サジェストワードや関連キーワードを盛り込み、ユーザーが検索しそうな語句に応えることだ。企業が使いたい用語と、実際にユーザーが検索する用語は往々にして異なる。商品名やブランド名で検索した際に公式情報が上位表示されるように、サイト構造やリンク戦略を最適化することも基本中の基本だ。

しかし、SEO対策は技術的な側面だけでは不十分だ。検索エンジンは年々高度化しており、ユーザーにとって本当に価値のある情報を優先して表示する仕組みになっている。

ユーザー目線で設計された情報内容

ZMOTで信頼を得るには、「検索したときに、必要な情報が網羅されているか」が重要だ。消費者は比較検討の段階で、様々な疑問や不安を抱えている。商品・サービスの基本情報(価格・仕様・使い方など)はもちろん、購入前の不安を解消するFAQや対応ガイド、レビューや口コミに対する誠実な対応が求められる。

特に重要なのは、ユーザーの立場に立った情報構成だ。企業が伝えたい情報と、ユーザーが知りたい情報は必ずしも一致しない。商品の技術的な優位性よりも、「自分の課題を解決できるか」「費用対効果はどうか」「導入・使用時の手間はどの程度か」といった実用的な観点での情報提供が重要だ。

また、競合他社との比較情報を積極的に提供することも、信頼獲得につながる。自社の優位性だけでなく、どのような場合に他社商品が適しているかまで誠実に伝えることで、企業の公正性と専門性をアピールできる。

過剰な演出や誇張は逆効果

近年の検索エンジンは、単なるキーワードの多さよりも、コンテンツの信頼性・網羅性・ユーザー満足度を重視している。事実に基づかない誇大表現や過度なSEOテクニック(不自然な内部リンク・キーワード乱用など)は避けるべきだ。

むしろ、「信頼される一次情報」として、誠実かつ実用的な内容を丁寧に積み重ねる姿勢が、検索評価にもつながる。企業の専門性を活かした詳細で正確な情報提供、実際の使用データや事例の公開、課題や制約事項の率直な説明などが、長期的な信頼関係の構築につながる。

つまり、ZMOTで勝つための情報発信とは、「検索されやすく」「見つけられやすく」「信頼されやすい」状態を、戦略的かつ丁寧に設計することに他ならない。ユーザーにとって価値ある情報を、誠実に、わかりやすく提供することが、最終的に選ばれるブランドにつながる。

ZMOTに強い情報発信を支えるオウンドメディア活用法

ZMOT(Zero Moment of Truth)段階でユーザーの信頼を得るには、「一貫性があり、信頼性の高い情報提供」が不可欠だ。その中核を担うのが、自社が直接管理・運営できる自社サイトやオウンドメディアである。外部メディアやSNSも重要だが、自社でコントロールできる情報発信基盤を持つことが、長期的な信頼構築の土台となる。

商品詳細ページの作り込みが信頼の第一歩

購入検討フェーズのユーザーは、細かい疑問や不安を抱えている。「この商品は本当に自分の課題を解決してくれるのか」「価格に見合った価値があるのか」「使い方は難しくないか」といった様々な懸念を持っている。そのため、商品詳細ページでは以下のような要素を丁寧に設計することが重要だ。

多角的な写真や実際の使用シーンを映した動画を掲載し、使用イメージを明確に伝える必要がある。商品の外観だけでなく、実際に使っている様子、サイズ感がわかる比較写真、細部のディテールまで、ユーザーが知りたい情報を視覚的に提供する。

利用者の声(レビュー・インタビュー)を掲載することで、第三者視点からの信頼を提供することも欠かせない。特に、具体的な使用場面や効果を述べたレビューは、潜在顧客の不安を解消する強力な材料となる。

スペック情報やFAQ(よくある質問)を充実させ、検討中の不明点を事前に解消することも重要だ。技術的な詳細から、配送や返品に関する実務的な情報まで、ユーザーが疑問に思いそうな点を先回りして解決する。

