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INTERVIEW

VRで家を買う|ジブンハウスが目指すハウスの先の『HOME』の築き方

内堀雄平氏

Yuhei Uchibori
ジブンハウス 常務取締役

松本啓司氏

Keiji Matsumoto
ジブンハウス 取締役 / 一級建築士

スマホでマイホームを買える時代がついに来た。注文住宅のように自由度が高く、建売のようにイメージが付きやすい。そんないいとこ取りの住宅のことを『規格住宅』と呼ぶ。外装や内装を自分好みにカスタマイズした家をVRで体験し、納得感を持って見積もることができるサービスが、『ジブンハウス』だ。このサービスを手がけるジブンハウス社の内堀氏と、同社の商品開発を手がける松本氏の両名に、いかにしてこのサービスが生まれたのか、彼らがどのような未来を見据えているのか話を伺った。

―規格住宅をVRで行うという点に着目した理由を教えてください。

内堀雄平氏
松本:VRに着目した経緯は、VRがいろんなところでちらほら出てきている時期だったんですが、それをうまく商用利用できていなかったので、我々がやろうかということになりました。 内堀:でも、コンセプトとしては規格住宅が先なんです。 松本:規格住宅とVRというものをマッチングさせたら最強になるだろうという話で、ちょうどくっついたんです。住宅業界を変えるようなイノベーション的なことを取り組まないとVRも生きないだろうと。 ただ、『セルフ見積もり』という金額を付け加える機能と『VRの機能』の両方に取り組んでた時に制作者の手がいっぱいになってしまって、「どっちが大事か?」と聞かれたんですが、「どっちも大事だ」と答えました。今になって思えば非常に正しかったと思ってます。片手落ちだと絶対ダメだから。

―なぜVRとの組み合わせが「最強」思ったのでしょうか?

松本啓司氏
松本:僕らの頭の中では、車の世界をマージしたというか、車の販売手法がありました。 内堀:車を選択して、ディーラーに行く頃にはある程度「何を買おう」みたいなのが決まった状態で行っていたという購買体験があったんですね。車好きというのがあるかもしれないです。

―ジブンハウスのビジネスモデルを教えてください

松本:FC(フランチャイズチェーン)・VC(ボランタリーチェーン)です。 FCVCの部分では、商品開発や見積もりのシステム、販促マニュアルなど、それらも含めて加盟している会社に提供することしました。 販促ツール費用など、いろいろなマネタイズのお金を出してもらえると、エンドユーザーにもサービスとして広がって、加盟店さんも潤ってうちも潤います。 もう一つの観点が合弁で作った会社(ジブンハウスマテリアル株式会社)が資材を提供できるので、コストメリットも出てきてお客さんに反映できて、だから価格をおもてに出せるようになっています。資材のロイヤリティもうちに入ってくるので、循環したマネタイズになっているのがジブンハウスのFCVCの流れですね。

―VRはどこに寄与しているのでしょうか?

松本:開発のところですが、必ずしもVRである必要性はないと思います。 内堀:今うちが打ち出している事業は4つの流れがあります。マイホームマーケット事業だったらVRや見積もりシミュレーションを横展開してプラットフォームにしたり、今新しくやろうとしている事業でもプラットフォームにしていったりとか。 一種の研究機関というわけではないですが、うちは「HOME TECH LAB(ホームテックラボ)」だと思います。「HOME(ホーム)」という言葉にしたのは家だけではなくてライフスタイルとか家族の時間とか、そういったものを扱っているからなんですね。 時間や予算を抑えることによって、家族とのコミュニケーションの時間にお金を使えるとか、旅行にお金を使えるとか、自分の趣味趣向のものにお金を使えるとか、ライフスタイルの多様化に合わせた形でお金を出せる。だから逆説的に言えば、家だけにお金をかける時代が終わったということになります。うちは家を売っているというよりはライフスタイルを高く売っているような会社だろうと思います。 ライフスタイルと言うと少し漠然としてしまいますが、家にまつわるライフスタイル全て合わせて「HOME(ホーム)」という言葉にしたので、「HOME TECH LAB(ホームテックラボ)」なんです。要は研究したものをプラットフォーム化して大きく広げていく。それをまずは自分のハウスで実験するというか、テクノロジーを活用してジブンハウスで実際にそれを活用してみて、いいなと思ったらどんどん外に広げていって、また新しいテクノロジーを活用しながらということをずっと繰り返していくような会社です。今後のビジネスモデルはこうなりますね。

―VRで家を選ぶというのは、買う人達からすればどういうメリットがありますか?

