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再成長を実現する事業戦略とは?成功事例から学ぶ実践的フレームワーク

                   
事業開発
公開日:2025.05.07更新日:2025年5月7日

はじめに:なぜ今、事業戦略の再設計が必要なのか

ビジネス環境は今、かつてないスピードで変化しています。
新しいテクノロジーの登場、価値観の多様化、そして予測できない外部要因――こうした不確実性の高い時代において、従来通りの事業戦略では通用しなくなりつつあります。

事業戦略とは、簡単にいえば「どこで、誰に、何を、どう届けるか」を決めること。
この基本がぶれると、現場の判断が属人的になり、組織全体がバラバラに動いてしまう恐れがあります。

今、多くの企業が「既存事業の限界」に直面しています。一方で、未来に向けた新規事業の開発にも手探り感が拭えない。そんな中、改めて“戦略”という原点に立ち返り、自社の方向性を整理することが求められています。

変化の激しい市場環境と事業戦略の役割

たとえば、コロナ禍による行動制限やデジタルシフトは、顧客ニーズを大きく変えました。製品やサービスの提供方法を柔軟に見直す必要に迫られた企業も少なくありません。

こうした変化に機敏に対応するためには、「その都度対応する」のではなく、「方向性を持って意思決定する」ことが重要です。
つまり、環境に流されるのではなく、自社の強みやビジョンを軸に据えた“戦略的な舵取り”が不可欠なのです。

戦略不在がもたらす現場の混乱

「現場がバラバラに動いてしまう」「中期経営計画と現場施策がつながっていない」――これは、事業戦略が不明確であることが原因でよく起きる課題です。

戦略が共有されていないと、営業や開発、マーケティングなど各部門がそれぞれの解釈で動きがちです。その結果、せっかくのリソースが分散し、本来目指すべき成果が遠のいてしまいます。

だからこそ、「何を軸に事業を進めていくのか」を明確に定め、それを全社で共有・実行していく体制づくりが欠かせません。

事業戦略とは?基本概念と経営戦略との違い

「事業戦略」という言葉はよく使われますが、経営戦略やマーケティング戦略など、似たような用語も多く、混同されがちです。ここでは、事業戦略の基本的な考え方を整理し、他の戦略との違いを明確にしておきましょう。

事業戦略の定義

事業戦略とは、「特定の事業単位が、どの市場で、どの顧客に、どのような価値を提供するのか」を定めるための方針です。
例えば、自社が複数の事業を展開している場合、各事業ごとに異なる事業戦略が存在することになります。

つまり、事業戦略は実際の競争の最前線でどのように勝ち残るかを示す“実戦的な地図”ともいえるでしょう。商品・サービスの設計から営業・販路戦略まで、一貫した軸を持つことが重要です。

経営戦略・機能別戦略との位置づけ

戦略を構造的に捉えると、以下のような階層に整理できます。

  • 経営戦略:企業全体としてどの領域に注力するか(例:どの市場に参入するか、多角化するか、撤退するか)
  • 事業戦略:個別の事業ごとに競争優位を築くための方針(例:中価格帯の製品でニッチ市場を狙う)
  • 機能別戦略:営業、マーケティング、製造、人事など、各部門が事業戦略をどう実現するか(例:営業体制の強化や販促施策の見直し)

このように、事業戦略は「全社方針」と「各部門の戦術」の中間に位置し、会社の方向性を具体的に現場へとつなげる役割を担っています。

事業戦略の成功事例から学ぶ実践のヒント

理論としての戦略論を学ぶことも重要ですが、実際の企業がどのように戦略を立案・実行し、成果につなげているのかを知ることで、戦略をよりリアルに理解できます。

ここでは、実在する企業の成功事例をもとに、戦略の立て方と実行のポイントを解説します。自社の状況と重ね合わせながら、参考になるエッセンスを見つけてみてください。

P&G:ブランドごとに明確なポジショニングを築いた戦略

消費財大手のP&Gは、「アリエール=洗浄力重視」「ボールド=香り・柔らかさ重視」というように、ブランドごとにターゲットと価値訴求を明確に分ける戦略で成功しています。

同じ“洗剤”というカテゴリーでも、ユーザーのニーズは多様です。これを理解したP&Gは、価格競争に陥るのではなく、顧客ごとのニーズに寄り添った差別化で市場を広げました。

