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IoTビジネスを立ち上げる2つのプロセスと5つの立ち位置の決め方

IoT2018.01.22

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IoT(モノのインターネット)の正しい意味

IoTとは、モノがインターネットに接続され、収集された情報から新たな価値を創造し便益を生む形態や仕組みのことである。Internet of Thingsのイニシャルを取った言葉で、「モノのインターネット」と翻訳される。

似たような事例では、個人の生活では自宅のエアコンや冷蔵庫がインターネットに接続されたものは「インターネット家電」、工場などでは機械同士が接続された形態は「M2M」と呼ばれている。しかし、これらもネットワークに接続されたものだが、IoTとは言えない。

IoTではない「インターネット家電」は、インターネットに接続され外部からの遠隔操作などができるというレベルの形態で、IoTで重要な新たな価値に繋がる情報の収集や活用はできない。極端に言ってしまえば、遠距離から操作できるリモコンをイメージするとわかりやすいだろう。

M2Mはマシンツーマシン(Machine to Machine)の略称で、機械同士を接続させ情報をそのシステム内でやり取りさせ利用する形態だ。一見するとIoTに似ているが、インターネットやその先のクラウドへの接続はなく情報が閉じられている。

IoTとはデータのやりとりを有効活用して、サービス化すること

インターネット家電や産業機械がインターネットに接続され、さらに機械と機械同士が会話したり、人と機械が会話したりする様になると、いよいよIoT化されてくる。

例えば、接続された機械の状態を外部からリアルタイムに確認して生産性の向上や事故の予防等につなげられるし、また国内工場のすべての機械の故障や修理など、IoT化された会話(データ)情報を収集し分析すれば、メンテナンスの時期を予測したり、予測に対して提案したりできる様になる。

IoT化の目的は、モノをインターネットにつなげて、様々な会話(データ)のやりとりを有効活用して、様々なサービスを生み出すことにある。

IoTビジネスにおけるの立ち位置の重要性

IoTでビジネスを行うには、まず、そのビジネスの中でどういう立ち位置を取るかを考える。

  • 「エンドユーザーベネフィット(利用者便益)」につながるサービスの開発
  • それらを実現するアプリケーションや情報を得るセンサー・フィードバックの情報で制御するハードウェア類
  • それら情報を統合管理するクラウドシステム

IoTビジネスには、様々な立ち位置がある。

立ち位置の明確化:数多くのノウハウやスキルの組み合わせが前提

通常、これらを統合して組み立てるには、多岐にわたるノウハウやスキルが必要となる。

  • サービス開発
  • ハードウェア開発
  • システム開発
  • 情報分析

ざっと挙げただけでも数多のノウハウやスキルが必要になるため、すべて一社で賄うのは困難だ。IoTビジネスを行うためには、これらノウハウやスキルを持っている他企業との連携や協業が前提になる。つまりIoTビジネスでは、立ち位置が明確になっている企業ほど、たくさんの事業機会があるのだ。

ノウハウの蓄積:実験によるノウハウ蓄積

またIoTビジネスでは、多くの実験が行われている。それは、様々なノウハウを組み合わせ、モノとモノ、モノと人の会話(データ)を活用し、対象者のニーズをいかに充足できるかを検討することが欠かせないからで、組み合わせただけで想定通りの結果が出るかまだ明らかではないからである。

こうした実証フェーズにおいても、IoTビジネスにおいては、どの立場で参画してノウハウを溜めていくかが欠かせないだろう。

スキル:柔軟な他の専門領域との連携

更に、立場を明確にするだけでなく、他の専門領域と柔軟に連携するスキルも欠かせない。自社がどの事業で貢献できるかを明確にして、適切な連携相手を探して事業を進めることが重要だが、IoTビジネスの場合はその領域が非常に多岐に渡ることも特徴だ。

価値のあるIoTビジネスを行うためには、ビジネスサービス開発のプロやソフトウェアのプロ、ハードのプロそれぞれが連携協力しあって、日常的に提供価値を検討できるチームを実現することである。そのためにも自社の立ち位置をシンプルにしておくことが大切になる。

IoTビジネスにおける5つの立ち位置

IoTビジネスは一社で全てを賄うのではなく、ノウハウやスキルの組み合わせ次第で無限大に価値を検討できる事業だ。そのためには、自社の立ち位置を明確にしなければならない。

とはいえ、「自社の立ち位置はどこなのか」、「そもそも立ち位置とは何なのか」という検討を暗中模索するのは困難だろう。

更に言えば、「自社はデジタル企業ではないので」「自社に提供できるデータやノウハウがあるのだろうか」という企業も、実はIoTビジネスに参画することで大きな価値を生み出すこともできる。

