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「AIエージェント元年」の2025年、現場では何が起きていたのか

                   
AI・人工知能
公開日:2026.01.15更新日:2026年1月15日

本記事は、フィンチジャパン代表の高橋とひげおぢによるポッドキャスト『でじどうラジオ』の第8回は、「AIエージェント元年」だった2025年の現場を総括した、特別編の対談記事です。 組織がAI Readyになるための課題や、AIを「新入社員」として捉えるマネジメントの本質、そして新たな一年への抱負と展望について語り合いました。

はじめに─今年の抱負

ひげおぢ:リスナーの皆さん、2026年あけましておめでとうございます。高橋さんもあけましておめでとうございます。

フィンチ高橋:今年もよろしくお願いします。

ひげおぢ:デジどうラジオ第8回ということで、今日は課題図書もゲストもなく、二人だけのセッションです。新年らしく、まずは今年の抱負からいきましょうか、今年の抱負は?

フィンチ高橋:散々このデジどうラジオでエージェントの話をしてきたから、やっぱりエージェントと一緒に働く職場を一つでも多く作りたいなと。いろんな壁にぶち当たった時に、一緒に考えて、AIと共に働くということを具体的に価値として生み出していけるようなことをやっていきたい。

ひげおぢ:いい夢ですね。この番組でも、そういった価値提供ができている企業の方をゲストに呼んで、「ここを苦労した」とか「こうやったらうまくいった」とか、普通の企業セミナーでは聞けない裏話を聞きたいですね。私の今年の抱負は、実は「ポッドキャストランキング200位以内」です。200位以上になると、レーティングサイトに順位が表示されるんですよ。

フィンチ高橋:200位に入るには、どうすればいいの?

ひげおぢ:正直、他力本願でいきます(笑)。いろんなゲストを呼んで、認知を取って、より多くの人に聴いてもらう。

高橋:ゲスト頼みでランクを上げようと。それ、めちゃめちゃいいアイデアじゃない?

AIエージェントは浸透しているか?─現場報告

ひげおぢ:改めてなんですけど、この番組は「デジタル同僚」、つまり「あなたと一緒に働く人は人間じゃない時代が来るよ」というコンセプトでスタートしました。AIエージェントという言葉は、去年の注目キーワードNo.1だったと思いますが、実際に企業に浸透していますか?

フィンチ高橋:浸透してない。全然してない。

ひげおぢ:やっぱりそうですか。

フィンチ高橋:2025年は「エージェント元年」と言われて、2026年はブレイクスルーと言われているけれども、実際の各企業の中では若干バズワード化している。AIエージェントと一緒に働く職場をジャンジャン作っているかというと、本当に進めている会社でもほとんどできていないんじゃないかな。

ひげおぢ:高橋さんがコンサルで行かれている会社、現状どんな感じですか?

フィンチ高橋:多くの企業さんでは、ChatGPTを自社向けにカスタマイズした独自のチャットツール、これが入っている会社さんはかなり増えてきていますね。日常的に社員が使える環境は整ってきていると思います。

でも、試してもらうと月に1〜2回使う人が全社員の半分くらい毎日使って仕事している人は全社員で数パーセント。これがAI活用における大企業の現実感かな。

ひげおぢ:わかります。先進事例を見ても、用途は議事録、たたき台作り、アイデア出しくらい。それって企画職の方に限られますよね。

フィンチ高橋:本当にそう。企画職は一部の部署だから、もちろんそこではたくさん使っているかもしれないけど、日常的に営業している人や、契約書をチェックしている人が日常的に使っているかというと、まだまだこれからなんじゃないかな。

「AI Ready」になれない理由

ひげおぢ:プロンプトを入れて、お詫びのメールを書いてもらうとか、データを読ませて整理してもらうとか⋯これって自律性がどこにもない。命令を通しているだけで、僕はこれをAIエージェントとは呼ばないと思っています。そういう使い方だと、なかなか日々の業務で使いこなせてる感は出ない。

フィンチ高橋:めちゃめちゃいい質問なんだけど、課題はたくさんあってね。一つは、僕がよく言っている「AI Ready」という概念。エージェントが使われ始めるには、まず組織がReadyな状態になっている必要がある。でも多くの企業がそうなっていない。

ひげおぢ:Readyって具体的には?

