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新規事業のSWOT分析とクロスSWOTフレームワークの実務上の使い方

新規事業・商品開発2018.01.22

SWOT Analysis A Structured Planning Method for Evaluate Strengths, Weaknesses, Opportunities and Threats Involved in Business Project on Brown Chalkboard.

新規事業の企画書でよく目にするフレームワークは、SWOTだ。

SWOTとはStrength:強み、Weakness:弱み、Opportunity:機会、Threat:脅威の4つのそれぞれの頭文字をまとめた表現で、自社の内部の状況(内部環境)とマーケットの変化(外部環境)の関係を棚卸しするときに使える分析方法だ。

そして、この棚卸しした要素を組み合わせて、自社が取るべき打ち手を検討する際「クロスSWOTフレームワーク」というフレームワークが用いられる。

新規事業でSWOTフレームワークを使う時にはどんなことに気をつければいいのだろうか。今回はSWOT分析とクロスSWOTフレームワークの使いこなし方について、ケーススタディを交えて紹介しよう。

SWOT分析は4つの環境を整理するフレームワーク

SWOTとは、会社の内側と外側の環境の要素を頭文字でまとめた表現で、それぞれを整理するためのフレームワークだ。

  1. Strength:強み
  2. Weakness:弱み
  3. Opportunity:機会
  4. Threat:脅威

まず、ここでは1と2(強みと弱み)、3と4(機会と脅威)がそれぞれ対になっていることに注目して欲しい。

1と2、StrengthとWeaknessはそれぞれ、会社の資源を他社と比べて優れている点(強み)と、劣っているもしくは優れているとは言えない点(弱み)に区分けする。これらは2つ合わせて「内部環境」と呼ぶ。

一方で3と4、OpportunityとThreatは「外部環境」と総称して、同業界の企業ではあれば同様に影響を受けるマーケットの変化を指し、チャンスになりうる点(機会)とマイナスのインパクトになりうる点(脅威)に区分けする。

後者の外部環境は、解釈によって機会になる要素もあれば、脅威になる要素もある。従って、分析する人によって、解釈の違いが起きるため何を機会とするか、何を脅威とするかを認識合わせしておこう。それぞれの環境を分析するためにさらに細かい要素に分けて、客観的に評価できる様にする。

内部環境分析:強みと弱み

内部環境分析では自社の経営資源を棚卸して、強みになる点と弱みになる点を整理する。

自社の中で他社には引けを取らない経営資源はあるか。逆に阻害要因となっている資源はないか、といった点を議論していく。

強みと弱みの議論は、どうしても主観的な評価が入ってしまうため、相対的・客観的に評価できる様に心がけたい。

  1. 財務状況(例:現預金を豊富に持っているのは同業他社と比べて強み)
  2. 組織文化(例:多くのパートナー企業と一緒に仕事ができない文化は弱み)
  3. 製造設備(例:製造から物流まで一拠点に集中しているのは強み)
  4. 研究開発(例:車載用カメラの画像処理には強い知財があるのは強み)
  5. 製品ラインアップ(例:ネット接続できる製品が他社と比べて少ないのは弱み)
  6. 従業員が持つノウハウ(例:特定の顧客を計画的に深耕できるのは強み)
  7. 原材料(例:原料Xについて独占的な取引契約を持っているのは強み)
  8. 製品の販売先(例:同業他社と比べてアジアに販売拠点が無いのは弱み)

外部環境分析:機会と脅威

外部環境分析では、マーケットの変化を機会(ビジネスチャンス)と脅威の2つに分けて整理する。

外部環境は、同業他社も同様の環境に置かれていると考えられるため、それらを機会と捉えるべきか、脅威と捉えるべきか慎重に議論して認識を合わせていく。

  1. 国際情勢(機会の例:アジアの経済圏が急成長している)
  2. 政治・法令(脅威の例:消費税10%がほぼ決定しており需要抑制が起きる)
  3. 経済状況(機会の例:株価が上昇しており資産の組み替えニーズが増加)
  4. 消費者の志向の変化(脅威の例:サステナビリティを意識する消費が増加)
  5. 科学技術の発展(脅威の例:AIなどこれまでにない新技術の影響が拡大)
  6. 異業種の動き(脅威の例:異業種からの参入が急増している)

