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事業計画書とは?作り方と書くべき項目、書き方の注意点と雛形フォーマット

                   
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公開日:2022.04.01更新日:2023年4月20日
事業計画書とは?作り方と書くべき項目、書き方の注意点と雛形フォーマット

新規事業を検討して、実際に立ち上げていくためには「新規事業の事業計画書」を作成して、社内に上申する必要がある。
今回の記事では、事業計画書の作り方と書くべき項目、書き方の注意点を解説し、雛形となるフォーマットを紹介しよう。

目次

事業計画書とは「新規事業を進めるか否か」を意思決定するための書類群

事業計画書とは、「検討している新規事業を進めるか否か」という判断に資する情報が網羅的に記載されている書類を差す。つまり、新規事業を進めるか否かを的確に意思決定できるだけの判断材料が書かれている書類ということだ。

では、「新規事業を進めるか否か」を的確に意思決定するためには、どのような判断が必要だろうか。新規事業のコンサルティングを専門とする弊社、株式会社フィンチジャパンでは、次の3つの判断が必要であると考えている。

  • 1つ目の判断は、「どの領域に参入するのか?」の判断。
  • 2つ目の判断は、「その領域に参入したときにお客様はいるのか?」「そのお客様は誰なのか?」「そのお客様が買う理由は何か?」の判断。
  • 3つ目の判断は、「商売として成り立つのか?」の判断。

この3つの判断ができなければ、経営資源の投下をするかどうかの決断もできない。そのため、事業計画書には、この3つの判断ができるような内容を網羅的に記載しなければならないのである。

 

事業計画書を作る目的

事業計画書を作る目的は、あらかじめ決まっている期日までに、意思決定権を持つ人間(経営層など)が、新規事業を推進するかどうかを判断するために作成される。

  • いつ:指定した期日までに
  • どんな場面で:経営会議などの意思決定の場で
  • 誰が判断するのか:意思決定者が起案された新規事業の推進可否を判断

ただし、これは最終的な目的であって、いきなり経営会議で事業計画書を説明して、意思決定権を持つ人間(経営層など)か推進可否の判断を仰ぐことは困難を極める。

なぜなら、「いつ」「どんな場面で」「誰が判断するのか」という条件は、最終判断に至るまでにフェーズを経ることで常に変化するからだ。

事業計画書の作り方「3段階の流れ」

上述した通り、いきなり経営会議で事業計画書を説明して、すぐに決断されることは困難である。

事業計画書の作成実務としては、最初はマーケットのポテンシャルしかわからなかったが、次第に具体的な顧客の像と売るべきものが見え始め、そして、いくらで売れて、どの規模の事業になるのかの算段も算出できてきたというように、徐々に検討が深まるにつれて、段々と事業の解像度が上がっていく。

そのため、下記のような3段階に分けて事業計画書を作ると効率的に解像度を高めていける。

  1. どの領域で新規事業を行なうのかを明確にする
  2. 対価を支払うほどのニーズは何かを特定して顧客が誰なのかを明確にする
  3. 最小単位で事業収支が成り立ち、スケールしたときの規模感、投資と人員がどの程度必要なのかを明確にする

弊社では、フェーズ1で作る成果物を「新規事業アイデア提案書」、フェーズ2の成果物を「新規事業企画書」、フェーズ3を「新規事業計画書」と呼称している。

これら3つをまとめて「事業計画書」となる。

これらの資料は独立して作られるのではなく、徐々に追記されアップデートされていく形で、事業計画書が完成する。したがって、事業計画書とは、「フェーズごとの社内承認で必要な書類の束」とも言える。

それでは、フェーズ1から3の各段階の詳細について解説する。

 

1:「新規事業アイデア提案書」の作成

フェーズ1はまず、新規事業としてどの領域に参入するのかを判断する。例えば、次のようなことを調査して、検討を行なう。

  • その領域はどういう市場なのか
  • その領域にヒト・モノ・カネが集まっているのか
  • ヒト・モノ・カネが集まっている度合いは高いか

こうした要素を鑑みて、「自社としてその領域に参入する」という判断を行なう必要がある。この段階では、「コンペリングイベント」を発見できるかどうかが大きなポイントとなる。

「コンペリングイベント」とは社会の流れが、非常に高い確率でその方向性に進むことが明らかなものの、まだ多くの人が気づいていない「変化の兆し」のことを指す。

「コンペリングイベント」を発見できれば、その概要を「新規事業アイデア提案書」にまとめ、新規事業として参入できる可能性があるかどうかを判断する。

 

