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不動産テックとは:デジタルトランスフォーメーションが進む不動産業界の3事例

                   
-Tech(X-Tech)
公開日:2018.01.22更新日:2018年1月31日

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近年、金融とITの融合であるフィンテック(FinTech)が脚光を浴びるようなったが、日本でも「不動産テック」が急速に注目されるようになってきた。
本記事では不動産テックがなぜ登場し注目されているかを説明するとともにその具体的な事例を紹介する。

目次

不動産テックとは

不動産テックとは、様々な情報通信技術と不動産業界のビジネスが融合した新しい不動産サービスをさす。言葉自体は「不動産」と「Technology」との造語だが、不動産を意味するReal Estateを用いて「ReTech」(リテック、リーテック)と書かれたり、海外では資産を意味するPropertyを用いて「Property Tech」や「PropTech」(プロップテック)と表現されることもある。

不動産業の売買仲介業務などでは、不動産テックとして再発明され、これまでなかったビジネスやサービスを次々と多くの企業が開始している。

  • 物件のマッチング・情報分析及び提供
  • 不動産のインターネット査定
  • VRによる物件体験
  • クラウドファンディング
  • 不動産業務支援

法改正による不動産テックの後押し

法改正も不動産テック普及の後押しとなっている。2017年10月ごろから、「IT重説」(ITを活用した重要事項説明)の本格運用がスタートした。重要事項説明は、1971年の宅地建物取引業法の改正以降、宅地建物取引主任者(現、宅地建物取引士)による「対面」での重要事項説明が義務とされてきた。IT重説運用以降は、様々なオンラインシステムを用いた、「非対面」での説明を認められる。

不動産テックの出現で、物件の売り手も買い手も希望の価格で売買しやすくなった。賃貸の場合の貸し手と借り手も同じことが言える。特に購入・利用する者はより希望に合った物件を、低コスト・短時間で探せるようになる。顧客サービスだけでなく、不動産テックは、不動産業者の業務の効率化やコスト削減に寄与している。

不動産テックが登場してきた背景とデジタルトランスフォーメーション

不動産売買の売り手と買い手、賃貸の貸し手と借り手の間で行われる不動産取引業務は煩雑である。そして、そのプロセスの多くは人手によって行われており手間がかかっており、デジタル化が他業界と比べると大きく遅れている。不動産テックの登場によって、最も期待されているのは、これら「手間の圧倒的な削減」だ。

不動産仲介業者の負担軽減

手間が掛かっているのは、売り手と買い手、貸し手と借り手、その間に立っている不動産仲介業者にも多大な負荷が掛かっている。従来の不動産取引は不動産仲介業者を通じて行われるのが一般的だ。そのため、どこにどのような物件があるか、どのような物件をいくらで求める層が多いかといった情報が不動産仲介業者に集中し、取引する者は仲介業者の人手を頼らざるを得なかった。その結果、不動産仲介業者は多くの手間をかけて、借り手の希望の物件や価格の情報に踏まえて探索や調整をしなければいけなかった。物件を管理する情報もフォーマットもバラバラであるため、システムでの対応はこれまで難しいとされてきた。

不動産取引の不透明性の改善

不動産仲介業は、属人的かつ専門的なサービスで、取引内容の透明性が低く、取引したい者としては気軽に利用しにくいという課題もあった。不透明感とは、「仲介業者によって価格がコントロールされているのでは?」「賢い契約ができていないのでは?」という不信感と言い換えても良い。日本の既存住宅の流通率は約15%(2013年)で、欧米の約60%~90%と比べ圧倒的に低くなっているが、そうした取引の不透明さが一因になっているとも言われている。

不動産テックの登場で、売り手と買い手などが直接結びつけられ、希望の条件を出し合い納得のいく取引を支援するためにAIやチャットボットの利用が可能となった。また、取引したい者は不動産仲介業者へ来店することなく、インターネットを通じて知りたい物件情報を効率よく検索し、入手することができる様になった。

デジタルトランスフォーメーションは単なるIT活用ではない

この様に、不動産テックの多くはユーザーに様々なメリットをもたらしてくれる。そのため不動産テックが市場で普及するためには、ユーザーが、より能動的に不動産テックサービスを活用することが鍵を握っている。ユーザーが不動産テックサービスを選択すればするほど、不動産業者のデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)が加速していく。

デジタルトランスフォーメーションは単なるIT活用ではない。従来の不動産取引を根本から、デジタルベースで考え直すということを意味する。

不動産テックの事例

これまで不動産情報をネット上に掲載するという簡単なIT化ではなく、これまで属人で行われてきた業務や取引をデジタルベースにすることが、不動産テックである。

とはいうものの、概論だけではイメージしにくいかもしれない。そこで、代表的な3つの事例を国内と海外で合わせて紹介しよう。

  1. 不動産マッチングサービス
  2. 不動産価格の予測情報の提供
  3. 業務効率支

1.不動産マッチングサービス

国内:ietty

iettyは、賃貸物件探しをする借り手と営業マンをマッチングさせるサービスを手がけている。従来の不動産マッチングサービスは、借り手がサイト上の膨大な不動産情報を検索して、多くの時間を割き物件を借りたい人自身が、物件情報を探す必要があった。そこでiettyは、ユーザーが必要な情報や条件などを入力すると、不動産業者から最適な物件を提案してくれる。
不動産業者は、成約ベースで手数料を払うため初期投資が小さいこともメリットで大手を始め多くの不動産業者が利用している。

海外:Zillow

米国では「Zillow」という不動産情報サイトが有名で、不動産売買のマッチングが行われている。Zillowでは米国1億世帯のデータをもち、物件情報の提供、検索サービス、価格評価などのサービスが提供されている。

2.不動産価格の予測情報の提供

国内:GEEO

「株式会社おたに」は、不動産価格予測サービスのGEEOを運営しており、個人や不動産業者、投資家が知りたい不動産価格情報を提供している。個人向けの「Free」は無料サービスで、地図上の指定した個所をクリックすると条件に基づく価格情報が簡単に得られる。

海外:CoStar

米国のCoStar社は、140以上の市場のデータベースを管理しており、その情報をもとに収益不動産の価格情報や市況・供給情報を提供している。不動産業者などの鑑定評価、不動産情報入手、市場分析や資産分析、WEBでの販売支援等に利用されている。

3.業務効率支援

海外:VTS

米国ニューヨークを拠点とするVTSは、不動産ブローカーや大家用に資産管理やリース管理のクラウド型プラットフォームを提供している。このプラットフォームは、代理店担当者、オーナー、テナント担当者等における物件情報の共有化などに利用され、コラボレーションの効率化に役立っている。

国内では、不動産管理業務を提供する不動産テックは今後登場してくると考えられる。

まとめ:不動産テックは、業務の本当の価値を高める

不動産テックの登場は、これまでデジタル化が進まなかった不動産業界の変革に貢献するだろう。日本市場で今不動産テックが広がっていく背景には、この業界における人手不足が挙げられる。店舗運営や、プロパティマネジメント業務、ビルメンテナンスなど様々な不動産業務全体で人手不足が深刻な課題となっている。日本で不動産テックが成功するためには、付加価値のある業務に人出を割き、逆にルーチン的な業務は、人工知能やロボットなどを積極的に取り入れていくことだろう。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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