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スタートアップとベンチャー企業の違い:投資とビジネスモデルの2つの視点より

立ち上げ2018.02.28

Group of Business People in a Meeting

最近、「スタートアップ」という用語が頻繁に使われている。アメリカではスタートアップが明確に定義されているが、日本ではベンチャー企業と混同して使われているのが現状だ。この記事では、ベンチャー企業とスタートアップの違いを、日本とアメリカの2つの視点から解説する。

ベンチャー企業とは何か?

まず「ベンチャー企業」という言葉は、日本で生まれた和製英語だ。一方アメリカでベンチャーといえば、ベンチャーキャピタル(VC)を指す。ベンチャーキャピタルは、これから創業する企業や創業後間もない企業に対して出資を行う団体のことである。ベンチャーキャピタルの出資の前提は、出資先の株式上場とその後の保有株式売却による資金の回収だ。つまりベンチャーキャピタルは出資先の株式を購入するという形で資金援助を行い、株式上場に至った暁にはその株式を売却することでリターンを得ることを生業にしている。

「ベンチャー企業」はベンチャーキャピタルから出資を受けた企業

一方、日本で「ベンチャー企業」が登場したのは、1970年代の第一次ベンチャーブームに遡る。1963年に日本発のベンチャーキャピタルである中小企業投資育成投資育成株式会社が設立された。これを受けて、当時技術力やノウハウを持っていた企業がベンチャーキャピタルの出資を受けることで、上場に至るまで大きく成長している。これらの企業は今まで世間になかった技術力を駆使し、社会の問題解決に貢献している。

具体例を挙げると、センシング技術で世界的なシェアを誇るキーエンス、モーター製造・開発で有名な日本電産などである。この時期にベンチャーキャピタルの支援を受ける企業に対して、いつからかベンチャー企業という呼び名が浸透していった。

「ベンチャー企業」3つの定理

日本におけるベンチャー企業の由来は、ベンチャーキャピタルを活用した企業であり、そのことからベンチャー企業の定義をまとめると以下の通りである。

  1. 創業間もない企業である。もしくは創業して融資以外の資金を得ている。
  2. VCから出資を受け、株式上場を前提(目標)としている。
  3. 今までにない技術・ノウハウで社会問題の解決に貢献している。

3については当初ベンチャー企業と呼ばれた時には明示的ではなかったと考えられるが、最近ではより重要になってきているだろう。

ベンチャー企業と中小企業の違い

ベンチャー企業に対して、日本には「中小企業」と呼ばれる企業群の呼び名がある。日本では中小企業基本法により、中小企業が法的に定義されている。

中小企業基本法では、資本金の額と従業員数に応じて、業種ごとに定められている。例えば、製造業の場合には、資本金が3億円以下または常時使用する従業員数が300人以下の企業を中小企業と定めている。規模が小さいというだけで、全ての会社がベンチャー企業と定義付けされるわけではない。中小企業は、大企業との比較でそう呼ばれているが、中小企業でも上場している企業も数多くあるし、ベンチャーキャピタルの支援を受けている企業ももちろんある。明確な区分は無いものの成長することを企業目的とし、上場を目指している比較的新しい中小企業は、ベンチャー企業と呼ばれる傾向がある。

スタートアップの由来

スタートアップという呼び名の由来が、アメリカのシリコンバレーやサンフランシスコにおけるIT系企業による影響力が大きいのは間違いない。

Googleは1998年に、ラリーページとサーゲイブリンという2人の創業者から始まった企業で、今でこそ世界中にその存在が認知されているが、創業当時はスタンフォード大学の寮の一室からスタートした小規模企業だった。「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というミッションを掲げてスタートした彼らには、従来の企業のような枠組みはなく、NASDAQに上場し規模が大きくなった現在も常に挑戦心に溢れている。スタートアップ企業の代表的存在といえるだろう。

スタートアップとは圧倒的な速度(二次関数)で成長することを企業の使命とおり、スモールビジネスと呼ばれる企業成長が一次関数的(直線的)な企業とは明確に区分けされている。

ベンチャー企業にないスタートアップの特徴

スタートアップの発祥はアメリカである。スタートアップは日本におけるベンチャー企業同様に、創業間もない企業が、上場を前提として融資ではなくベンチャーキャピタルなどから資金を調達して、前例の無いビジネスモデルで社会課題を解決する。その点に関しては日本のベンチャー企業とスタートアップは同義である様に見える。

しかし、実は両者を切り分ける決定的な特徴が2つある。

1. スタートアップには決まった組織形態・制度が無い。

スタートアップを構成するメンバーはごく少数精鋭だ。決まった業務プロセスがなく、個人個人が専門性を発揮して、上場(IPO)に向けて急激な成長を遂げて走る。市場の破壊(ディスラプション)や社会変革を目指すからこそ、既存の枠組みに囚われない経営を行なっており、官僚的ではない自由で柔軟な発想ができる人材を世界中から集めている。

最近では日本のベンチャー企業でも、北米のスタートアップと同様の成長速度で発展を遂げる企業も増えてきており、今後はスタートアップという呼び名で日本でも統一されていくだろう。

2. スタートアップは短期間で何度もトライアンドエラーを繰り返す

スタートアップには、創業当初から明確なビジネスモデルは存在しない。ビジネスモデルそのものを構築し、市場投入を短期間で何度も繰り返し、最終的にヒットしたものを採用する。スタートアップの研究では、このトライアンドエラーの方法を取り上げているものも少なくない。そのくらい、急激な成長ができることを再現できることがスタートアップにおいてはベンチャーキャピタルから期待されているとい言ってもいいだろう。

また日本では収益が見込める企業に投資をするのがこれまで一般的だったため、ベンチャーキャピタルは投資対効果が試算できるベンチャー企業へ投資する傾向が強かった。一方、アメリカでは、将来の成長を見込んでスタートアップへ先行投資される。マラソンに例えるならば、ベンチャー企業への投資は長距離ランナーであり、スタートアップは全力疾走を小刻みに何度も投資を繰り返すイメージともいえるだろう。

そのため、日本では創業時の投資(エンジェル投資)や創業間もない段階での投資(アーリーステージ投資)はあまり発展してなかった。しかし最近はその様相は大きく変わってきており、アーリーステージにのみ投資するベンチャーキャピタルが次々と現れてきて、小刻みに投資を繰り返して成長モデルを構築するケースもたくさん出てきている。まだまだアメリカやイスラエルのスタートアップの生態系(エコシステム)には及ばないものの、10年前と比べると世界で言われているスタートアップの世界に近づいてきている。

まとめ

スタートアップは、組織形態や制度など企業体の枠組みにこだわらず、急激な成長にフォーカスして、ビジネスモデルの構築し、顧客獲得を繰り返しながら、短期間で大きくなる企業である。短期的に成長するからこそ、株価は非常に高くなり、結果として創業間もない時期に出資した投資家や株主は大きなキャピタルゲインを得ることができるのである。こう言ったスタートアップを作り上げる生態系(エコシステム)は、日本ではこれまで無かったのだがこの10年で状況は大きく変わりつつある。今後、日本からも世界規模のスタートアップが出てくるのは間違いない。

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