2:「新規事業企画書」の作成

フェーズ2では、その領域へ参入したときに客はいるのかを判断する。

  • 該当するマーケットの客は誰なのか
  • 客が買う理由となる強いニーズはなにか
  • そのニーズを満たすために客が買うであろう製品・サービスはなにか

これらを調査・考察し、「強いニーズを持つ客が存在する」ということを判断する必要がある。この段階では、「ペインポイント」を発見できるかどうかが大きなポイントとなる。

「ペインポイント」」とはユーザーがお金を払ってでも解消したいと思っている強いニーズのことを指す。

「ペインポイント」を発見できれば、その概要を「新規事業企画書」にまとめ、顧客が誰なのかを明確にする。

 

3:「新規事業計画書」の作成

フェーズ3は、特定した領域で発見した顧客に対してビジネスが成り立つのかを判断する。

  • 単価や固定費などを勘案した上で、ビジネスが成立するのか。
  • スケールしたときに、どのぐらいの事業規模になるのか
  • 人員とお金をどの程度投資する必要があるのか

フェーズ1で特定した参入領域の中で、フェーズ2で発見した顧客の強いニーズを叶える企画が、ビジネスとして成り立つということを判断するために、新規事業計画書の作成を行う。

 

事業計画書を初めて作るときの3つのポイントと書き方の注意点

では、事業計画書を初めて作るときのポイントや注意点を解説する。

  • ポイント1:判断するべきポイントを明確にすること
  • ポイント2:いつまでに判断するかのスケジュールを明確にすること
  • ポイント3:次に判断してもらう内容を予告する

 

ポイント1:判断するべきポイントを明確にすること

1つ目は、事業の検討フェーズに合わせて判断するべきポイントを決めるということが重要だ。

例えば、フェーズ1で最初に行なう判断は「参入する領域を決める」ということだ。したがって、そこにお客様がいるかどうかはこの段階で判断しなくていいことになる。判断するべきポイントを、事前にきちんと明確にすることが1つ目のポイントである。

 

ポイント2:いつまでに判断するかのスケジュールを明確にすること

2つ目は、その事業の計画を判断するスピード感である。大企業や中小企業、ベンチャー企業とでは、企業規模に違いはあるが、どんな企業でも、例えば参入領域の検討に1年かけていいのか、それとも四半期で判断しなければいけないのか、といった判断に至るまでのスケジュールは、毎回示す必要がある。

 

ポイント3:次に判断してもらう内容を予告する

3つ目は、そのフェーズの判断を仰ぐための材料を揃えるのと同時に、次に判断しなければいけない項目を示すことだ。

例えば、フェーズ1で参入領域をジャッジしてもらうためには、特定した参入領域を示すと同時に、想定顧客やニーズ仮説は、フェーズ1の終わりで立てる必要がある。

そして、フェーズ2で想定顧客が誰なのか、顧客が対価を支払うほどの強いニーズは何かを明らかにしたら、今度は「ビジネスとして成り立ちそうだ」という仮説を示す必要がある。

そして、フェーズ3の計画書の作成が終わっている頃には、「ユニットエコノミクスを成り立たせるために、この会社と組めば、事業規模はこの金額感になりそうだ」というふうに、徐々に次のフェーズで決めてもらうべきこともセットで書いていくことが重要だ。

 

新規事業計画書の構成「必ず書くべき6の項目案」

ここからは、実際にフェーズ3で作成する「新規事業計画書」に焦点を当て、「新規事業計画書」で書くべき内容について、具体例をご紹介しながら解説する。

右の画像は、弊社で作成した、「木質ペレット製造・販売事業」の新規事業計画書のサンプルの目次ページである。

中期経営計画における本事業の位置付け、本事業の使命、市場の将来シナリオ、参入の魅力、競合他社との優位性、ビジネスモデル、顧客像、事業収支シミュレーションなど、様々な項目を記載している。

「木質ペレット製造・販売事業」の新規事業計画書のサンプルは資料請求いただければ無料でダウンロードできるので、下記のページから気軽に資料請求いただければと思う。

「木質ペレット製造・販売事業」の新規事業計画書のサンプルを請求する

このサンプルでは様々な項目を記載しているが、中でも絶対に必要となる6つの項目は下記の通りである。

  1. はじめに
  2. 本事業の位置づけと使命
  3. 本事業を取り巻く環境と参入方針
  4. 投入製品とビジネスモデル
  5. 事業収支シミュレーション
  6. 実行計画