松本:まず、作り手側で平面のものを立体化させて頭の中に映像を作るという空間認識が思っていたよりも出来ていないです。なので、VRを見た瞬間に、「うわっ!」てなるというのが作り手側の思っていた以上でした。 内堀:作り手目線でいけば、規格住宅って過去にもあったんですよ。今までも規格住宅をやっていた会社もあったんですが、なぜ上手くいかなかったかと言うと、『ここを変えてくれ』とか、『壁を変えてくれ』とか、「これをもっとこうしてくれ」というお客さんの要望を全て取り入れると結果的に注文住宅とほぼ変わらなくて予算も上がっていくというのが今までの規格住宅だったんです。 なぜそうなったかと言うと、今松本が言ったようなことをユーザーも認識出来ないから。平面を見ても、『これはもうちょっと壁を変えたほうがいいんじゃないか?』って不安に思ってしまう。それが高精細で「このまま欲しい」と思われるようなVRがあることによって企画住宅として成り立つので、打ち合わせ回数が少なく済む。それはお互いにとっても家にとってもいいことだし、コストを抑えられるし、ユーザーからすればそれが予算に反映されるのでより購入しやすくなるみたいなメリットがあるんです。

―一般的に使うCADとジブンハウスのVRではどう違うのでしょうか?

松本:我々の考え方は「このままでいいでしょ」という形です。悪く言えばお客さんの意見を聞こうとは思っていないんです。「僕らが考えたものが正しいんだよ」という。そこまではおごってはいないですけど、それくらいの気持ちで出しています。 言葉は悪いんですが、たいがいプロがやったほうがいいんです。でも、住宅業者はどうしても恐くなってお客さんの意見を聞いちゃうんです。お客さんの意見を聞いたほうが「言ったじゃないですか」というふうに言えるからです。でも意見を聞かないで提案するのは、紙ベースで出しても分かりにくい。VRで起こして見せればお客さんも納得してくれるというストーリーです。

―VRやIoTの将来についてどう考えますか?

内堀:VRの可能性はたくさんあって、あまりここで掘り下げるものではないのかもしれないですけど、IoTとかやり方は、今まではテクノロジーのプロセスだけやっています。要は探し方とか買うまでの流れをテクノロジーでやっているわけです。そうではなくて、僕らがやろうとしているのは買った後に住んでからの部分をIoTで今やろうとしています。 何を目指しているかというと、ジブンハウスは冒頭でも話したようなライフスタイルを考えています。お客さんは家を買うわけではないと思っているんですね。その中でこんな暮らしがしたいとか、ライフスタイルがもっとより楽しめるというような。 この家を買うことによって、より自分の生活が潤うとか楽しくなるとかワクワクするとか、そういうことをやりたいと思っているから、ジブンハウスは家をすごくシンプルにしようとしているし、購買のソリューションも短くして、なるべくお客さんがワクワクした状態で買えるようにしよう、ライフスタイルでいろいろな変化が出来るようにしようというのが根本にあるんです。 今までのIoTは課題に対するソリューションでしかない。要は健康という側面だったり、何かの防犯という側面は、「足りないものを埋めるためのIoT」が今までの基本だと思うんです。僕らはマイナスをプラスにするのではなくて、プラスマイナスをプラスにする、生活をプラスにするIoTをやりたいと思っていて、楽しさとエンターテイメントに近いIoTを作ろうというのがジブンハウスのコンセプトとしてあります。 例えば家の中で気分に合わせてクロスの色が変化したりとか、天井から映像が出てきたりとか。今そういう観点も含めてドローンを作ろうとしています。現在、開発検討しているのはAI搭載のドローンが部屋を飛び回っていて、用途としては見回りにもなるんですけど、帰ってきたら迎えにきたりとかペットみたいにもなる。要は愛があるIoTです。これがあることで今のライフスタイルが潤うとか、家に帰ってくるのが楽しくなると思っています。 松本:ただ便利になるとか、ただ手間が省けるとかではなくて、少しゆとりのあるというか潤いのあるのがよいと思っています。このAI搭載ドローンもたまに迎えに来なかったりして、今日は気分が乗らないとか。ちょっと人に近いというか。全部言うことを聞くのではないというところの感覚ですよね。 これが成功するかしないかはまだ分からない話ですけど、プラスの潤いを生活やライフスタイルに与える。かつ、それがジブンハウスの家を買うとそれにそういうものが搭載されているというIoTを今やろうとしています。各個人のライフスタイルが当然あるので、そこに僕らがライフスタイルをこうしろよっていうことではない。それが出来る環境を作るということです。 まやかしのような、これはいくらかかるのかとか、こんなのは欧米人しかやらないんじゃないのかみたいなものを見せるということではなく、もっと本質的なところを我々は取り組んで提供していく。そこのスポットって空いていると思うんです。だからそこを埋められれば絶対にスケールするとも思います。果てしなく難しいとは思いますけど、チャレンジする価値はあるんじゃないかなと思っています。

Profile

株式会社ジブンハウス http://jibunhouse.jp

ジブンハウスは、「スマホでできる自分だけの家づくり体験」を掲げる、住宅購入サービス。家のカスタマイズから、見積もり、VRでの内覧、購入の相談窓口の相談まで、すべてスマホで完結し、自分の時間で住宅検討を進めることができる。

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