こうした細部にまで配慮された設計が、比較検討段階での「安心材料」となり、他社との差別化にもつながる。

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オウンドメディアで「専門性」と「誠実さ」を伝える

商品詳細ページだけでなく、オウンドメディアでは購入に直結しないが、ユーザーの不安や疑問に寄り添う”周辺情報”を継続的に発信することが有効だ。これにより、企業の専門性と顧客志向の姿勢を示すことができる。

How to記事、Q&A、用語解説など、検索意図に対応するコンテンツで信頼を積み上げることが基本となる。「商品を売りたい」という企業都合ではなく、「ユーザーの課題を解決したい」という姿勢が伝わるコンテンツが重要だ。

導入事例、活用ノウハウ、開発の裏話といった「自社にしか語れない情報」で独自性を示すことも効果的だ。同業他社では提供できない一次情報を発信することで、検索エンジンからの流入を広げると同時に、”この企業は詳しい・信頼できる”という印象形成にもつながる。

また、業界動向や技術トレンドに関する解説記事なども、専門性のアピールに有効だ。自社商品の宣伝ではなく、業界全体への貢献を意識したコンテンツが、長期的なブランド価値の向上につながる。

ネガティブ情報への誠実な対応こそが、ブランド価値に

近年では、商品の欠点や過去の課題についても隠さず開示し、改善プロセスを公開する企業姿勢が評価されている。完璧な商品は存在しないという前提で、誠実な情報開示を行うことが、かえって信頼を高める結果につながっている。

「旧モデルでは◯◯という課題がありましたが、新モデルでは□□を改善しました」といった具体的な改善の提示は、企業の成長姿勢と技術力をアピールする材料となる。レビューへの真摯な返信や、継続的なアップデート情報の発信も、誠実な企業であることを示す重要なシグナルだ。

問題が発生した際の対応方針や、不具合に対する改善取り組みを透明性高く公開することで、「何かあっても安心して任せられる企業」という印象を与えることができる。

ZMOT段階にいるユーザーは「比較検討の目」で情報を見ている。よいことだけを並べるのではなく、課題にも正面から向き合う姿勢こそが信頼を勝ち取る決め手になる。

このように、自社サイトとオウンドメディアを活用して「調査段階で選ばれる情報環境」を整えることは、ZMOTに対応する情報発信の根幹をなす取り組みだ。そして問われているのは、こうした施策を単なる手法で終わらせず、”企業としての姿勢”として一貫して体現できているかどうかなのである。

まとめ|なぜ今、ZMOTへの対応が必要なのか?

購買の意思決定が「調査段階」で完結する現代において、企業と顧客の接点は、もはや”売り場”ではない。顧客が検索やSNSを通じて情報を集めている、その瞬間こそが最大の勝負所──つまりZMOTだ。

この変化は一時的なトレンドではなく、デジタル技術の進歩と消費者の行動様式の変化に根ざした構造的な変革だ。スマートフォンの普及により、いつでもどこでも情報収集が可能になった現在、消費者は「事前に調べて、納得してから購入する」行動を当然のものとして受け入れている。

このゼロの瞬間に選ばれるためには、顧客の視点に立ち、信頼される情報を継続的に届ける仕組みが必要だ。単なるマーケティング手法ではなく、「ユーザーに寄り添い続ける企業姿勢」が問われているとも言える。

重要なのは、ZMOTが新たな市場機会を創出していることだ。従来は大規模な広告予算を持つ企業が有利だった競争環境から、「有用な情報を提供できる企業」が評価される環境へと変化している。これは、中小企業にとっても大きなチャンスとなっている。

ZMOTはもはや一部の先進企業だけの戦略ではない。あらゆる業種・業態において、「検索され、比較され、信頼される」情報環境をどう整えるかが、生き残りの分水嶺になっている。

今後、この傾向はさらに加速すると予想される。AI技術の発達により、より精密な情報検索と比較が可能になり、消費者の目はますます厳しくなるだろう。いまこそ、自社の情報設計を根本から見直し、ZMOTを制する情報発信の第一歩を踏み出すべき時だ。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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