それぞれどのような項目でどんな内容なのか、詳しく解説する。

 

1.「はじめに」から計画書がなぜ作られたのかを示す

まず「はじめに」という章に書くのは、この新規事業計画書が何のために作られているかということを記載する。

この章で最も重要なのは、新規事業の計画書を初めて目にする人が読んだときに、「この書類が何のために作られたのか」が解るように示すことだ。

「はじめに」の章を書く理由は、事業計画書が最終的にプロジェクトメンバーを離れても、社内で検討の俎上に上げられるようにするためとも言える。

 

2.「本事業の位置づけと使命」から新規事業が自社に与える価値や位置付けを示す

「本事業の位置づけと使命」の項目では、「新規事業が自社の中期的な経営計画に与える価値や影響、位置付け」を記載する。

そもそも新規事業は、「新しい経営資源を増やすための活動の一環」として開始する。そのため、自社の経営計画とどのような関係があるのか示さなければならないのだ。それが、新規事業の使命であり、開始する意義になる。

少々テクニカルな話だが、この使命と意義を、制約条件だと勘違いしているケースがある。新規事業の承諾を得やすくするために、中期経営計画になぞらえる内容では本末転倒である。あくまでもコンペリングイベントとペインポイントがあって、ユニットエコノミストが成り立つということが最優先である。その上で、改めて自分たちの経営資源をどう拡張させるのか、中期経営計画から見てどのような意義があるのか、こうした内容を記載しなければならない。

 

3.「本事業を取り巻く環境と参入方針」から新規参入の納得感を与える

「本事業を取り巻く環境と参入方針」の項目では、「なぜ今、この事業に取り組むチャンスなのか」、あるいは「自社が取り組む理由があるのか」を、コンペリングイベントを交えながら記載する。

さらに、自社の強みが生かせるかどうかについての検討も記載があるといい。

新規事業計画書を初めて見る人たちの視点からすると、「その市場に飛び込むのはこの強みがあるからだ」という視点と、「こういう機会(コンペリングイベント)があるからだ」という視点がセットになっていないと、納得感が得られないのである。

 

4.「投入製品とビジネスモデル」から誰にどんな製品・サービスを提供するのか、ノックアウトファクターが何かを記載する

「投入製品とビジネスモデル」の項目では、実際に飛び込む市場の中で、「誰にどんな製品を提供するのか」や「ノックアウトファクター」について掲載することが重要になる。

「誰にどんな製品を提供するか」を掲載する2つの視点

まず、「誰にどんな製品を提供するのか」の掲載方法としては、『顧客視点』と『製品視点』の2つがある。

『顧客視点』とは、「ターゲットの顧客は誰なのか」、「その顧客はどんなニーズ・課題を持っているのか」、「それに対して解決策は何か」を記載する書き方だ。

一方で『製品視点』とは、「我々が提供する製品・サービスはこれで、この製品・サービスは誰が買うのか」を記載する書き方だ。

例えば、製造業の場合は投入製品がまずあり、製品を購入する顧客群、顧客層はここだというような『製品視点』の書き方をするケースが多い。逆にソリューション事業の場合には、「顧客が誰なのか、その課題は何で、我々はその課題解決のためにどのようなサービスをやるのか」といった、『顧客視点』の書き方をする。この時、製品・サービスの開発を内製化できない場合は、外部のパートナーとどのように連携して、どのようなプロセスで製品・サービスを提供するのかどうかを記載する必要がある。

「新規事業が潰れてしまう要因」となるノックアウトファクター

次に「ノックアウトファクター」だ。ノックアウトファクターとは、営業やマーケティング業界では、「顧客が新規商材やサービスを購入する際に絶対に譲歩できない条件」と定義されているが、ここでは、「どんな強みや魅力があっても新規事業が潰れてしまう要因」のことを意味する。

新規事業は、常にマーケットや競合企業が変化し、顧客のニーズや課題を聞くのも数限りがあり、不確実な要素がある。この不確実な要素の中に、「ノックアウトファクター」が潜んでいるのだ。そのため、不確実な要素の対応策がどのぐらい練られているかということも掲載しておかなければならない。

