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なぜ、サブスクリプション型のビジネスモデルを業界トップは恐れるのか

マーケティング2018.01.22

App Sale words on application tile to illustrate a special offer or discount on programs, software or mobile downloads

IT化やサービス経済の進展などにより消費者行動に大きな変化がみられる中、近年サブスクリプション型ビジネスが大きくクローズアップされるようになってきた。IT大手のマイクロソフトが、WordやExcelといったオフィスシリーズの販売を売り切り型から、サブスクリプション型に大転換したが、今多くの企業がこのビジネスモデルを採用し始めている。

ここではサブスクリプション型ビジネスの内容、事例、導入方法などとともに従来の売り切り型・製品販売型のビジネスへの影響を紹介しよう。

サブスクリプション型ビジネスとは

サブスクリプション型ビジネスとは、商品やサービスを使用した分や期間に料金を課す課金提供型のビジネスだ。今までは顧客に1回ごとの売り切りで製品やサービスを販売する製品販売型ビジネスが中心だった。しかし、顧客の価値観が「モノからコト」「所有から利用へ」と変化しており、製品販売型ビジネスではその対応が困難になってきている。

サブスクリプション型ビジネスでは、顧客の要望に合う内容・価格の異なるプランが用意され、使用した分、使用した期間に応じて課金され商品・サービスが提供される。従来のレンタルよりも商品内容と価格の組み合わせが豊富で、また柔軟に内容を変更できる点等が魅力となっているのだ。そのため「買うこと重視」よりも「すること重視」の消費者・事業者には、サブスクリプション型ビジネスは最適なサービスとなっている。そして、「すること重視」の消費者・事業者が増えている。

サブスクリプションサービス提供側の3つのメリット

1.顧客の囲い込みで安定収益

このビジネスでは顧客の利用状況に合わせたプランの変更・キャンペーンなどを行うことで長期の利用継続を促せば安定した収益が期待できる。

2.新規顧客の開拓が比較的容易

このビジネスは購入に比べて顧客の金銭的な負担が少なく、気に入らない場合でも短期間の利用で済むので新規顧客に利用してもらいやすい。

3.良好な顧客関係を維持しやすい

このビジネスは、継続的な利用、顧客との情報共有などにより顧客との良好なコミュニケーションがとりやすく、それに基づく顧客価値を高めるサービスの提供がしやすい。

サブスクリプション型ビジネスの具体例

1.米国アンダーアーマー

同社には、通常のアパレル販売に加えて、「アーマーボックス」というサブスクリプションサービスがある。そのボックスには同社の各種スポーツ衣料、アクセサリー、靴などから顧客のプロフィールと同社データをもとに選ばれた4~6アイテムが入っている。ボックスを受け取る間隔は30日、60日、90日の3コースあり顧客が選択できる。

2.Amazon

同社では、月額400円で、「プライム」特典の使い放題というサービスが提供されている。映画・TV番組の見放題、100万曲以上の楽曲の聴き放題、Kindle本・マンガ・雑誌の読み放題などが利用できる。

3.仏ミシュラン

同社では、自動車タイヤの「マイレージ・チャージプログラム」というサービスが提供されている。このサービスでは顧客は自動車の走行距離に応じたタイヤ使用料を支払う。

4.IDOM

同社は最短90日の利用後に自動車の乗り換えができる定額制サービスの「NOREL」を提供している。月額の料金は車種で異なるが、最安値は月19,800円からで自動車保険、税金や車検などの費用がかからない。

従来型の消費財メーカーへの影響

ここではサブスクリプション型ビジネスの台頭でどのような影響が出ているかを米国のT字型カミソリ市場を例に挙げて説明しよう。

1.米国DOLLAR SHAVE CLUB社のサービス

DOLLAR SHAVE CLUB(ダラーシェーブクラブ)はひげ剃り用のカミソリを、サブスクリプションサービスで提供している。替え刃を1カ月単位で、2枚刃5個で1ドル、4枚刃4個で6ドル、6枚刃4個で9ドルといった構成で顧客に届けているのだ。同社は2012年創業の新興企業ながら会員は320万人以上、2016年度の売上高は200億円以上を確保している。

2.他企業への影響

カミソリ業界大手のGilletteは、低価格のカミソリをラインアップに加えて、使い捨てシェーバーコレクションの強化を発表している。市場調査によると、Gilletteは米国のカミソリ刀市場の50%以上のシェアを有するものの、わずか過去2年間で11%もシェアを低下させているというのだ。つまり、DOLLAR SHAVE CLUBのビジネスモデルは、Gilletteの大きな脅威となっており、その対抗策として低価格戦略が実施されたと推察される。

2016年に、消費財メーカー大手のユニリーバはDollar Shave Clubを買収した。男性の身だしなみ商品分野の強化も理由の一つであるが、サブスクリプション型ビジネスモデルを構築し、PB商品で参入してくるAmazonなどへの対応、巨大化するEコマース市場への対応などが買収目的だと報じられている。今後の消費財市場の動きに対応するため、Dollar Shave Clubのサブスクリプション型のビジネスモデルの取り込みが必要と判断したかもしれない。

サブスクリプション型ビジネスの導入のポイント

1.顧客目線のサービスの開発と提供

サブスクリプション型ビジネスモデルでは商品としてニーズに対応するだけでなく様々なプランを提供することで顧客ニーズに対応できる点が単品販売と最も異なる点である。例えば、顧客毎のニーズや利用の仕方などの情報を収集して、それに合ったプランをいくつか用意・提案し、その反応や利用上の要望などを確認してサービスに活かすことができる。

サービス設計を行う上で、最初の利用を促すための無料のお試しや特典などの設定も欠かせない。契約後の利用では機能の追加や削減、アップグレード・ダウングレード、利用の休止・停止などが容易にできる様に設計することも重要になる。また顧客ごとにカスタマイズしたサービスの提案・提供も必要だろう。

2.サービスを支える業務とシステムの運用

顧客ごとの利用状況をリアルタイムで確認し、そのデータに対応したサービスを迅速に提供するために、それに適した業務と情報システムが必要だ。また請求・入金の処理で会計システムとの連携も必要になる。

サブスクリプション型ビジネスを全て自社単独で展開することも可能であるが、それに対応したプラットフォームが登場しているので、それらを利用するのが時間的にも有効だ。例えば、Zuoraは、サブスクリプション型ビジネスに必要なITサービスをSaaSで利用できる。またサブスクリプションサービスの導入支援を行うコンサルティング事業者にサービス設計からプラン開発、システム導入までを頼るのも一案である。

3.良好な顧客関係の維持・向上

このサービスでは利用中の顧客と適切なタイミングでコミュニケーションをとり、その情報を収集・分析してサービスに反映して提供することが求められる。また、サービスへの反応を確認するために顧客満足度や紹介意向などを調査することも必要だろう。

まとめ

消費者や企業が、「買うこと重視」から「すること重視」に転換しつつある中で、サブスクリプション型ビジネスは最適なサービスになりつつある。デジタル技術の進展が著しい現代において実店舗やオンラインで商品・サービスを売り切る販売手法では顧客ニーズは掴みきれず、業績への影響も無視できない。そのためサブスクリプション型ビジネスの導入は今後ますます重要になるだろう。ただし、単なる定額・定期の販売を行うだけならばあまり意味がない。顧客ニーズを的確に把握できるプラットフォームを積極活用して自社商品に最適なサブスクリプションサービスを提供して初めて差別化できるのだ。

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