▶ ポイント:1つの強みを深掘りし、それを軸に顧客との接点を再設計する

NewsPicks:メディアの付加価値を再定義したモデル

ビジネスニュースアプリ「NewsPicks」は、キュレーション×専門家コメント×有料会員制という従来のメディアにはなかった組み合わせで、ユーザー体験を革新しました。

単なる「情報提供」ではなく、「思考のヒントを得られる場」としての価値を創出したことで、競合との差別化に成功。新たな課金モデルを成立させた代表例です。

▶ ポイント:業界の常識にとらわれず、顧客視点で価値を再定義する

鳥貴族・ワークマン:低価格戦略と顧客理解による成長

・鳥貴族は「全品均一価格」戦略で、価格のわかりやすさとコストパフォーマンスを強みに成長
・ワークマンは、職人向けの機能性を一般消費者に広げ、“安くて丈夫”という信頼で急拡大

いずれも明確な強みを一点突破で展開し、顧客のロイヤリティを獲得しています。

▶ ポイント:価格や機能に頼るのではなく、それらを“誰のために、どう届けるか”を突き詰めることがカギ

事業戦略を策定・実行する5つのステップ

事業戦略を成功させるためには、「ひらめき」や「経験」だけに頼るのではなく、体系だったプロセスを踏むことが重要です。ここでは、実際のビジネス現場で使える5つのステップをご紹介します。

一つひとつのステップを丁寧に行うことで、組織全体が納得し、実行可能な戦略に仕上げることができます。

①ビジョンと目的の明確化

まず取り組むべきは、「なぜこの事業を進めるのか」「どのような未来を目指すのか」を明確にすることです。

戦略の土台には、企業の存在意義や中長期的な目標が必要です。ゴールが曖昧なまま戦略を立てても、現場が納得しづらく、行動につながりません。

定量目標(売上・利益)と定性目標(ブランド認知、顧客満足度など)をセットで設定するのがポイントです。

② 現状分析(3C・SWOT・PESTなど)

次に、自社の現状と外部環境を客観的に把握するフェーズです。
主に活用されるフレームワークは以下のとおりです。

  • 3C分析:顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を整理
  • SWOT分析:強み・弱み・機会・脅威をマトリクスで把握
  • PEST分析:政治・経済・社会・技術といった外部要因の影響を読み解く

「自社にとって、いま最大の機会とリスクは何か?」を冷静に見つめ直す時間です。

③ 戦略方針の設定(差別化 or コストリーダー)

分析をもとに、どのようなポジションで勝負するかを決めます。代表的な方向性は以下の2つです。

  • 差別化戦略:価格以外の独自性で価値を高め、選ばれる存在を目指す
  • コストリーダーシップ戦略:徹底的な効率化で低価格を武器に市場を取る

どちらが正解ということはありません。自社の強みと市場環境の相性を見て、最適な軸を選びましょう。

④戦術とKPIの策定

戦略を「実行できる形」に落とし込むステップです。

  • 具体的なアクションプラン(チャネル戦略、商品戦略、営業体制など)
  • 成功の定義となるKPI(重要業績指標)の設定

ここでのポイントは、「誰が、いつまでに、何をするか」が明確であること。
現場と一緒に考えることで、戦略が“絵に描いた餅”にならず、実行力を持つようになります。

⑤ 実行と見直し(PDCA)

最後は、実行・検証・改善のサイクルを回すことです。

事業戦略は、一度立てて終わりではありません。市場環境や社内体制の変化に応じて、柔軟に軌道修正することが求められます。

定期的な振り返りと仮説の更新を行いながら、戦略を“生きたもの”として進化させていきましょう。

事業戦略策定を支える代表的なフレームワーク

事業戦略を立案するうえで役立つのが、さまざまなビジネスフレームワークです。
フレームワークは、複雑な情報を整理し、思考を構造化するための「型」。使いこなすことで、戦略の抜け漏れを防ぎ、納得感のある提案をつくることができます。

ここでは、戦略立案の現場で特によく使われるフレームワークを6つご紹介します。

SWOT分析:内部と外部の強み・弱みを整理

SWOT分析は、企業の内外環境を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4象限で整理するフレームワークです。内部要因(S・W)と外部要因(O・T)を切り分けて考えることで、どの強みを活かし、どのリスクを回避すべきかが明確になります。シンプルながらも、戦略の方向性を見つける出発点として、非常に汎用性が高い分析手法です。