SWOTのフレームワークを使うことで、それぞれの要素で細かく自社の環境を理解しておくことができる。またプロジェクトチームで共通認識をする際にも非常に有力だ。

クロスSWOTフレームワークで打ち手を検討しよう

SWOT分析で、それぞれの要素が棚卸できたら、今後は、それらの要素を組み合わせる。それにより新規事業の企画や参入市場の検討ができる様になるのだ。それは「クロスSWOTフレームワーク」とも呼ばれており、以下の様に記載できる。

クロスSWOTフレームワークからわかる4つのことは以下の通りだ。

  1. 機会×強みの組合せ:強みを生かしてビジネスチャンスを捉える
  2. 脅威×強みの組合せ:強みを生かして脅威に対抗して差別化する
  3. 機会×弱みの組合せ:ビジネスチャンスに弱みを克服する
  4. 脅威×弱みの組合せ:脅威に対して弱みを守る

ケーススタディ:富士フィルムの新規事業

有名な事例だが、富士フィルムの新規事業をクロスSWOTで整理してみよう。当時富士フィルムは写真フィルムメーカーとして認知されていたが、化粧品市場という新しい市場への参入を表明した。

それは以下の通り記載することができる。

1.内部環境(強み):コラーゲンや膜に関する知財

写真関連事業では、化粧品に使われているコラーゲンという物質が写真フィルムにも使われており、富士フィルムには長年に及ぶ研究開発の成果があったのである。

これが同社の強みとして共通認識となった。

2.外部環境(脅威):銀塩フィルム市場の縮小

急速に写真のデジタル化が進み、デジタルカメラやスマートフォンによる写真撮影が普及した結果、写真フィルムのニーズは減少していった。

そのため写真フィルムの経営資源は強みにならないことが理解されていた。

3.外部環境(機会):ビューティ市場の拡大

中国や東アジアの経済が発展するのに伴い、人口は増え人々は豊かになり急速にビューティ市場は伸長していた。

日本市場でも高齢化が進むことで、スキンケア需要が高まっており、客単価は伸長していた。

強み×機会の組み合わせ:新規事業としての化粧品事業

富士フィルムは、写真フィルムという既存事業の縮小から、その既存事業で培った知財を活用して、新たな機会に参入することを検討していた。そこで、化粧品やサプリメントなど様々な新規事業を検討した結果、写真関連事業で培ってきた世界最先端の研究開発が最も強みになると判断し、化粧品市場に参入したと考えられる。

つまり「脅威」を明確にして、「強み」と「機会」を組み合わせた結果だ。もちろん化粧品のブランド開発のノウハウは有していなかったため、その「弱み」を補うべく化粧品開発のプロを招聘したり要員確保したりしたはずだ。その後、アスタリフトブランドを立ち上げ多くの顧客からの支持を得て、事業として成長していったのは多くの人たちが知るところである。

新規事業を企画するにあたり、「強み」と「機会」に焦点を絞りすぎるのではなく、「脅威」や「弱み」にも注目して、クロスSWOT全体で新規事業を企画する。

以上の様に、クロスSWOTは新規事業立ち上げを検討する上で土台のフレームワークになる。繰り返しになるがそれぞれの要素に主観的な評価が含まれるため、一人で取り組むよりも、プロジェクトチームでブレーンストーミングしたり、各部署にインタビューをしたりして、評価の精度を上げていくのをオススメする。

まとめ:SWOTフレームワークを多くの人目に晒すべき理由

今回は、新規事業検討に活用できる基本的なフレームワークとして2つを紹介した。

  • SWOT分析:強みと弱み、機会と脅威をそれぞれ棚卸しする
  • クロスSWOTフレームワーク:上述のSWOT分析を組み合わせて新規事業の企画や参入市場の検討する

新規事業を発想するときには、「強み」と「機会」に目が行きがちだが、「弱み」と「脅威」の検討も同じくらい重要になってくる。

また実際に取り組んでみると、何が強みになるのか、何が機会になるのか判断できないことがたくさんあるだろう。

例えば、AI技術を機会と捉えるのか、脅威と捉えるのかは立場や知識によって意見が分かれるのではないだろうか。だからこそ、新規事業の企画のベースとなるこれらフレームワークを使った分析結果をできるだけ多くの目に晒すことが大事になってくるのだ。

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