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ブルーボトルコーヒーに見るマーケティングミックスの4P分析事例

マーケティング2018.04.29

ブルーボトルコーヒーに見るマーケティングミックスの4P分析事例

一般的に、マーケティングミックスで知られる4P分析を理解するとき、スターバックスが特徴的なために例に挙げられる事が多い。この記事では、スターバックスの競合として独自のポジションを獲得し、ネスレとのM&Aまで到達したブルーボトルコーヒーを事例に、これからのスタートアップがどのようにマーケティングを行っていくべきなのかを紹介しよう。

マーケティングミックスとは、マーケティングの組み合わせのこと

マーケティングミックスとは、自社や他社が事業展開するときに使用されるマーケティングの組み合わせのことを指す。最もよく知られているマーケティングの組み合わせは4Pと言われている、企業視点の4つの要素だ。

  • Product:商品
  • Price:価格
  • Place:流通や場所
  • Promotion:プロモーション

新規事業を行う際は顧客がまだいないので、「顧客を作ることから、マーケティングミックスが始まる」と言える。

新規事業においてマーケティングミックスを検討する上で気をつけるのは、『その一貫性をいかにして保つか』である。

一貫性を保つ事例:Dropbox

例えば、ストレージサービスDropboxのマーケティングミックスは、『価格無料』で、しかも大きな機能制限をせずに製品を提供するフリーミアムを採用している。つまり、フリーミアム自体が強力なマーケティングとなっており、利用してもらうことでその便利さや快適さを実感してもらうことにこだわっている。

Dropboxのミッションは、「世界中の人々にとって、一番大事な情報を入れる家のような場所を作り、みんなの生活をもっと楽しくすること」だ。

このミッションがマーケティングミックスの一貫性をもたらしている。

マーケティングミックスを決定するための流れ

    1. 事業のミッションの策定
    2. 環境分析(強みや弱み、機会や脅威など)
    3. 基本戦略の決定(誰向けにどんな価値を提供するビジネスか)
    4. マーケティングミックスの計画
    5. 実行と検証 (組織編成・設備・資金・実行計画)

4C:顧客視点のマーケティングミックス

マーケティングミックスには4P以外に、『4C』というフレームワークもある。

4Pは企業視点で整理したものだが、『4C』は消費者視点から見た重要な要素だ。

        • Consumer:消費者の需要
        • Customer cost:消費者のコスト
        • Communication:消費者と企業のコミュニケーション
        • Convenience:利便性

この4Pと4Cは裏返しの関係にあり、両方の視点でマーケティングミックスを検討する。

マーケティングミックスは、商品が自然と売れるように、これらの要素一つ一つに対して施策を練ることである。

しかし、個々の要素は独立しているわけではなく、それぞれが影響し合っている。つまり、要素の関連性もふまえて施策を考える必要がある。各要素に対して整合性の取れた策を施し、全体的なシナジー効果を生み出すことは、マーケティングミックスの重要なポイントといえるだろう。

4Pの事例:ブルーボトルコーヒーの分析

2017年9月にネスレが株式68%(約4億2500万ドル)を取得し買収したことで、さらに注目を集めた「ブルーボトルコーヒー」を例にとって、4Pの立案方法を検討してみたい。

ブルーボトルコーヒーのミッションは、「美味しいコーヒーを楽しみたい人に、新鮮な浅煎りコーヒーのフレッシュな味を、焙煎から48時間以内に提供する」ことを掲げている。このミッションなどを踏まえると同社の4Pは、以下の様にかける。

        • Product:こだわりの浅煎りコーヒー豆及びコーヒーという製品
        • Price:スターバックスより高価格
        • Price:一杯ずつ提供、非ビジネス街、装飾の少ないシンプルな店舗、通販という経路
        • Promotion:プロモーションは基本的に行わない。パブリシティ中心。

ブルーボトルコーヒーを例にしながら、新規事業において有効な4Pを立案するための留意点にはどんなものがあるか考えてみたい。

戦略ドメインとの整合性

ドメインとは、企業が定めた自社の競争する事業領域のことを指す。

つまり、『戦略ドメイン』は、新規事業の方向性であり、大切なビジネスのコンセプトと理解してほしい。その方向性に反する4Pを設けた場合、事業全体の方向性に反することになる。