3C分析:顧客・競合・自社の関係性を把握

3C分析は、事業環境を「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点で捉えるフレームワークです。顧客ニーズに対して、自社がどのような価値を提供できるのか、競合との差別化はどこにあるのかを整理することで、自社のポジショニングが見えてきます。市場の中での“勝ち筋”を描くための基本的かつ実践的なフレームです。

ファイブフォース分析:業界構造と競争の力学を分析

ファイブフォース分析は、マイケル・ポーターが提唱した業界構造分析のフレームワークで、企業が直面する競争圧力を5つの力で整理します。既存競合、代替品、新規参入、顧客、供給者といった外的な圧力を可視化することで、自社の事業における「脅威」と「守るべき領域」が明らかになります。中長期的な戦略立案や参入判断にも有効な視点です。

PEST分析:マクロ環境の変化を見極める

PEST分析は、外部環境の変化を「政治(Political)」「経済(Economic)」「社会(Social)」「技術(Technological)」の4つの軸で把握するフレームワークです。自社がコントロールできないマクロな動向を読み解くことで、事業に影響を与えるトレンドや法規制、技術革新などを先読みできます。新規事業の立案や、中期経営計画の策定にも広く活用されます。

バリューチェーン分析:価値創出の源泉を見つける

バリューチェーン分析は、自社の事業活動を「価値を生み出すプロセス」として捉え、どこに競争優位があるか、または改善余地があるかを特定する手法です。主活動(製造・物流・販売など)と支援活動(人事・IT・購買など)に分けて分析し、それぞれの活動が顧客価値にどう貢献しているかを可視化します。効率化と付加価値強化の両面に役立ちます。

STP分析:セグメントに合わせたポジショニングを設計

STP分析は、「Segmentation(市場の細分化)」「Targeting(狙う顧客の選定)」「Positioning(価値の見せ方)」の3ステップで市場戦略を設計するフレームワークです。限られたリソースで最大の成果を上げるには、誰に何をどう届けるかを明確にすることが不可欠です。競争が激しい市場で“選ばれる理由”を築くうえで、有効な戦略設計の手助けとなります。

まとめ:自社らしさがある戦略を描くことが大事

事業戦略は、企業がビジネスづくりにおいて変化の時代を生き抜くための羅針盤です。
本記事で紹介したP&GやNewsPicks、ワークマンなどの成功事例に共通していたのは、「自社の強みを深く理解し、顧客価値と結びつけていたこと」でした。

また、戦略をつくるうえでは、ビジョンの明確化から現状分析、方向性の設定、実行計画、継続的な見直しまで、段階的なプロセスが必要です。そしてそれを支えるフレームワークは、思考の整理や判断の質を高めるための有効なツールとなります。

重要なのは、成功パターンをそのまま模倣するのではなく、自社のリソースや市場環境に応じて、最適な戦略を“自分たちの言葉”で描くことです。

戦略に正解はありませんが、「目的からブレずに考える姿勢」と「現場を巻き込む実行力」があれば、どの企業でも前進できます。
ぜひ、自社らしい戦略を描く第一歩として、今回の内容を参考にしていただければ幸いです。

フィンチジャパンからのご提案:戦略策定から実行まで伴走支援します

本記事を通じて、事業戦略の重要性や、実際の成功事例、実行に向けた具体的なステップをご紹介してきました。とはいえ、戦略を自社に最適な形で描き、実行に落とし込んでいくには、社内のリソースや意思統一、客観的な視点が欠かせません。

フィンチジャパンは、創業以来、「ビジネスフロンティア開拓事業」を掲げ、新規事業開発や既存事業の再成長を支援してきました。DXの推進や経営戦略の再構築といった変革フェーズにおいて、現場に寄り添いながら戦略策定から実行までを一貫して支援するスタイルが特徴です。

  • アイデアはあるが、具体的な道筋が描けない
  • 戦略立案と現場実行の間にギャップがある
  • 既存事業を見直し、再成長につなげたい

このような課題をお持ちの企業さまに向けて、フィンチジャパンでは思考のフレームワーク×実行支援を掛け合わせた、柔軟かつ実務的なコンサルティングをご提供しています。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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