フィンチ高橋:例えばさ、会社に勤めていた時に、先輩から「あれとこれやっといて」とか、「稟議を回す時はあの部長に先に話しといて」とか、暗黙的な知識がたくさんあるじゃない? そういう暗黙的な業務をちゃんと言語化して形式知化して、AIに学習させないと、同僚にはなれないわけですよね。
Readyにしていくところで、「便利だけど実務にはちょっと程遠い」という壁を感じている企業が多いですね。

ひげおぢ:去年も話しましたよね。「生成AIって、すごく優秀な東大卒の社員だけど、一般的な常識しか知らない」と。会社のことを聞きたいのに、一般論しか返ってこない。

フィンチ高橋:そうそう。

ひげおぢ:そうなると「使えないな」となって、「じゃあ今日の献立でも相談するか」と一般的な用途に落ちていく。独自のナレッジでお金を稼いでいる企業にとっては、なかなか難しい。

「組織のエース ≠ AI活用のエース」問題

フィンチ高橋:もう一つ面白いのは、例えば営業のトップ営業マンなど、どんどん契約を稼ぐ人たちは会社で評価されてマネージャーになるじゃない? つまり業務経験と実績がある人がマネージャーになる。
でも、AIを使いこなせるとか、エージェントを業務に組み込めるかは、必ずしも業務経験が長けている人がうまいわけじゃない。組織の中のエース ≠ AI活用のエース。これを組織の中でよく観察する必要がある。


この間お客さんに聞いたんだけど、ある派遣の女性の方が普通に事務処理をしていたら、その方が会社で提供されているRPAをものすごく駆使して、すごい仕事をしていると。

ひげおぢ:生産性が高いんですね。

フィンチ高橋:そう。でもみんなRPAを使っていることを知らないから、噂では「あの派遣の方、何者ですか?」みたいになっていた。蓋を開けてみたらRPAをめちゃめちゃ使いこなせる方だった。
そういうスキルを持った人が会社の中で埋もれているんじゃないか。タレントを発掘していくプロセスがないと、なかなか進まないんじゃないかな。

ひげおぢ:わかります。古い言葉でいうと「オタクの復権」というか。課題をきちんとデジタルで形にできる人を評価する基準が変わる。組織のトップは、そういう目で見て、評価すべき人を評価しなきゃならない。

フィンチ高橋:通常の業務経験とは違う軸で、その人たちの持っているスキルを可視化してあげないと、なかなか発掘できないよね。

「ホラーストーリー」とサービス進化の速さ

フィンチ高橋:あと、ネガティブな要素もある。「AIなんて嘘をつくんじゃないか」「実務で使うには正確性がない」—僕はホラーストーリーって呼んでいるけど、そういう話をする語り部が組織の中にたくさんいると、「便利」という価値の前で埋もれてしまって、Readyにたどり着けない。大きな会社でも当たり前のようにある。

ひげおぢ:よく見ると、プロンプトの入れ方でミスを誘発しているケースも結構あったりしますよね。

フィンチ高橋:公式な文書で間違えちゃいけないのは当然だけど、だからといってドラフトを作らせちゃいけないということではない。でも「人の方が業務経験も豊かでいい」という話が、新しい会社でも古い会社でも結構ある。

ひげおぢ:あと、企業向けのAIクラウドシステムって、最新のモデルよりちょっと機能が欠けていたりしませんか?