ノックアウトファクターについては非常に重要であるため、実際の例を交えて解説しよう。

キャッシュレス決済の「Origami」のノックアウトファクター

すでに倒産してしまったが「Origami」というキャッシュレス決済のサービスが過去にあった。事業スタート時は、いち早くキャッシュレスのコンペリングイベントを先読みし、お金を集め開発を行った。さらにはタクシー会社と組むなど、パートナーシップも強化し、強みを構築していった。事業計画上は完璧に事業を推進した。

しかし、キャッシュレス決済という事業には、「大資本を持つ企業の参入」という不確実な要素があった。例えば、大資本をもつインフラ企業(携帯キャリアや電力会社など)が、大規模なキャッシュレス事業を展開した場合のリスクである。

大資本をもつインフラ企業は、大規模な顧客基盤を持ち、顧客もそういった企業に継続的に支払いをしている。そのため、継続的な支払いそのものが、ノックアウトファクターとなり、「Origami」は強みを失い、敗れ去ったのである。

このように、ノックアウトファクターについても検討を重ね、「投入製品とビジネスモデル」の項目では、強みを失ってしまうリスクも掲載しておくべきである。「Origami」の例のように、大資本の大きな顧客基盤を持つ企業が、マーケット全体を取りに行くと、こういった事態をまねくため、事前に言及しておく必要があるのだ。

 

5.「事業収支シミュレーション」からユニットエコノミクスを記載する

「事業収支シミュレーション」の項目では、どのようなユニットエコノミクスを前提にして数字をシミュレーションしたのかを明確に記載する。

前提となるユニットエコノミクスの例としては、(1)お客様を獲得するコストは約1万円、(2)リピートは平均5回、といったものだ。

このようないくつかの前提を明確にした上で、そのユニットエコノミクスを毎年増やしていくと、収入はこういうふうに上がっていくとシミュレーションするのである。

ユニットエコノミクスを前提にしたシミュレーションでは、最初のユニットエコノミクスを確立させるのに幾らかかり、維持するのにいくらかかるというように算出する。最終的には、売上利益、特に重要なのは、損益分岐点がどこにあるのかを算出することだ。

そして、投資額に対する蓋然性、投資額に対する精度を記載する。特に決裁者と議論するべきことは、ユニットエコノミクスだ。前提となるユニットエコノミクスが本当に成立するのか、もしくはリスクコントロールしながらうまくマネージできないかなどは、非常に重要な議論となる。

加えて、不確実な要素(ノックアウトファクター)についても事業収支シミュレーションでは重要だ。

事業収支シミュレーションを議論していくと、段々と「いくら投資していくら儲かっていくのか」という話なる。例えば、2億円投資したら10億円の事業になる、3億円投資したら30億円の事業になるなどだ。このような話になると、数字の実現性を高めていくことにも注力しがちだが、その数字を作る前提となる不確実な要素(ノックアウトファクター)が、しっかりウォッチされているかどうかを見極めなければならない。

不確実な要素(ノックアウトファクター)が、ある程度、自助努力で対応できる場合という前提で、事業収支シミュレーションを書くということが必要だ。不確実な要素(ノックアウトファクター)が自助努力で対応できないのであれば、ユニットエコノミクスをいくら議論しても、実現性がなくなってしまう。

 

6.「実行計画」から推進体制とスケジュールを書く

最後の項目は「実行計画」だ。外部の協力企業(パートナーなど)を含めてどういう人員をどのぐらいのスケジュール感で確保したいかを考えて計画を作成する。事業計画書を出している時点で、来月から事業が開始できるというケースはほとんどない。実際にお金の投資をしてもらい、その前提で外部企業とパートナーの契約を結んで、物やサービスがある場合には開発が始まるという流れになるため、いつごろ参入を目標にしているのか、その目標は遅くないのかを検討する必要がある。

初期顧客を獲得しながら徐々に会社としてリスクコントロールし、投資を増やしていきながら始めていくという考え方もある。大企業の場合にはメディアを使って新規事業の開始を対外的に発表するため、その対外的な発表時期をもって、参入をスケジューリングすることが重要だ。

加えて、新規事業と既存事業のシナジー効果の検討も重要だ。会社にとっての新規事業の意味は、「既存事業とのシナジー」や「既存事業と新規事業の組み合わせでさらに新しいサービスを開発すること」でもあるため、一つの事業の成功・失敗にとらわれずに、シナジー効果を含めて記載するといいだろう。会社にどのような貢献があるのかを中期的なロードマップとして記載しよう。