ブルーボトルコーヒーでは、何よりも美味しいコーヒーを提供することに特化しているため、そのコンセプトを達成するための4Pを組み合わせていると言える。

既存ビジネスとの棲み分けは出来ているか

新規事業を立案する場合、4Pの組み合わせによって、競合他社との棲み分けが出来ているかは重要である。

        • Product:浅煎り⇔深煎り
        • Price:高価格⇔低価格

例えばこういう二次元の座標を作り、競合他社のポジションを比較検討してみる。

        • スターバックスやタリーズなど:深煎り×中価格
        • ドトール:深煎り×低価格

ブルーボトルコーヒーは、【浅煎り×高価格】の象限に参入し、他社とは異なるポジションで商品を提供することを明確にしている。一般に、同じ象限で多くの企業が存在する場合、ニーズはあるものの競合が激しく、新規参入は困難だと言える。

このような4Pの特徴を様々なパターンでポジショニング化しチェックする必要があるだろう。

顧客:需要の見込みはあるか

新規参入のためのユニークなポジションを発見したとしても、その領域に果たして需要の見込みがあるかどうかを判定しなくてはならない。ブルーボトルコーヒーのように、コーヒーそのものの味にこだわる層はそもそも存在する。日本のコーヒー文化は、本来浅煎りであったが、同社の創業者ジェームス・フリーマンは、もともと日本の喫茶店に強い関心を抱いており、潜在的な需要を把握していたようである。

4Pのバランス・矛盾の有無を検討すること

ブルーボトルコーヒーのコンセプトは端的に言うと「良品をシンプルに楽しんでもらう」ことでありマーケティングミックスとしては、Productに一番フォーカスしていると言えるだろう。

スターバックスが「快適な空間を提供する」ことにこだわってきたことを考えると、両者のマーケティングミックスには大きな違いがあると言えるだろう。

また製品においては契約農家との関係から、比較的高価格帯で販売する。高品質の商品で勝負しているので低価格である必要はない。

経路であるショップは簡素で焙煎器があるだけのまるで工場のような雰囲気で、コーヒーの味だけに集中出来る設備である。品質・満足を重視しているため、プロモーションもほとんど必要ない。

日本進出1号店を銀座でも青山でもない清澄白河に出店して、開店当初から大きな話題を呼び行列ができる日々が続いた。これは決して、店舗を待ち合わせや勉強や仕事の場所を提供するためでなく、「コーヒーを落ち着いて楽しめる」というコンセプトを重要視した立地選択だ。そのことが結果的に同社の注目を集め、大きなプロモーション成果を発揮した。

つまり、高品質・高価格・シンプルな提供・無販促がマーケティングとして一貫しているのである。

実行と検証 (組織編成・設備・資金・実行計画)

戦略ドメインやマーケティングミックスの考えは、その後の組織編成や実行段階でも一貫して維持していかなければならない。ブルーボトルコーヒーの場合、ミッションに共感する多くの人達に支持され、

資本調達が楽になった。その一方で200を超える資本家をコントロールする必要性も生じてきた。
そのため、同社は多くの資本(68%)をネスレへ集約する。ネスレは買収にあたり、事業内容や人事に関しても口を挟まないことに同意したため、よりミッションに集中して運営できる様になった。

新規事業策定時のマーケティングミックスの使い方

新規事業において、マーケティングミックスはとても重要な打ち手になる。そして、ミッションと一貫性を維持したマーケティングミックスができることで、高いシナジー効果を生むことができる。

ブルーボトルコーヒーのマーケティングミックスは、同社創業者の強い想いを根源となって展開されているが、立地戦略や資本政策など細部にわたる一貫性を維持して展開されているところに同社の強みがある。同社に対する高い評価は、コーヒーに対する強い想い入れと企業ミッション、そしてそれらと矛盾のない一貫したマーケティングミックスの実践によるところが大きいことを示唆している。

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