フィンチ高橋:それあるね。

ひげおぢ:半年、ひょっとしたら1年遅れくらいのもので成果を出せ、となっている。

フィンチ高橋:これも会社の中の不満の一つ。上司からすれば「去年の夏にローンチしたばかりなのに」と言うけど、開発には1〜2年かかっている。その間に、目の前にはもっとはるかに便利なツールが出てしまう。サービス価値の上がる速さが尋常じゃないというのも、導入を難しくさせている要素の一つです。

「独走させる」という発見

フィンチ高橋:この間いい話を聞いてね。ある会社の課長さんが、「うちではAIが使いこなせる子にはもう独走させているんですよ」と。毎日のように「すごいね、またこんなことできたの」と褒めている。そうすると何が起きるかわかりますか? その子たちは、ツールを「便利」という価値に昇格させることができる。ツールのままだと、みんな腫れ物に触るように「何ができるかわからない」となる。でも「便利」と言われたら、みんな寄ってたかって近づいてくる。


だから、ツールを「便利」に昇華させることができる人をどんどん独走させると、組織の中に定着していく。孤軍奮闘しているメンバーをうまく観察して、独走させてやっていくんだと。すごい勉強になった。

ひげおぢ:高橋さんがクライアントにしている大企業は、年功序列がまだ強い組織だと思うんですよね。経験も年次で評価される。暗黙知が蓄積されるから、長くいる人はいろいろなバリューが出せる。
でも生成AIが怖いのは、それを一気に突き抜けちゃう人が出る可能性があること。

フィンチ高橋:まさにその技術革新のパワーだと思いますね。

ひげおぢ:それをどう処遇するの?という問題。評価の仕組みも何もないところが、組織の壁の一因になっているんじゃないかな。

AIは「ツール」ではなく「新入社員」として入社させる

ひげおぢ:生成AIって面白いのは、普通、企業に導入されるものって用途が固定されているはずなんですよね。経費精算システム、基幹システム、Wordは文字を書くツールなど。
でも生成AIは何でもできて可能性が無限だから、「あなたで考えろ」という、今までの企業ツールと真逆の入れ方をしている。自由度があるものをどう定着させるかというナレッジは、今までの企業にはないはず。

フィンチ高橋:すごく面白い発想なんだけど、コロンブスの卵みたいに考えると—経費精算システムとかなんたらシステムみたいに「業務」で定義するんじゃなくて、「人」として捉えるといいんじゃないか。


新入社員として会社に入った時、「あなたは経理のプロですね」とは言われない。配属された部署で業務経験を積んで専門性を身につける。AIも同じように、新卒社員を入社させるイメージで、どこに配属させると早く戦力化できるかという発想で取り入れていった方がいい。

ひげおぢ:ただ今の段階だと、「あなたは経理のスペシャリストです」と伝えたら、暗黙知がわかっていると誤解されている気がします。

フィンチ高橋:なるほど。

ひげおぢ:そうじゃなくて、その人に指示するためには「この暗黙知を参照してください」と教える必要がある。コンテキストと呼ぶらしいんですが、個別の事情を頭に書かないといけない。教えるべきことを、指示する人が分かっていないとダメ。暗黙知のままでは機能しない。

フィンチ高橋:ちゃんと形式知化しないとダメなんだね。

ひげおぢ:だから暗黙知を形式知化できるAIがあるといいな、と最近思っています。

フィンチ高橋:面白いね。社員として入社させるといっても、組織の中が暗黙知だらけだと、今の技術ではAIは学習できない。暗黙知を形式知化して、AIでも勉強できる状態に仕上げないとダメだということだね。

ひげおぢ:そういうことなのかなというのが、今年初めの現状認識です。

2026年の展望─苦労話を聞きたい

ひげおぢ:さて、今年のデジどうラジオですが、やっぱりゲストをたくさん呼んで、200位以内を目指したいです。

フィンチ高橋:ゲスト頼みね(笑)

ひげおぢ:今年はできれば、企業でAI Readyにしている方をお呼びして、どういうことがポイントなのか、コツなのか、あるいは苦労話を聞きたい。高橋さんはどういう人に来てもらいたいですか?

フィンチ高橋:やっぱり会社の中でAIトランスフォーメーションをしていて苦労されている方と、その苦労話を膝詰めで一緒にやりたいね。

ひげおぢ:飲みたいですよね(笑)

フィンチ高橋:一緒に飲みたい気分だよね。

ひげおぢ:ということで、最前線で苦労されている方、ぜひご連絡をお待ちしております。
2026年1回目のポッドキャスト、この辺でお開きとさせていただきます。今年のデジどうラジオにご期待ください。ありがとうございました。

フィンチ高橋:ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。

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この記事の監修者

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株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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