事業計画書のサンプル・雛形・フォーマット

事業計画書の項目について解説したが、実際のサンプル、雛形(フォーマット)があるとわかるやすいので、「木質ペレット製造機の事業計画書の例」と「事業計画書のテンプレート・雛形」をご用意した。

 

木質ペレット製造機の事業計画書の例

国内における『木質ペレット製造販売及び製造装置の販売事業の参入計画』を例にした新規事業計画書のサンプル。34ページの計画書のサンプルで事業計画書で何を考察しなければならないのかを参考となる。

木質ペレット製造機の事業計画書の例を資料請求する>>

 

事業計画書のテンプレート・雛形

「木質ペレット製造機の事業計画書の例」では、実際の内容がサンプルとして記載されているが、「事業計画書のテンプレート・雛形」は虫食い状態となっている。御社の計画書作成に役立てていただければ幸いである。

事業計画書のテンプレート・雛形を資料請求する>>

 

新規事業の場合の事業計画書の注意点

最後に、新規事業における事業計画書の注意点をまとめておく。

 

初めて読む人がいる前提で、新規事業計画書を書く

全てのケースではないが、新規事業のプロジェクトは基本的にクローズで検討されるため、必ずしも全社的に新規事業の詳細について、全貌が明らかにされてないことが多い。そのため、フェーズ3(新規事業計画書の作成)まで至った事業計画書は、基本的には「プロジェクト外の人」にもお披露目されていく前提で記述する。例えば、専門用語を過度に用いた複雑な文章で書かないというのは非常に重要なポイントだ。「プロジェクト外の人」とは、プロジェクトが事業部の中で閉じていた場合にいて言えば、経営企画や財務経理の部署などである。

例えば「工場AのBさんをプロジェクトメンバーに入れたい」といった場合には、人事部に相談しなければならない。その際に、事業計画書を持って説明することになる。だからこそ、初めて読む人がいる前提で書く必要がある。

 

新規事業の計画検討の順番と事業計画書の記載内容の順序が必ずしも一致しない

事業計画書を作る時は、「新規事業の計画検討の順番」と「事業計画書の記載内容の順序」は必ずしも一致しないことを前提に作成しよう。

「新規事業の計画検討の順番」は、本コラムの前半でもご紹介した通り、下記のような流れで事業計画書が作成され順番に検討される。

  1. どの領域で新規事業を行なうのかを明確にする「新規事業アイデア提案書」の作成
  2. 対価を支払うほどのニーズは何かを特定して顧客が誰なのかを明確にする「新規事業企画書」の作成
  3. 最小単位で事業収支が成り立ち、スケールしたときの規模感、投資と人員がどの程度必要なのかを明確にする「新規事業計画書」の作成

しかし、「事業計画書の記載内容の順序」は、上記の検討の順番とは違う順番で掲載される。中期経営計画から見た新規事業の位置づけや、新規事業をやる理由などが先に掲載される。

その理由は、「ここにお金と人を投入するべきだと理解し判断しやすくするストーリー構成」にしているためだ。事業計画書は様々な人間が閲覧するため、「新規事業の計画検討の順番」通りに作るのではなく、多面的に見られることを前提に、記載内容の順番を考えなければならない。

事業計画書は、自社の既存資本、既存事業で蓄積した大事な経営資源を、この新規事業に投下していくという宣言書でもある。だからこそ、適切な「新規事業の計画検討の順番」で新規事業の検討を進め、適切な順序で新規事業計画書を記載しなければならないのである。

 

事業計画書の作り方まとめ

事業計画書についてまとめると下記のようになる。

■事業計画の検討の順番・事業計画書の作成プロセス

  1. どの領域で新規事業を行なうのかを明確にする「新規事業アイデア提案書」の作成
  2. 対価を支払うほどのニーズは何かを特定して顧客が誰なのかを明確にする「新規事業企画書」の作成
  3. 最小単位で事業収支が成り立ち、スケールしたときの規模感、投資と人員がどの程度必要なのかを明確にする「新規事業計画書」の作成

■新規事業計画書に書くべき6つの項目

  1. はじめに
  2. 本事業の位置づけと使命
  3. 本事業を取り巻く環境と参入方針
  4. 投入製品とビジネスモデル
  5. 事業収支シミュレーション
  6. 実行計画

貴社の新規事業が成功するよう、上記を参考に事業計画書を作成していただけたら幸いである。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

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PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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