そこで、今回は企業がIoTビジネスを立ち上げる際の検討材料として、5つの立ち位置を紹介したい。

  1. IoTサービスを使用する立場
  2. 便益を与えるモノを作る立場
  3. 情報の分析・評価・活用を担う立場
  4. センサーや制御装置を提供する立場
  5. IoTからの情報を収集・蓄積などを担う立場

1.IoTサービスを使用する立場

IoTサービスを使用する立場は消費者だけでなく、実は企業も含まれる。企業がIoTサービスの提供を受けると多くのメリットを享受できる。

  • 生産性向上
  • コスト削減
  • 問題の見える化
  • 競合との差別化

企業がIoTサービスを立案する上では、「既存の市場をIoT化すること」から発想すると具体的な企画を立てやすい。

例えば、コインランドリーの場合、IoTサービスを受けると稼働率の向上や故障率の低下などの効果が期待できる。洗濯機に取り付けられたセンサーから送られる稼働情報等をIoTサービス提供者が分析・活用すれば、使用側(企業)は需要情報の提供や故障予測などのサービスが受けられる。コインランドリー市場は既存市場だが、IoT化することで他のコインランドリーとの差別化要素になる。

2.便益を与えるモノを作る立場

IoTビジネスには使用者に便益(ベネフィット)を与えるモノが必要であり、モノづくり企業にはIoTビジネス参入のチャンスは多いといえる。ただし、IoTの場合、モノ単体で便益を満たすのではなく、【モノ+IoT+サービス】という様に全体として、便益を満たせる様に開発しなければならない。

例えば、「健康管理に役立つ椅子が欲しい」というニーズがあった場合、『椅子』というモノを中心に様々なセンサーやサービスを追加してしまうと、顧客が求める対価とはずれてしまうことが考えられる。そこで、椅子というモノを中心に発想するのではなく、例えば「座っているだけで」とか「毎日使う食卓の椅子で」という風に、モノから離れていく。それにより、IoT化すべき対象となるモノを再定義できるだろう。

3.情報の分析・評価・活用を担う立場

IoTサービスで得られた情報に経済価値を見出すためには、直接的に業務改善やコスト削減につながることが必要で、そのためには情報を分析、評価、活用する立場が不可欠になる。この役割では、使用者視点で情報を分析し、フィードバックできる立場にならなければならない。最近多くの事例が出てきている人工知能(AI)が活躍するのもこの立場である。

4.センサーや制御装置を提供する立場

IoT化の基盤となるのが様々なセンサーとその制御装置である。センサーとは感覚や現象や状態といった情報を電気信号に変換する装置だ。取り扱える情報の数だけ、センサーは多種多様にある。

  • 温度・湿度
  • 速度
  • 人の所在を感知するもの
  • 音声入力マイク

一方で、制御装置は、センサーからの情報を取得し適切な機能が発揮できるようにコントロールするものだ。

センサー単体として事業もあるが、Googleが買収したNestの様に、家電機器の制御コントロールとセンサーを兼ね備えており、こうした様々なデバイスのハブを事業として展開することも考えられる。最近では、AmazonのEchoやGoogleのGoogle HomeはIoT時代のハブの機能を担おうとしている。

モノの用途と使用者のニーズをリンクさせ、どのようなセンサーで情報をとり、利用者にどういう便益を提供できるかが重要になるだろう。

5.IoTからの情報を収集・蓄積などを担う立場

機器から得た情報を正規化し、情報が活用できる様にするために、クラウドシステムなどの情報を収集し、蓄積することを担う。この立場を担う事業者は、セキュリティに対するノウハウも必要で、安心安全にIoTサービスを運営するために不可欠である。

IoTの発展に伴い情報量は増大していくため、ネットワーク上での分散処理や効率的なデータ送信を安全に実施できる体制が求められる。これまでのようにネットワークにデータを送信し、クラウド上で集中処理している体制では対応が難しくなることもあるだろう。

まとめ:立ち位置を明確にしてノウハウを蓄積する

IoTビジネスは、多くの立場の事業者がノウハウを結集することで実現できる。IoTは今まで認識できなった効果や問題の見える化の実現など、新たな価値を提供してくれるので、IoTビジネス市場の拡大が今後期待できる。

IoTビジネスに参画するためには、2つのステップを踏まえることが必要だ。

  1. 自社の立ち位置を明確に定める
  2. その立場でノウハウを蓄積していく

それにより他社よりも競争優位を構築できる。自社でIoTサービスのすべての要素を担当できなくても、他事業者とのチーム構築できれば、IoTビジネスの展開は難しくない。

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